GIGI日記~映画とか本とか~

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本「ブラックウォーター・世界最強の傭兵企業」

この本は、アメリカ最大の民間軍事会社である「ブラックウォーター社(現:Xe社)」の誕生からイラク戦争で果たした役割までをまとめた本で、おそらく世界で唯一のブラックウォーター入門本だと思います。

そのため、非常に期待して読んだんですが、残念ながら僕にはレベルが高すぎてとてもわかりにくく辛い本でした。530ページもあって分厚くて字も小さいので、読み終えるまでに100回ほど中断しつつ3週間ぐらいかかりました。

Amazonの評価はとても高いんだけど、レビューした皆さんはほんとに頭いい人が多いですね。なにせ書き方が「誰々がその時~~と言った。そして○○ポスト紙では~~と報じられた」といったような記述が延々と続き、最初に言いたい事とか主義・主張やテーマが書いてないので、途中から何の話をしているのかさっぱりわからなくなってしまう、といった困った本でした。

また、訳も直訳でひじょ~に読みにくいので、徐々にうんざりしてくるんだけど、最後のページでそれも納得、「翻訳に当たっては一部、○○ソフトを使いました!」と正直に書いてありました。だったら翻訳家いらねーだろ!と怒りすら覚えました。

ただ、この悪名高いブラックウォーター社はとんでもない会社なのは間違いなく、大体パターンが決まっていて、「要人の警護中に車両が近づいてきたため威嚇射撃をしたが、スピードを落とさなかったのでそのまま狙撃した。その後、車両から出ようとした人間は自爆テロの疑いがあるので射殺した。」というおきまりのパターンで、平気で一般のイラク市民を殺害し、そして1ミリも良心の呵責を感じてないのが恐ろしい。

大体1回に10~20人ほどの一般市民が犠牲になるんだけど(ニスール広場事件等)、民間軍事会社は軍隊ではないので軍法で裁くことができず、また国防総省ではなく国務省の管轄であったり、イラク暫定当局代表のポール・ブレマーの出した指令第17号※や、当のアメリカ政府の要人がブラックウォーター社の活躍?を絶賛するなどして、銃撃の張本人はさっさと国外退去してしまうといった有様で、イラクで活動していた民間軍事会社はにわかに信じがたい惨劇を繰り返し行っていたようです(※指令第17号・・・イラクで働く民間要員の犯罪についてイラク法では裁かれないという、完全な免責を与えるもの)。

「やらなければやられる」と社員は反論するけれど、そもそもイラクに侵攻する必要は全くなかったわけで、今のイスラム国の台頭やシリアの混乱はすべてアメリカに原因があった訳ですが、その一方で、当時のホワイトハウスのブッシュ、チェイニー、ラムズフェルド、ウォルフォウィッツ、ライスなんかのネオコンは、軍事関連会社の顧問を務めるなどしてちゃっかりと私腹を肥すといった体たらく。

そもそも彼らは全く戦闘経験がないくせに「TCCC(トム・クランシー・コンバット・コンセプト(トム・クランシーが小説で描く戦争構想)」に感化されて育った結果、うんちくばかりが過激で、それがなんかのまちがいで権力を持ってしまい、あろうことかTCCCを現実の世界でやろうとした結果、今の惨状を生んでしまったという、まさに子供の駄々っ子みたいな話です。

この本は、僕と同年代のジェレミー・スケイヒルさんという人が書いていて、他にも「アメリカの卑劣な戦争(上・下)」なんかがあり、最近やっとその上巻を読み終わりました。こちらは幾分本訳がましであるものの、やはり文章が「誰々がその時~~と言った。そして○○ポスト紙では~~と報じられた。」という表現が延々と続き、少しゲンナリ。この人の本、ちょっと合わないかなあ~。下巻を読み終えるまであと1ヵ月はかかりそうです。

ブラックウォーター――世界最強の傭兵企業

ブラックウォーター――世界最強の傭兵企業

 
アメリカの卑劣な戦争―無人機と特殊作戦部隊の暗躍〈上〉

アメリカの卑劣な戦争―無人機と特殊作戦部隊の暗躍〈上〉

 
アメリカの卑劣な戦争―無人機と特殊作戦部隊の暗躍〈下〉

アメリカの卑劣な戦争―無人機と特殊作戦部隊の暗躍〈下〉