GIGI日記~映画とか本とか~

映画、本、料理、植物、ときどきファッション

MENU

映画「アクト・オブ・ウォー 」(ハンガリー抵抗もの)

「アクト・オブ・ウォー」(評価:★★★☆☆)

今度はドイツ占領下のハンガリーが舞台のユダヤ人抵抗ものです。これまで色々と見過ぎて、もはや区別がつかなくなってきましたが、ハンガリーが舞台のレジスタンスものって、ボクとしてはこの映画が初かと。ちなみにハンガリーという国は、ドイツの右のポーランドのすぐ下にあります。

ただこの映画って、全編ハンガリー語ではなく英語で、かつ制作国もイギリスだし、しかも語り部の俳優が(アメリカ人の)ハーベイ・カイテルおやじなので、なんとなく違和感が拭いきれませ~ん。しかも、見終わったあと痛切に感じたのが、このハーベイ・カイテルおやじが、映画の骨子、つまりハンガリーユダヤ人抵抗組織の逸話を孫に語って聞かせる」というこの入れ子構造って果たして必要だったんでしょうか。

なんかプライベート・ライアンのパクリというか、ライアン二等兵語り部みたいな。ただ、プライベート・ライアンには実は致命的な欠陥があって、「じゃあライアン二等兵が知るはずのない序盤のトム・ハンクスの行動は(※語り部トム・ハンクスじゃないのに)一体どうやって知りえたの?」という。

ともあれ、近年の傾向なんでしょうか、こういうナチスに立ち向かった雄志的な映画がヨーロッパの色んな国で作られつつありますね。あまりにも悲惨すぎてやられっぱなしの自国の歴史を少しでも肯定的に捉えたいがためでしょうか。

色々とみてきて思うのは、なにもナチばかりがクソだったというわけでもなく、占領下または併合下の被占領国の警察機関とか憲兵もまた同じようにクソだったということです。特にこいつらの場合、自国民を弾圧したり取り締まる側にいるので、もはや始末に負えません。あと、ナチス憲兵にせっせと密告する輩もたくさんいます。もう見ていて胸くそが悪くなること請け合いですね。

そんな中、この物語の主人公、通称ソンソンは、愛する奥さんを病で亡くしたのを機にに立ち上がるんです。なぜなら、奥さんが早々に亡くなってしまったのも、病院からユダヤ人だからという理由で追い出されたから、つまりはナチスのせいだったからなんです。なぜ、ユダヤ人が迫害されなければならないのか、なぜ、大人しくナチス憲兵の言うことを聞かなければならないのか。

今考えれば当然ですよね。ただ、こういうナチスの悪行を、連合国側(イギリス、フランス、アメリカ)はしばらく見て見ぬふりをしていたのもまた事実。第二次大戦当時、世界は植民地の獲得に精を出し、東南アジアやアフリカのほとんどが列強国の植民地だったわけです。従って、大国(列強国)の論理や白人至上主義みたいな差別意識が、アジア人やアフリカ人に対するのと同様、ユダヤ人にも向けられていたとしても何ら不思議ではありません。

なお、第一次世界大戦(WWⅠ)では全世界で1,800万人が、第二次世界大戦WWⅡではおよそ5,500万人以上の死者を出したようです。どうですか、この途方もない数字は

ちなみに現在世界中で大騒ぎのコロナ情勢ですが、世界全体の感染者数が1,600万人を超え、死者数は64万人を超えたようです。が、この大戦の死者数とは比較にすらなりません。そう考えると、やはり戦争というのはとんでもない愚行であることがよくわかりますね。

この映画がどこまで史実に乗っ取っているのかはわかりませんが、やはり言葉の問題が気になりました。このソンソンという主人公はハンガリー人なんですが、そもそもドイツ語をしゃべれたんでしょうか。劇中ではたびたびナチス将校の軍服を奪って、ナチ高官のフリをして本物のナチをだまし討ちにするわけですが、それってドイツ語を自在に操れないと不可能なんですが、映画では何せ双方ともに英語ですので・・・。

まあ、このソンソンらがナチどもに機関銃やライフルで立ち向かうシーンはそれなりにカタルシスがありますが、やはり冒頭に述べたハーベイ・カイテルを起用した入れ子構造とか、言葉の問題とか、まあイマイチな出来でした。なんとなく最後まで嘘くさい話ですが、なぜかこの映画のジャケットだけはウソがありませんでした。さすがに販売元のアルバトロスとしても、そこまでやっちゃうのは気が引けたのかもしれません。

アクト・オブ・ウォー [DVD]

アクト・オブ・ウォー [DVD]

  • 発売日: 2016/08/03
  • メディア: DVD