GIGI日記~映画とか本とか~

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天才、町山智浩さんと映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」

僕は映画もよく見ますが、同じくらい映画について書かれた本、雑誌、コラムなんかをよく読みます。特に映画評論家の町山智浩さんはすこぶる天才で、映画評論の本ばかりでなく、アメリカにまつわるコラムをまとめたペーパーバックなどなど、ほとんどすべての著作を買ってます。ともかく、この人ほど深く映画を理解している人はまずいないんではないでしょうか。

自分で適当に理解しているつもりになっている映画の記事を読んで「えっ!何この映画ってそんなメタファーが隠されてたの?」とか、「え、これってすごく感動したけど、実はこんな人種差別映画だったのかっ!」と、グウの根も出ないほどびっくり仰天したこと数百回。こんな天才が世の中にはいるんですよね。ただ、最近古本で買った「最前線の映画を読む」は、ページが折られてたり、中にご飯つぶが挟まってたりして、町山さんの本をこんなぞんざいに扱うな!と久々に怒りすら覚えました。古本とはいえちゃんと検品してください。

さて、町山さんの本を読むと、今まで以上に映画が楽しく大好きになるので全ての本がおすすめです。例えば「映画の見方がわかる本」「今のアメリカがわかる100本」「最も危険なアメリカ映画」「トラウマ映画館」「トラウマ恋愛映画入門」なんかはどれもすごくおもしろいし、その時々のアメリカをコラムチックに論じた「言霊USAシリーズ」もとにかく最高で、全部買って損はありません。

しかし、僕は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「フォレスト・ガンプ」が大好きなので、これらに対する町山さんの鋭い考察を読んだときはびっくり仰天してちょっとブルーな気持ちになったけど、「まあ、そういう見方もあるよね!けど、それを差し引いてもいい映画だしね。」と必死こいて思い直しました。

特に僕は「バック・トゥ・ザ・フィーチャー」の、マーティの父親役のジョージ・マクフライが大好きで、ビフにいつもバカにされてるのに、いつもニヤニヤしてへっちゃら感を醸し出しているのが好きです。タイムスリップしたマーティがサンドイッチ屋に入り、そこではじめて自分の父親であるハイスクール時代のジョージに出会うんだけど、いきなりビフと取り巻きが入ってきて、ジョージを小突いたりバカにしていると、それをじっと見ているマーティにビフが気づいて「なに見てんだ、なんで救命具着てんだ!こいつアホか!ガハハハッ!」とかって仲間と笑いものにするシーンがあるんだけど、実はそこで小突かれてるジョージもちゃっかり一緒になって笑っている、というこのシーンもう最高に好きですね。

このシーンって、わかってる人じゃないと絶対に思いつかないシーンで、要するにジョージは自分がいじめられてると思いたくないので、まあ、ビフたちは仲間だと必死に思い込もうとしていて、そこに自分以外のバカにされるべき対象が現れると、自分もビフたちと一緒になって笑うことで、ビフたちと束の間の一体感を保つ、というか。まあ、むずかしい分析は抜きにして、ジョージ・マクフライはほんとにダメなやつで、しかも何かあるとすぐ逃げるし、ずるいし、スケベだし、おタクだし、ダメなやつの四重苦みたいなキャラでもう大好きです。

そもそも、このジョージとかマーティは高校生という設定なんだけど、このぐらいの年齢で人生なんか絶対に決まらないので、中学とか高校でうまくいってないと思ってる若者たちは、ぜひこのジョージ・マクフライのダメっぷりをみて元気を出してください。人生なんて30になっても40になっても決まらないし、僕もアラフォーではありますが、まだまだやりたいことたくさんあるし。まあ、そんなジョージ・マクフライだけに、ビフに立ち向かっていくシーンは涙なしではみられません。このシーンが僕的にはこの映画のクライマックスです。

人生あきらめそうになったら、このブログで紹介した映画とか本を見てとりあえず世界にはダメなやつがたくさんいることを認識しましょう。phaさんもよく言ってるけど、家族とか友人とかの関係性が閉じているとどんどん心が閉塞してダークサイドにいってしまうけど、そういう関係性はすぐに変えることができないので、それを少しでも解放するフォース的役割を担うのが映画とか本(それとアニメとかマンガ)だと思ってます。つらいときはまず映画100本見て本100冊読みましょうね。

今のアメリカがわかる映画100本

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