GIGI日記~映画とか本とか~

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映画「ヒトラーと戦った22日間」

評価:★★★☆☆

相変わらず第二次大戦ナチスものを見まくる毎日が続いています。色々と購入した本の情報からその系譜の映画をピックアップした結果、おそらく100本程度は見る必要があり、まだその挑戦の途上にありますが、現時点でやっと20本くらいは見たでしょうか。

そして今回の映画では、絶滅収容所のひとつである「①ソビボル強制収容所で、1943年10月に実際に起きた反乱劇の顛末が描かれています。ちなみにあと二つの収容所は「②ベウジェツ強制収容所「③トレブリンカ強制収容所になりますが、これらの三つに比べると、実はアウシュビッツの方がまだマシといわれるほどだったことはあまり知られていませんね。なぜなんでしょう。

つまり、アウシュビッツの場合は基本的にはユダヤ人を収容して強制労働させるのが目的だったのに対し、これら三つの収容所はユダヤ人を絶滅(殺戮する)させるのが目的なわけですよ。

ユダヤ人の最終解決(殺戮)と称されたこの方針にのっとって立てられたのがこれらの絶滅収容所で、「ラインハルト作戦」(作戦考案者のラインハルト・ハインドリヒの名から来ています)などと呼ばれているようです。ラインハルトと聞くとかっこいい銀河英雄伝説ラインハルト・フォン・ローエングラムを想像しますが、こちらは金髪の狂犬、ナルシストでブサイクな方のハインドリヒですから。

・・・さらっと書きましたが、もうものすごく残酷で、最後まで見るのがもう痛烈にきつかったです。こちらもまた以前見た「灰の記憶」と同レベルの苦行映画でした。

ちなみにこの映画は実話がベースなんですが、かなり過度に誇張されている部分もあるようで、とにかくドイツのSS連中がもう根っからのクズとかキチガイ、狂人、変質者、殺人鬼ばかりで、見てると痛烈に胸くそが悪くなってきます。だんだんモヤモヤじれったくなってきて、さっさとこいつらをブッ殺してほしくて気が狂いそうになるほどです。まあ確かに、クズの描きっぷりは最高峰という。ただ、クエンティン・タランティーノイングロリアス・バスターズじゃあるまいし、そういうハッピーエンド的な展開は望めないわけでして。

ところで、この映画で一番度肝を抜かれたのが、冒頭にさっそうと登場する仲良し3人組が出てきて、当然見る側としてはその3人が中心となって物語が進行していくものとばかり思うわけですよ。ですが、このうち2人ははじまって速攻(15分以内でしょうか)で死んでしまって、残った1人も中盤にはゴミ扱いレベルでして。この辺、別にネタバレにすらなりませんのご安心ください。

ともあれ、この3人が主役と見せかけ、実はこの3人とは全く関係ない人々が主役でした~、デヘ、デヘヘ、またまたやっちゃいましたぁ~(してやったり)。・・・・とでも監督は思ったんでしょうかね。しかし、ある意味ここは、陰惨かつ陰鬱なこの映画の唯一の笑いどころではあるんですが・・・(正直、全く笑えませんが)。

この役を演じた役者さんたちはよくOKしましたよね。特に、きっちりスーツを着て帽子をかぶって口笛を吹いたりして余裕をかましていたトッポいアニキが結構笑えて、まあとにかく悲惨な最期を迎えますのでここは必見かと。

しかし、なぜ、絶滅収容所なのにそんなにたくさんの囚人が生かされているのかと思われるかもしれませんが、それは大量のユダヤ人をガス室で殺戮するための労働者として働かされているからなんです。何も知らないで貨物列車で運ばれてくるユダヤ人に、音楽を演奏することで安心させ、嘘八百を伝えてどうにかガス室まで誘導して、あとは彼らの遺品を整理し、そしてその遺体を焼却するための労働者として。そう、先のブログで紹介しましたが、要は「ゾンダーコマンド」です。ゾンダーコマンドものとしては、ほかに有名なのがサウルの息子という悲惨きわまりない映画がありますが、そちらは視聴に耐えられるだけの勇気が出なくてまだ見てません。

まあとにかく、壮絶かつ不条理きわまりない最低最悪の苦痛映画ではありますが、この反乱劇の実質的リーダーたる元ソ連の軍人アレクサンドル・ペチェルスキーを演じた役者さんの眼差しや佇まいが最高にクールですね。わが国にもヨボヨボの年寄りばかりでなく、こういうクールな指導者がそろそろ必要ではないですかね。

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