GIGI日記~映画とか本とか~

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映画「ブロークバック・マウンテン」

評価:★★★★★

けっこう有名な映画「ブロークバック・マウンテン」です。とにかく大好きな映画。これもマイベストの一本。こちらも2枚組の「プレミアム・エディション」を買っちゃいました。やはり年に1回は必ず見ますね。

物語は60年代のアメリカのワイオミング州を舞台に、二人のカウボーイの激動の20年を描いた映画なんですが、なぜかゲイ・ムービーとして有名になってしまいました。が、僕にとってそれはどうでもよくて、むしろカウボーイの仕事や生活を描いた映画として、また60年代の貧困白人労働者や季節労働者のリアルな生活を描いた映画として、とても興味深くて新鮮な映画です。

主人公の二人は放牧された羊を獣(クマとかオオカミ?)から守るため、羊と一緒に大自然の中を移動し、羊の番をしながらテントを張って寝たり、野営地でダッジオーブンを使って食事を作ったりと、随所にキャンプ的要素が満載で、無性にアウトドアに出かけたくなります。まあ出かけませんが。

とにかく、その山間部の大自然の美しさがすばらしく、昼間は暑くても夜は急に冷え込んだり、時に雪が降ったりと、天候や季節変化の描写がリアルで見ていて全く飽きません。途中、熊が出てくるシーンはかなりビビりますので要注意。

とまあ、そんな中でカウボーイの二人、ジャック(ジェイク・ギレンホール)とイニス(ヒース・レジャー)は一夏を二人で過ごし、お互いに強く惹かれ合っていくわけです。今の時代、だいぶ世間の理解も進み、ゲイとかレズビアントランスジェンダーといった多様な性を認める社会になってきてるけど、当時はもろに差別の対象だったわけで、場合によっては殺されてしまったりとか、本当に恐ろしい時代だったんですよね。その意味で、そういった同性愛者の権利のために戦ったハーヴェイ・ミルクさんなんかは本当にすごい人で、その辺はガス・ヴァン・サント監督の「ミルク」に詳しいので興味のある方はどうぞ。

さてさて、特に好きシーンは、その運命を変える一夏を過ごしたあと、二人は数年ぶりに再会するわけですが、ジャックが来るのを家でせわしなく待ってるイニスのシーンです。とにかく落ち着きなく、絶えず貧乏揺すりをして、音がすれば窓の外を確認し、部屋を歩き回って、ビールをがぶがぶ飲み、タバコをすぱすぱ吸って、それでもなかなか来ないのでぐったりとソファに座り込んでグロッキー状態という・・・。このシーン、もう大好きです。しかしアン・リー監督はよくわかってらっしゃる。

もう一つ外せないのが、ジャックが奥さんのラリーン(アン・ハサウェイ)の両親を自宅に招いて感謝祭をともに祝うシーン。食事がはじまって、ジャックが子供にテレビを消させるんだけど、ラリーンの父親(グレアム・ベッケル)が「アメフトは男のスポーツだ!男らしく育てたいだろ!」とか言ってテレビを付けなおし、それをまたジャックが消しに行き、それを父親がまたしつこく付けに行って・・・・。という、子供のケンカみたいなくだらないシーンなんだけど、このグレアム・ベッケル親父はとにかくちょ~怖そうで、ほかにキアヌ・リーブス主演の「陽だまりのグラウンド」なんかにも出てるんだけど、凄みのある大男で絶対に怒らせたくないおっさんの一人というか、怖いよ~う。ちなみに映画でのその後の顛末は笑えます。

それと中盤、ヘルス・エンジェルスの残党みたいな二人組がイニスにボコられるシーンがあるんだけど、このシーンもお気にです。この二人は最初は威勢がいいんだけど、すぐに「今日は勘弁しろ!」とかって大人しくなって、だったら最初から騒ぐなというか。

しかし、イニスの妻役のミシェル・ウィリアムズはやっぱりここでも野暮ったくてウジウジしてて、あんまり好きじゃないなあ~。「ブルー・バレンタイン」でも「テイク・デイズ・ワルツ」でもそういう役が多いからでしょうか。しかし、そう思わせること自体、やはりすごい女優です。

カウボーイ、キャンプ、アウトドア、山登り、そしてここでもカーハート!なんかが好きな人にはとにかくおすすめの一本です。 音楽もとてもすばらしいです。

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