GIGI日記~映画とか本とか~

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映画「ヒトラーに屈しなかった国王」ほか(ノルウェー抵抗もの)

「①ヒトラーに屈しなかった国王」(評価:★★★★☆)
「②ナチスが最も恐れた男」(評価:★★★★★)

第二次世界大戦時、破竹の勢いで領土を拡大するドイツに対し、ヨーロッパの各国が抵抗したわけですが、ボクの知識レベルが低く、その辺の歴史がなかなか理解できないので、改めて世界史を勉強し直すことにしました。そのため、今世界史に関わる本を相当数ブックオフおよびAmazon でゲットしちゃいました。

基本的には、第二次世界大戦におけるヨーロッパ各国の立ち位置としては、主に以下の3つに大別されます。まあこう見ると、枢軸国、連合国、あとは共産主義ソ連の三つ巴的なニュアンスでしょうか(エゥ-ゴ VS ティターンズ VS ネオジオンみたいな)。

①ドイツと同じ枢軸国(ドイツ、イタリア、あと日本も!)か、ドイツを(仕方なく)支持する枢軸参加国(ハンガリールーマニアブルガリアフィンランド
②中立国(スイス、スウェーデン、スペイン、ポルトガル
③連合国側でドイツに降伏し、支配・占領された国ポーランドチェコスロバキアオーストリアバルト三国ノルウェーデンマーク、オランダ、ベルギー、フランス)
※そして連合国(イギリス、フランス、アメリカほか)と共産主義勢力ソ連

まあ、ヨーロッパの大半を支配したドイツに対し、フランスも早々に降伏し、イギリスも頼りないので途中からアメリカがちゃっかり参戦し(ソ連もちゃっかり日ソ中立(不可侵)条約を破棄します)、その結果、圧倒的な物量でドイツと日本がボコボコにされたのは周知の事実。しかし、日本はユダヤ人の迫害の様な大罪は犯していなかったので、悪の枢軸などと呼ばれるのは甚だ心外ですが・・・。

前置きが長くなりましたが、ボクは上記に挙げた③ポーランドチェコスロバキアオーストリアバルト三国ノルウェーデンマーク、オランダ、ベルギー、フランスなどのレジスタンス達に興味があって、それを映画化した作品を収集しまくっているわけです。少し整理しましょうか。ちなみに地理的にはなかなか憶えにくいので(ボクだけでしょうか?)、ざっくり以下のように整理します(色々間違ってるかも)。

ドイツの右(東)ポーランドチェコスロバキアハンガリーソ連(東部戦線)
ドイツの左(西)
:オランダ、ベルギー、フランス(西部戦線
ドイツの下(南)オーストリア、スイス、イタリア
ドイツの上(北)
デンマーク、<海挟む>ノルウェースウェーデンフィンランド

そして、それらの国を舞台として製作されたレジスタンス映画を以下のように整理・再構築します。

ポーランドもの:「バトル・オブ・ワルシャワ」「リベリオン ワルシャワ大攻防戦」
チェコスロバキアもの:「ハインドリヒを撃て!」「ナチス第三の男」
デンマークもの:「エイプリル・ソルジャーズ」「誰がため」

そして、今回は冒頭のノルウェーものを紹介します。

「①ヒトラーに屈しなかった国王」(評価:★★★★☆)
「②ナチスが最も恐れた男」(評価:★★★★★)

この2本、もうものすごくよかったです。②の方は以前紹介しましたが、再度レビューすることにします。

まず、「①ヒトラーに屈しなかった国王」の方ですが、まずノルウェーという国は、元々はスウェーデンノルウェーの連合国で、それを解消・独立するため、デンマークのカール王子(ホーコン7世)をノルウェーに招いたという歴史的な経緯があります。そして、カール王子のお兄さんがデンマークの国王なんですが、この辺はこの北欧と呼ばれる国々の歴史的な背景や強い結びつきがあってこその事柄だと思います。が、その辺はもう少し勉強しないとわかりません。

ともかく、ここで大事なことは、ノルウェーカール国王(のちにホーコンに改名)は元々はノルウェー生まれではなく、デンマークの出生で、ある日突然ノルウェー国王として招かれることになり、そしてそれをノルウェーの国民が快くも受け入れた、ということなんです。

このことが、ホーコン国王の全ての行動の基本原則になっていて、その姿勢は、ナチスノルウェーに侵攻してきた際にも決して揺らぐことはありません。それを整理すると、以下のようになります(なんか今回は整理してばかりです)。

ノルウェーは各国の個別性と領域支配を前提とする主権国家であり、他国の侵略行為は断固として承認し得ない(認めないし従わない)こと。
ノルウェー立憲君主制(君主の権力が憲法により制限されている)のため、国王が内閣・大臣を無視して(ないがしろにして)行政権を行使することはできない。
国の行く末を決めるのは国民であって、国王の権力は形式的なものに過ぎない。
ノルウェーの国民は、国王のためでなく、全ては祖国のために行動しなければならない。そしてそれは国王も同様である。

この原則に基づいてホーコン国王は国王たらんとしているので、ナチスドイツが侵略してきて自国民が蹂躙されるのを知ると、そのジレンマに悩むわけです。さっさとナチスに降伏して国民の被害を最小限に抑えるのか、それとも断固としてナチスの侵略行為は認めず、国民の被害をある程度は許容するのかというね。

まあその辺は映画を見てもらうとして、この映画が突出してすごいのはナチス接近中を示す重低音(効果音)なんですね。ナチスが侵攻してきた際に、国王一行は首都オスロにいて、そこに居続けるとさすがに危ないので、汽車とか車で北へ北へと逃げるわけですよ。しかしナチスの追跡もハンパじゃなくて、行く先々で結構な数のドイツの戦闘機(メッサーシュミット?)とか爆撃機が飛来するわけです。で、その度に国王一行は走って逃げるんですが、そのときの効果音がまるでターミネーター2」の近未来の廃墟シーンみたいに、ヴォ~~~ン!ヴォ~~~ン!ヴォ~~~ン!ヴォ~~~ン!っと重低音が響き渡って、自宅のホームシアターの5.1chサラウンドスピーカーの効果も手伝って、もう臨場感満点でものすごく怖かったですハイ。要するにその効果音が流れはじめるとドイツ空軍が迫ってるぞ~コラッ!という意味なんですが・・・。ともかく、国王が逃げ惑うシーンは是非スピーカー音量を150%ほど上げてお楽しみください。

ちなみに、このホーコン国王ウィキペディアで写真も見れますが、ルックスも非常に毅然とした人物で、まあ映画では単なるジジイではあるんですが、彼の立ち振る舞いとかセリフに僕は泣きましたね。

今の我が国のように、自己PRと自己保身または金持ち優遇政策(つまり自分たち議員のこと)のことばかりで、国民のことなんてこれっぽっちも考えていない政治家どもにこの名作をプレゼントしたいです。あとバカの一つ覚えのように毎日「コロナ何人」としか言わない思考停止なマスコミも同罪ですが。

で、このホーコン国王は結局イギリスに亡命するわけですが、その後はノルウェーレジスタンス活動を最大限に支援する裏方のような立場につくんですね。そのあたりは、ノルウェーの英雄でレジスタンスのリーダーであるマックス・マヌスの戦いを描いた「②ナチスが最も恐れた男」を続けてみることを痛烈にお勧めします。あまり憶えてませんが、劇中でマックス・マヌスが変なヒゲのジジイから勲章をもらって「光栄であります!」とかって挨拶してたんですが、要はそのジジイこそが、このホーコン国王だったんですね。ようやく謎が解けました。

ちなみにこのマックス・マヌスなんですが、顔は優男(本物は、も?イケメンです)で体も小柄なんですが、もうキチガイみたいなやつで、2階(3階かも)の窓から飛び降りて骨折したり、その後囚われ先の病院から看護婦を口説いて逃亡したり、もうハチャメチャなやつです。で、そのレジスタンス活動に参加する仲間達も究極にかっこいいんです。キチガイマックスを筆頭に、頭脳派のグンナー、腕っぷしの強いコルベイン、洒落者でマックスとすぐに意気投合したグレガス、そしてキザなラクなどなど、この仲間達って本当にいいんです。なんかこれを見ていると、デニーロのワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカの前半を思い出しました。

ファッションもお洒落で、特に洒落者グレガスのスリーピースのスーツにネクタイ、シャツの首元にスカーフ(ネクタイスカーフというんでしょうか?)、サスペンダーはお約束で、そしてフラットキャップを粋にかぶったスタイルは必見です。

ただ、マックスだけが作業服みたいないで立ちで少しダサ目ですが、まあ似合ってますよね。このマックスを演じた役者さんはアクセル・ヘニーさんと言って、ノルウェーオスロ出身の役者さんで、ものすごくいい味を出しているんですが、現在は完璧にハゲてしまったようです・・・。しかもボクと同い年という・・・。

まあとにかく、マックスが自転車に乗りながら後ろ向きに機関銃をシュダダダダダッッッ!!!と連射するシーンはもう最高にかっこいいです。それともう一点、見るべきはナチスの高官の女になってしまう金髪の秘書役の女優さんなんですが、もう最高に超絶にきれいです!もうこの子だけを2時間見ていたい!というほどの美人さんなので、世の小汚い(会社で何の役にも立ってない)おっさん達も、キャバクラなんか行かずに、まずはこの子を見るべきかと。

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