いろいろとナチスの暗殺にまつわる映画をまとめてみました。まあ最後の方の⑤と⑥は違いますが。以下でさらっと紹介しますね。
①ワルキューレ(評価:★★★★☆)
②ヒトラー暗殺、13分の誤算(評価:★★★★☆)(2020/5/6解説済み)
③ハインドリヒを撃て!(評価:★★★☆☆)
④ナチス第三の男(評価:★★☆☆☆)
⑤シャトーブリアンからの手紙(評価:★★☆☆☆)
⑥ベルファスト71(評価:★☆☆☆☆)
さてさて「①ワルキューレ」ですが、出ました、トム・クルーズです、トムのトムによるトムのための映画とばかり思ってましたが、それがそれが一体どうして、トム節を封印し、なんかいつもと違うじゃないですかトムアニキ。この映画、かなり前にゲットしてそのまま放置していましたが、たまたま棚の整理中に発見して早速見てみたわけですが、以外にもすごくよかったです。これも実はヒトラー暗殺ものの一本。まあ、当然のことながら失敗しますが・・・。
「ヒトラー暗殺」という本を読むと、実はヒトラーの暗殺未遂事件は判明しているだけでも42件あって、そのうちの20件はその犯人と動機と方法、犯人の足取りなどが事細かく検証されているようですね。
その数ある暗殺事件の中でも、ドイツ国防軍のかなり多くの高官達が暗殺に関与し、その規模もクーデターに匹敵するほどの規模の事件がこの「ヴァルキューレ(ワルキューレ)作戦」と呼ばれるもので、この映画ではその実質的なリーダーであるクラウス・フォン・シュタウフェンベルク大佐の視点で描かれています。時は1944年の大戦末期、シュタイフェンベルグ大佐は戦線で負傷し、左目と右手を失い、やがて大戦後のドイツの行く末を憂慮するようになります。でまあ、育ちのよい家柄出身の彼はそのカリスマ性も手伝って、次第にクーデターのリーダーになっていくわけです。でしかも、自身が障害を負っているにもかかわらず、その実行犯になるあたりが、以降に紹介する政府のお偉方とは違うところ。そこがかっこいいんですよね。しかも彼は伯爵の爵位をもつ血統書付きのエリートでもあるわけですよ。そんな名馬が暗殺の実行犯になるって、歴史上あったでしょうか。ただ、映画を見ていて、いけるぞ!いけるぞ!と汗をかきながら鉢巻きをして応援してたんですが、どんどん味方から連絡が入らなくなっていき・・・・。もう最後は最高にかわいそうでした。なんか、最後の方は徐々に候補者の負けが確定していく選挙事務所みたいなイメージでしょうか。ちなみにこの作戦名「ヴァルキューレ」つまり北欧のノルド語でワルキューレとかヴァルキュリアというのは「ゲルマン神話で、戦士の神オーディンに仕える武装した乙女たち」とのことですが、乙女じゃさすがに覇王ヒトラーには勝てないかと。
まあ、そのほか、ヒトラーの暗殺未遂事件としては、以前このブログでさらっと紹介したドイツの家具職人であるゲオルグ・エルザーが単独で実行したものが有名で、その様子は「②ヒトラー暗殺、13分の誤算」で詳細に描かれています。
また、ユダヤ人の最終解決、つまり大量殺戮を企画・立案・実行したとされるナチスのSS高官ラインハルト・ハイドリヒの暗殺劇もまた「③ハインドリヒを撃て!」とか「④ナチス第三の男」なんかで映画化されています。こちらは実際には少しショボいですが、一応暗殺には成功しますので、見ていてスカっとしますが、しかしその後のナチ側の報復がもうハンパなくて、本当に暗殺しちゃってよかったのかな~とかって複雑な気持ちになりますね。
この暗殺計画はイギリスに亡命していたチェコスロバキアの亡命政府によって計画されたものでエンスラポイド作戦と呼ばれていますが、要はそのチェコ総統府(ベーメン・メーレン保護領)の副総督であったハインドリヒをとにかくムカつくからチェコ魂よろしくぶっ殺しちゃえ!という窮鼠猫を噛む的な一撃ではあるんです。
が、昨日紹介したワルシャワ蜂起といい、このエンスラポンド作戦といい、武器・弾薬も最小限で、援護射撃や空爆のフォローも一切なく、脱出ルートもほぼ皆無で、まあとにかく、お偉いさん方のサポートが全くなってない(というよりサポートする気がさらさらない)のが気になりました。いつの時代も、為政者は安全なところからあれやれ!これやれ!とかって威張ってるだけなんでしょうか。
ちなみにこの暗殺劇は、チェコ軍人のヤン・クビシュとヨゼフ・ガプチークという二人が実行犯ですが、「ハインドリヒを撃て!」の方では、ヨゼフをアイルランド人のイケメン俳優キリアン・マーフィ兄キが、そして「ナチス第三の男」の方はヤンをイギリス人のジャック・オコンネル君が演じています。
たしかにSSの大将を取られた(殺された)ので、そりゃナチスの怒り心頭もわかりますが、結果的には全く関係のない市民が報復のために500~1000人ぐらいが殺されてしまいます。こういう風に、ナチスの将校が1人殺されると一般市民に換算して100人の死に値するというナチ理論を行使したわけですが、こうなるとさすがに反抗する人間はいなくなりますよね。その辺のむごさが「⑤シャトーブリアンからの手紙」というこれまた壮絶な映画で描かれています。この映画もまた実話なんですが、あまりにも悲惨なのであまりおすすめはしません。
ともあれ、ハインドリヒ暗殺モノは実は他に2本作られていて、一つはかなり古い1943年の映画で「死刑執行人もまた死す」なんですが、1943年ってナチスもまだイケイケの大戦まっただ中じゃないですか。まあそれだけ大事件だったということでしょうか。
そして、もう一本が1975年に作られた「暁の七人」という映画なんですが、このDVDってレンタル屋に絶対おいてないし、DVDもクソ高いしで、いつになったら見れるのやら。
あとは「ナチス第三の男」でいい演技をしていたジャック・オコンネル君が気になり、彼が主演している「⑥ベルファスト71」という映画を早速借りちゃいました。ですが、やっちゃいましたよ久々に、もうかなりのクソ映画でしたハイ。結構色んな本でこの映画の名声は知っていましたし、評価もかなり高かったんですが、まあボクの読解力や理解力が乏しいこともあって、はっきりいって全く意味がわかりませんでした。近年まれに見る最底辺のクソ映画でした。
あらすじですが、要は政情の不安定な北アイルランドの首都ベルファスト地区に地元の警察のサポートのために英国軍のとある部隊(オコンネル君所属)が派遣されるんですが、その部隊が英国軍だと知れるや否や怒り狂う住民達にボコられ、そうこうするうちに住民が暴徒と化し、最終的には隊員の一人がいきなり射殺されてしまうんです。で、ビビりまくって慌てて部隊が撤退するんですが、その地区になぜかオコンネル君だけが取り残されてしまって、そして、彼は夜明けまで生き延びることができるのか?・・・アクション・サバイバル・スリラー映画の最高峰!などと言ってますが、、、もううるせ~~!!!とこの映画の関係者に伝えたいです。だって、見ていて誰が敵で誰が味方かもわからないし、なぜ町中で住民達が反目し合っているかもわからないし、英国軍のサポートしている警察がなんで反乱分子のトップとつながっているのかも意味不明だし、もう北アイルランドなんて介入しないでほっといた方がいんじゃね?みたいな、最低のクソ映画でした。
『この映画は、アイルランドと英国の複雑な関係やアイルランドの抱えるジレンマを見事に表現した傑作だ!!!』とかって勝手に持ち上げてるやつは、たぶん実際には映画見てないんじゃないでしょうか。あのう~見てないでキャッチコピー書くのやめませんかね。
色々と暗殺モノをあげましたが、ともかく、ワルキューレのトム兄キ、というかシュタウフェンベルク大佐の雄志は、会社で上に立つ人間ならば必ず見ておくべきかと。命令するばかりで全く動かないダメな管理職のおっさんなんかに特におすすめです。明日から眼帯して職場に出社してみてはいかがでしょうか。