GIGI日記~映画とか本とか~

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映画「ドレスデン、運命の日」(ドイツ国内もの)

ドレスデン、運命の日(評価:★★★☆☆)

さてさて、最近はナチスドイツものにハマり、少しずつその歴史の意味や流れが理解できるようになってきました。そもそも第二次世界大戦=ドイツが発端ということすら知らなかった(あるいは忘れていた)おバカさんなボクにとって、その贖罪の意味で最近猛烈に勉強中です、まあ映画を見ることで、ですが(一応、本も読んでます)。

しかし最近思うのは、こういう映画を見ることでも、ちゃんと歴史を学ぶことができるって事実です。映画って、なんて素晴らしいんでしょうか。ただ、そう考えると、ボクが若かりし当時、義務教育で習った世界史って一体何だったのかな~ってことです。

地域毎に分割して年号と人物名と王朝なんかの名称を延々と暗記するだけで、その背景にある世界各国の野望と思惑、そしてその政策決定の過程で翻弄された人々の悲惨な出来事やドラマなんか、絶対に教科書では知り得ることはできませんよね。つまりは、表面だけを軽くなぞるだけで、血の通ったストーリーは皆無というような。

まあ、全面的に教科書を否定するわけではありませんが、そういう意味で今の時代は、様々な情報を入手しやすいし、また、先のブログで紹介した「一気にわかる世界史」のように、世界の流れや動きのダイナミズムを肌で感じることのできるも出されていますので、まさに学ぶ方法は無限にあるように感じます。

そういう視点でドイツを振り返ると、ナチスドイツの台頭にもちゃんと意味があって、全否定されているようなヒトラーでさえ、演説力が高く、政治手腕も抜群で、かつカリスマ性に富み、42回もの暗殺計画も全て失敗に終わるなど、強運にも恵まれた類い希なる人物であったことがわかります。ボクは彼がユダヤ人のホロコースト、ショアSHOAH(大量虐殺)さえ実行しなければ、第二次世界大戦の結果はまた違った別のものになっていた様に感じます。

で、前置きが究極に長くなりましたが、ここで紹介する映画は、大戦末期の1945年2月に起きた、連合国によるドイツ東部の都市ドレスデンへの無差別爆撃の様子を描いた映画なんですね。

確かにヒトラーユダヤ人を大量虐殺するというとんでもない愚行を国家的に行いましたが、じゃあ軍人や一般市民やユダヤ人の区別すらなく、ドレスデンの街が灰燼に帰すほどの爆撃を行ったり、ましてや敗戦間際の日本に、よりによって原子爆弾なんかを(実験的に)2発も落としやがったアメリのお偉方との間に一体どれだけの差があるというのでしょうか。

たしかにホロコーストの犠牲者数は300~600万人と、もう途方もない数に及びますが、原爆による日本の死者も30~50万人ですし、それ以外にも日本を列強の脅威から守るために戦った230万人もの軍人が犠牲になったわけです。

未だに「日本は満州国等の侵略戦争を行ったんだ、だから悪い国だ!」などと主張するアホな人たちがいますが、それは大きな誤りで、日本はぎりぎりまで戦争を回避するための策を探っていたんです。そもそも第二次大戦当時、列強国や先進国が植民地を獲得することは別に違法でも何でもなかったわけです(イギリス、フランス、アメリカは東南アジアやアフリカの大部分を自国の植民地としていたわけでして)。

なのに、白人至上主義のアメリカから最後通牒ともとれるハル・ノートを突きつけられ、「もはやこれまで!白人の差別主義者どもめ、ふざけんなっ!」真珠湾攻撃を決行するに至るわけです。

このあたりはベン・アフレックジョシュ・ハートネット共演のパールハーバーの冒頭だけ見てスカッとしてみてはいかがでしょうか。ケイト・ベッキンセールちゃんも看護婦(「士」という言い方がしっくりこないのであえて)役で出てますので必見かと。がんばって必死に戦傷者の看護をしてますですハイ。

あ、映画紹介、すっかり忘れてましたが、物語はおそらく創作で、あるドイツ人の医者と看護婦のカップルが病院で懸命に戦傷者の手当に励んでいるわけです。この2人は婚約者同士で、働いている病院は、実はこの看護婦のお父さんが経営者(医院長)なんですね。

で、お父さんはお父さんで、敗戦色の濃厚なドイツに見切りを付け、終戦前にはドレスデンの病院を早々に引き払い、家族を連れてスイスでに逃げて開業するために、怪しいスパイ行為のようなことをコソコソやってるんです。

で、そんな病院に、ドイツの戦闘機(レッサーシュミット)に撃墜されてパラシュートで脱出したイギリス空軍のパイロットが紛れ込み、物語は急展開!というか急降下!なんと、先の看護婦さんとこのパイロットが恋に落ちてしまって・・・。

見てるともう「ありえね~」とか「何でこいつわ急にドイツ語話せるの?」とか「ドイツ語話せるのに何で最初は黙ってたの?」とか、もう細かいところがいちいちリアリティに欠け、突っ込みどころ満載なんですね。要は色んな要素を盛り込みすぎなんですよ。なんか、もっと焦点を絞ってコンパクトにまとめた方がよかったように感じます。

それと残念なのは、戦闘機や爆撃機の離発着や飛行シーンも、ふんだんにドイツ軍とか歴史博物館の提供映像みたいのを使ってて、貧乏臭さやツギハギ感が否めませ~ん。

ですが、無差別爆撃を行ったイギリスをはじめとする連合国の非道さとか、灰燼に帰したドレスデンの街並みとか、まあ見るべきところは結構ありますので、そこそこは楽しめるかと。なお、ジャケットにウソはありませんでした。そういうところはアルバトロスさんって、先に紹介した「アクト・オブ・ウォー」もそうですが、意外と誠実ですよね。

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