最近、第二次世界大戦のナチスドイツ関連の映画ばかり見ています。去年はイラクやシリアをはじめとするテロリストものにハマり、アルカイダやビン・ラディン、そして今は亡きアブ・ムサブ・アル・ザルカウィやアブ・バクル・アル・バクダディなどのテロリスト集団(イスラム国)や中東関連の本や映画を見まくりました。
そしてなぜか今年は第二次世界大戦モノにハマってしまい、色々と関連する著書や映画を調べてはレンタルしての日々を送っていましたが、要は第二次世界大戦ってその発端はドイツのポーランド侵攻だったんですね。そんなことすら知らなかった自分がほんとに情けないですハイ。
ともあれ、これがナチスやヒトラー関連となると、もう本もたくさんあるし、映画だけでも100本を優に超えるほどのボリュームなので、納得がいくまで見まくるにはまだまだ相当の時間がかかるはずです。で、参考になった本を紹介しましょう。
まず何より戦争映画という意味では「映画秘宝EX 猛爆!戦争映画100」が絶対に外せません。これは第一次世界大戦と第二次世界大戦、そして朝鮮戦争とベトナム戦争、はては近年のイラク戦争に至るまで、章ごとに見るべき映画を紹介していて、コラムも合わせればおよそ200本以上の戦争映画が紹介されていて、ものすごく参考になりました。そして、たとえ映画を見なくても、近代以降世界はどういう理由でどんな戦争を繰り返してきたのか、その概要が映画の解説とともに紹介されていて、戦争映画に興味がある人にはとにかく必読の書といえるでしょう。
で、そういう本を調べている段階で、最近出た「ヒトラーもの、ホロコーストもの、ナチス映画大全集 -戦後75年を迎えて-」という本もゲットしたんですが、なんでも著者が坂和章平さんという弁護士を本職にしている方で、中身は限りなく自費出版に近いレベル。この人って、映画好きが高じて自称映画評論家などと言ってますが、まあほぼ全ての文章が「ヒトラーの狙いは?この後ハインドリヒは?アイヒマンは?そしてこの少女の運命は?」とかって、その文末のすべてに「?はてな(ブログ)」を連発していて、もうひじょ~に読みにくいんですハイ。要は文章があまり上手ではないので、本のデザインもなんとなく素人っぽいし、これを定価で買ってしまった人はおそらく「ファック!このホモやろう!」と叫ぶこと請け合い。・・・・ですが、ナチスやホロコースト関連の映画を地道に紹介しているという意味では、それなりに買った甲斐はありましたけども。
さらに、Amazonで検索中に、商品の下の方に出る関連商品のPRにもろに引っかかってしまって「戦争映画が教えてくれる現代史の読み方 」という本も買ってしまいました。まあ、この本は世界史の年表とそれに関連する映画まで地道に紹介されていて、かなり参考になることは間違いないのですが、その記事が映画のタイトル毎に紹介されているのではなく、一つの章、たとえば「ユダヤ人の迫害」という章に対し複数の映画を網羅的に紹介するというスタイルをとっているので、なんとなく映画解説という意味では物足りなさが否めませんでした。それと文章が逆にきっちりしすぎてて、教科書的なマジメな文体なので、これまた物足りなさ満載というか。ただ、これらの本をきちんと読めこめば、おそらくは第二次世界大戦については詳しくなるはずです。
で、先のブログでもちょっと紹介したホロコーストを題材にした伝説的ドキュメンタリー作品「SHOAH ショア」の話をしましょう。この映画(ドキュメンタリー)はフランスのクロード・ランズマンという監督の負の芸術として名高いのですが、なんと全編で9時間27分もありますですハイ。よっぽどヒマなやつか、会社で何の役にも立たない無能なオヤジ、あるいはコロナを逆手にとってテレワークという仮面休暇を謳歌しているダメリーマンしか手を出さないこと請け合いです。
そしてボクは、あろうことか「クロード・ランズマン決定版BOX」というめっぽう高いブルーレイ5枚組BOXを買ってしまって、今痛烈に後悔してます。というのは、このランズマンオヤジなんですが、ビミョ~に姑息なんですよ。確かにあの地獄のホロコーストを生き延びた人々にインタビューを試みるのは素晴らしいんですが、あまりにも壮絶な経験なので、中には泣き出したり、話すのを躊躇する人も出てくるわけです。であれば、そっとしておくべきなのに「私たちは知る権利がある!がんばれ、絞り出すんだ!これは戦いなんだ!話してくれっ!」とかって、その悪夢のような出来事を半ば強引に話させようとするんです。まずこれがボクには耐えられませんでした。なにかの催眠療法やセラピストじゃあるまいし、そこには当時ナチが逃げ惑う人々を強制的に連行したのと同様の悪意または傲慢さを感じてしまいました。
もう一つは、ランズマンのクルーらが、まだ存命の元ナチスの将校なんかにもインタビューを試みるんですが、そういう元ナチスとかナチスに関与した人たちは犯罪者として戦後裁判で裁かれた身ですので、現時点では名前や住所を隠してひっそりと生活しているわけです。なので当然、撮影なんか許されるわけがないんですが、それを隠しカメラで撮って、勝手に映画にして全世界に公開しているわけですよ。
確かにナチスはとんでもない犯罪を犯していて、そこに弁明の余地はないわけですが、ただ、ナチスだったとしてもそれは組織集団であって、上の命令には逆らえなかったわけです。しかも、そのナチス党やヒトラーを熱烈に支持したのはドイツ国民そのものだったわけです。しかも彼らが現在も存命なのは、裁判で裁かれ、その罪の重さに応じた罰を受けているからこそ釈放されているんです。にもかかわらず「元ナチなので人間じゃない、だから許可なんて要らないし、この犯罪者たちは白日の下にさらすべきだ」というのは、ちょっとやり過ぎ感が否めませんでした。これはともすると「ユダヤ人だから人間じゃない!だから見て見ぬふりをすればいいんだ」という当時のナチやドイツの一般大衆と同じ論理のように感じました。
そもそもボクは、このホロコースト(ショア)というが国家的な犯罪・悪行が、何もドイツ人だけに起こるもの、ましてやヒトラーとその取り巻き連中が起こした特異な出来事とは思いません。きっとその国の政治・経済・社会情勢や、世界情勢、そしてマスコミの報道姿勢なんかによって、きっとどの国でも起こりうる事態であると感じてます。なぜってそれは所詮人間のすることですから。そして世界は残酷なんですよ。。むしろそれを認めずに、すべてナチスやヒトラーのせいにして、自分たちもまた被害者ヅラしている一般大衆の方がよほど危険だと思います。
ただ、そんな地獄からどうにか生還したユダヤ人にインタビューする際に、クロード・ランズマン監督と通訳の女性がしきりにタバコを吸っているのがかっこよかったですね。二人ともフランス人なのでなんかみょ~にオシャレでかっこいいんです。これを見て、東京都も受動喫煙防止条例、さっさと撤廃しましょうね。
まあともかく、このショアなんかより、むしろボクはドイツ国営放送の作った「ヒトラーとホロコースト -アウシュビッツ- 6枚組DVD-BOX」の方がよくできていると思いました。ショアは撮影時点におけるアウシュビッツ(ビルケナウ)収容所やヘウムノ収容所、ソビブル収容所、トレブリンカ収容所などの跡地の映像を延々と映し、そこにインタビューをかぶせるという手法をとっていたのに対し、こちらは当時の映像もふんだんに挿入していますので、もうリアリティとその衝撃が違いますよ。ちなみにこちらも5時間ありますので、ダメリーマンのおっさんたちは、こんな時だからこそコロナでなく、ある意味新鮮な鳥インフルやノロウイルスまたはデング熱を理由に自宅待機で見るべきかと。