GIGI日記~映画とか本とか~

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映画大豊作①「マイ・インターン」

評価:★★★★★

さてさて久しぶりの土日休みを利用して、映画をテキトーに5本借りたんですが、その全てが極めて良作という快挙!こういう風にランダムに借りた映画のほとんどが良作なことってほとんどないので、これはもう奇跡!と呼べる出来事でしょう。

細かなストーリーなんかはAmazonで調べてもらうとして、さらっと順番にボクの簡単な感想を述べたいと思います。

まず、このマイ・インターンですが、初老のロバート・デ・ニーロ扮するベンが、40年勤めた電話帳の会社を退職後、妻を亡くし、毎日無為な日常を過ごしていたわけです。色んな事を手を出しますが、何をやっても心から楽しめず、充実感を得られない毎日を送っていたわけですが、商店街で目にした求人広告に応募し、もう一度、常勤の仕事に就くという物語です。

しかし、常勤とはいえインターンで、あっ、インターンと言っても日本の学生なんかの「職業体験」ではなく、「見習い」という意味です。で、デニーロ扮するベンが、インターンとしてアン・ハサウェイ扮するジュールズの経営するアパレル業界?に勤めることになるんです。しかし、面接のエントリーもYoutubeで自己紹介の動画をアップするなど、極めて最先端の採用方式で、ベンはそれに応募するだけでも一苦労なんですね。

で、実際に就業が決まっても、そこでの若者達の就業スタイルが自分の時代とは大きくかけ離れていて、そういう時代や環境の変化に戸惑いながらも、持ち前の経験と心優しい性格により、次第に若者やジュールズの信頼と尊敬を構築していく、というハートフル・ムービーなんですね。

この映画を見ると、日本でも今やテレワークやワーク・ライフ・バランス等が浸透し、確かに働き方や働く環境が変わってきてはいますが、結局、大事なことは何一つ変わっていないってことに気づかされます。

それは例えば、人の話をきちんと聞くことだったり(聞く力)、誰もやりたがらないことを率先してやってみたり(謙虚さ)、どんな仕事でも精一杯がんばることだったり(誠実さ)、職場の仲間たちへのリスペクトだったり(尊厳)、つまりは、その人自身の人間力人間性が一番大事だということでしょう。そしてそれは、年齢も経験も実績もスキルも一切関係ありません。

だって、その逆に、人の話を聞かず、自分のイヤなことは一切せず、仕事は全てテキトーに済まし、権利ばかりを主張し、職場の人間の悪口ばかり言ってる奴って、もうそれだけで一緒に働くのはイヤじゃないですか。

ボクは組織には当然、業績や結果や貢献度も重要だと思いますが、なにより、この聞く力、謙虚さ、誠実さ、尊厳力(←って、あるのかそんな言葉!)などなど、総じて人間性の方がよっぽど重要だと思います。

なので、これから就職活動をする皆さんは、即戦力、武器、スキル、やりたいこと、夢なんかを熱弁するのは別にかまいませんが、是非この映画を見て、それよりも大事なことがあるってことを知ってもらいたいと思いました。

さてさて、しかし、名優デ・ニーロの演技はとにかく素晴らしい。もはや芸術の域でしょうか。細かな表情や些細な動作などなど、とても演技には見えません。そしてそれに応えるアン・ハサウェイの演技もすばらしい。

みなさん、これが役者です。日本映画のアイドルや年寄り俳優の毎回同じ演技とはその深みが全く違います。日本で役者と呼ばれる連中がこの映画を見れば、本物の役者とはなにかを思い知らされて数日間は再起できないはずです。それほどまでに「役者」の質と重みが違います。

それはともかく、いつの時代でも、そして時代のシステムや仕組みが変わっても、一方で何も変わらないこともあるってことに気づかされる映画、それがこのマイ・インターンです。あ~ボクも久しぶりにネクタイしてスーツで会社行こうかな~。