GIGI日記~映画とか本とか~

映画、本、料理、植物、ときどきファッション

MENU

本「説明力に関する本3冊」

皆様こんにちは、そしてこんばんは。ギギアンダルシアです。さて、年末にかけて説明力に関する本を3冊読みましたので、その内容を共有したいと思います。皆様どうぞお付き合いください(及川幸久さんのマネ)。

で、なぜボクがこういう本を買ったのかというと、社会で働く上で最も大切なのは説明力にあると思うからなんですね。だって、報告するのも、指示するのも、説得するのも、納得させるのも、すべては説明力にかかっています。資料説明もパワポでの解説や説明も、すべては説明力がかかせません。それはオリラジの中田さんのユーチューブ大学とか及川幸久さんの THE WISDOM CHANNELを見ると非常によくわかります。

あうんの呼吸や、言わなくてもわかるだろう、そこは汲み取ってほしい、などといった戦後民主主義の古きよき農村牧畜牧歌的社会はとっくの昔に光の中へ消え去りました

本来ボクはビジネス書みたいのは大嫌いなのでほとんど読まないのですが、今回は説明に関する自分の知見や考え方が間違っていないかの確認の意味と、さらに説明力の強化につなげたいといった理由で、ブックオフオンラインで安くて面白そうな本を3冊ゲットしたわけです。まあ、説明に関する書籍ってもう腐るほどありますよ。で、いきなりの結論ですがボクにとっては一冊のみいい本でした。

①「わかりやすく説明する力と問題解決力が1冊でビシッと身につく本(知的習慣探求舎著)」評価:★★☆☆☆
②「すごい説明(木暮 太一著)」評価:★★★★☆
③「危機対応のプロが教える! 修羅場の説明力(小野 展克、池田 聡著)」評価:★☆☆☆☆

以降、簡単に解説を。
まず①の「わかりやすく説明する力と問題解決力が1冊でビシッと身につく本」ですが、別にそこまで悪くありません。が、後半から以下のようなマーケティング用語?業界用語が頻発し、これを憶えろというのですが、もう究極にダルくなって深い眠りに誘(いなざ)われていきました。

・MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)=話にダブりがないこと。
・PDCAサイクル(Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善))
SWOT分析(強み Strength、弱み Weakness、機会 Opportunity、脅威 Threat)
5つのP(製品 product、価格 praice、流通 place、広告 promote、人々 people)
AIDMAの法則(Attention(注意)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(行動))

まあ確かに大事なのかもしれませんが、もうわかったよ!うるせえ~!とサジを投げましたねボクは。ただ、この本は全ての主張が2ページずつにまとめられてるし、イラストも見やすいので若い人向けかもしれません。

次に読んだのが②「すごい説明(木暮 太一著)」ですが、これがなかなかよい本でした。なんでもこの木暮さんという人は、もう中学校くらいの時から25年以上も「どうやって話をすればうまく伝わるか」ばかりを考えて生きてきた人のようです。ってホントかよ?と突っ込みたくなりますが、説明下手だったというご本人がそう言っているわけですからとにかく説得力があります。

そして、ボクもなるほどなと腑に落ちたのが、本書で主張されている説明の順序として「テンプレップの法則」を最大限活用するいうものです。要は「①Theme(テーマ、主題)」→「②Number(数)」→「③Point(要点、結論)」→「④Reason(理由)」→「⑤Point(結論・まとめ)」の頭文字(TNPRP)をつなげた造語ですが、この順番が最も伝わりやすいというもので、場面に応じて例えば①②を省略するなど、あらゆるシーンに応用が利く考え方です。これは確かにこの通りで、自分自身が無意識にやっていたことがこの本で証明・強化された気がしました。

が実は、それ以外のページって、ボクはあまり印象に残ってません。つまりはこの「テンプレップ」こそが、この本のPOINT(結論・まとめ)だったということで、後のページはもしかするとなくてもよいのかもしれません。ただそれだと本にはなりませんね。まあ、詳細は避けますので、興味のある方は是非(古本で)購入されてもよいかと思います(いい本ですし、一家に一冊あってもよいでしょう)。

で、最後に③「危機対応のプロが教える! 修羅場の説明力」なんですが、やっちゃいました~。ボクには高尚すぎてダメでしたね。そもそも著者の方々が誰がなんと言おうとエリートです。慶応とか早稲田を出ていて共同通信日本銀行に就職した輝かしいエリートですわ。もうそれだけで読む気が萎えて・・。

そして、彼らは彼らの言葉で色々と主張してます正論を。で、とにかく大事なキワードとして①発信力、②独立力、③情報力、④調整力の4つを挙げています。。。

あのう~、そういう力がないから買ったんですが・・・。

なにより最大の誤りが、この本は「説明力」を強化する本ではないってことなんですね。なので、勤めている会社がマスコミや金融機関、あるいは金融コンサルの人が読んだのなら、それは非常に興味深い内容だと思います。が、ボクのように純粋に「どうすれば相手にわかりやすく伝える(説明する)ことができるのか?」と思ってこの本を買ってしまうと、大変な肩すかしを食らうことに。

そして読んでいて感じるのは「いかに自分たちが様々な手を尽くしてスクープをモノにしたのか、危機を乗り切ったのか、クライアントを納得させたのか、そして今の成功を手に入れたのか!」ってこと(自慢)が、もう延々と200ページくらい続きます。

だんだん何とも言えないイライラが募ってきて、終いには「すごいよあなた方は、さすがだよ、エリートだよ、勝ち組だよ、富裕層だよ、あ~よかったね。」という、半ばあきらめのような喪失感を味わう羽目になりましたですハイ。

第一「新聞記事には先輩達が長年培ってきた型がある。その型を無意識にでもイメージできるようにならなければダメだ」などと主張されてますが、ボク個人としては、まずこの「先輩」などという体育会系的なノリがもうダメ。そしてここでいうその「型」こそボクが最も嫌悪するものなんです。

例えば新聞の記事によくある「新たな需要創出に向けて担当のA氏の鼻息は荒い。」とか「○○で数百万の被害を出したB氏は語気を荒げた。」とか「鼻白んだ」とか「憤懣やるかたない様子だ」とか「怒りを滲ませた」とか、もうこの記者達の主観による人物描写と歪曲がとんでもなくいやです(あんまりないかな?)。そもそも本当に鼻息荒かったのかよ?って突っ込みたくなりますし。

たぶん、著者はそういう型とは違う型について述べてるのかもしれませんが、とにかくこの本全般の根底にある「オレたち新聞記者達こそジャーナリズムに乗っ取り、日々巧みな交渉や駆け引きを繰り返し、戦ってるんだ!」とする主張が受け入れられませ~ん。

だって、今回のアメリカ大統領選でその真相や本質を伝えるメディアがこの日本にありますか?皆無ではないですか。ヤフーニュースでトップに来るのは、毎回「バイデン正式に大統領へ」などという記事ばかりではないですか。一体どの新聞社や局が戦ってるんですかね。むしろ日本のジャーナリズムは地に落ちたという前提で次回作の執筆を希望します、買いませんが・・・。

とはいえ、この本にも実は読みべきところが一つだけあったんです。それは、この著者(池田さん)が日本銀行に勤めていた時に、ダメダメな仕事のできない上司がいて、そいつによって妨害され一向に進まない仕事を一体どうやって回していったのか、という部分です。まあ結論としては、重要な案件は全てこの上司を無視(スルー)して勝手に自分たちで回していった、ということなんですが、このエピソードはものすごく面白かったです。ただ、それができるのは、やはり説明力や調整力などの実力のある人間に限られることは言うまでもありません。ボクとしては、むしろその顛末のみを深掘りして一冊の本に仕上げていれば、もっと意義のある本になっていたように感じました。

しかし、この本の帯で推薦している冨山和彦さんって誰?見たことも聞いたこともない人に推薦されても・・・テレビとかでは有名なんでしょうかね?

すごい説明力 (WAVEポケット・シリーズ)

すごい説明力 (WAVEポケット・シリーズ)

  • 作者:木暮 太一
  • 発売日: 2017/02/16
  • メディア: 新書