GIGI日記~映画とか本とか~

映画、本、料理、植物、ときどきファッション

MENU

本「一気にわかる世界史」

さてさて、先般紹介した「一気にわかる世界史」という秋田総一郎さんという方の書かれた本を読みましたが、すご~くいい本でした。文明誕生から現在まで、世界の中心となった地域や国々と、その周辺への中心の移動、つまりは「となりのとなり理論」による世界の発展の流れが非常にわかりやすく簡潔に書かれてます。まさにこれから本格的に世界史を学び直そうとするボクのようなペーペーにぴったりの名著でした。

興味のある方は買って読んでいただくとして、ここではさわりだけ紹介します。文明の誕生から現在までの世界の中心をかなりおおざっぱに整理すると以下のようになります。

西アジアメソポタミア:現在のイラク、イラン、トルコ、エジプト)B.C.3500~500
ギリシャ・ローマ(現在のギリシャ、イタリア)B.C.500~A.C.500
イスラム(現在のイラク、エジプト)A.C.500~1500
④西ヨーロッパ(現在のイタリア、スペイン、オランダ)A.C.1500~1700
⑤イギリス A.C.1700~1900
アメリカ A.C.1900

なんと、最も初期の頃に栄えたのはメソポタミアの中心であった現在のイラクですよイラク

で、注目すべきは、その中心地の繁栄期間が、現代に近づくにつれどんどん短くなってきているということなんです。①の中心の時代は3000年もありましたが、それ以降の②③では1000年④⑤に至っては200年にまで縮まっています。

何が言いたいのかというと、第二次世界大戦というのは、当時世界の中心であった⑤のイギリスにドイツが刃向かった戦争であって、この戦争によってイギリスは疲弊し、世界の中心から脱落・衰退していき、アメリカにその座を明け渡したわけです。

で一方、これまでは世界の覇権国であったアメリは、今後この世界の中心である期間がどんどん短くなっていくという傾向に加え、現在のコロナ情勢の影響で、世界の中心から脱落・衰退していくことはほぼ確実かと。ほぼ100年という周期になりますね。これは歴史的に見ると、かなり短い方ではないでしょうか。

また、このような中心の移り変わり大国の衰退と滅亡の理由として、本書では「これまでの成功体験や伝統の積み重ねによる社会の硬直化」が挙げられています。なんだか大企業がダメになってしまうパターンと同じような話ですが、それ以外にも「柔軟さと寛容さの消失」も挙げられていて、これにはなるほど~と唸りましたね。

たとえば、かつてのローマ帝国を例に挙げると、当初から帝国内にいたゲルマン人をローマ人はかなりバカにして蔑んでいたようなんです。その交渉術や戦上手でもあるゲルマン人を決して認めずに鼻で笑うかのような扱いをしていたことが、結果的にはゲルマン人に反感や不満を募らせ、最終的には(ゲルマン人に)滅ぼされてしまうわけですね。

これって今の日本を見ても、古い体質の会社とか特に公務員の世界なんかで顕著なことで、上の人間が部下を優秀なのに「若いから」とか「女性だから」とかどうでもいい理由を付けて、自分のプライドを守るために認めようとしないのと全く同じではないですか。

そしてもう一つは「近代化とは模範である」というきわめて簡潔な考え方ですが、これはつまり、近代化のためにはうまくいっている先進国を模範とすること、つまりは「成功者をまねること」なんだそうです。

これを実践せずに、自国の伝統や文化を守るためにあえて保護政策のような対策を取った国(日本の鎖国も同様です)、つまりは技術者を海外から招いたり、企業を誘致したりしなかった国、つまりはインド中国がこれにあたりますが、結果として近代化に大きく後れを取ったわけです。

このことはイスラム圏でも明らかになっていて、イスラム原理主義固執する硬直化した中東の国々の中で、特にトルコが世俗化や民主化を進め、積極的に先進国の技術を取り入れた結果、新興国となりつつあることが明らかになっています。

それに加え、社会主義という国家主導の政体もまた、発展を妨げることが今では明らかになっています。だって、ソ連邦の崩壊やソ連影響下の東ドイツ北朝鮮の悲惨な有様をみれば、現代では社会主義という政体はほぼ機能しえないのは歴史が証明しているわけでして。

なんだか、この本を読んで色々と考えさせられましたね。こうなると今後、日本はどうすればよいのかわからなくなってきました。大事なことを再度整理します。

①これまでの成功体験や伝統の積み重ねによる社会の硬直化は危険
②柔軟さと寛容さの消失もまた危険
③近代化とは模範である(成功者をまねることが重要)

ああっ、こういうことを初めて知ったアラフォーの自分が恥ずかしい、という。が、人間、自分の思い立ったときに本気で勉強する、というくらいでいいんじゃないでしょうか。何歳までにとか、何歳からとか、関係ないですよ。というわけで、この夏は資格の勉強のほか、世界史の勉強もしてみよっと。なんだか楽しくなってきましたね。

一気にわかる世界史

一気にわかる世界史