GIGI日記~映画とか本とか~

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映画「スター・ウォーズ9 スカイウォーカーの夜明け」

評価:★★★★★(文句なしの五つ星)(ネタバレなし)

さてさて、待望の「スター・ウォーズ9」観てきましたよ!まだ興奮冷めやらぬ茫然自失の状態で気持ちの整理が追いついてません。少し手も震えてますハイ。先ほど帰宅し、劇場で並んでゲットした限定版のパンフを貪るように読み、高ぶる心臓を落ち着かせていたところです。

で、こういう公開中の映画のレビューって僕は初なのですが、当たり前ですが何一つネタバレしませんのでご安心ください。そもそも公開中の映画の内容をレビューするような暴挙はもはや犯罪として取り締まるべきだとすら思ってますので。

かつ、今観に行こうかどうか迷っている方々、鉄則ですが、とりあえずSW9の情報は何も調べずに観に行くべきで、四の五の言ってねえでさっさとネットでチケット予約してダウンジャケット羽織って世界に(外に)(そして劇場に)飛び出せ!と言いたいです。なぜなら今日はとても寒いので。

まあ、僕はそのようにするため、朝一のシアターを予約し、昨日は目覚ましを2つセットして少し早く寝たんですが、その間も楽しみで熟睡できずに2回も3回も目を覚ましてしまう始末。

デイジー・リドリーちゃん演じるレイはどうなっちゃうのか、アダム・ドライバー扮するへっぽこで情緒不安定なカイロ・レン君は?じじいのスノークは本当に死んだのか?ポー・ダメロンは?フィンは?フィンといい関係になったローズは?密かに結構好きなファースト・オーダーのへたれハックス将軍は?もうはてなブログだけにはてな?だらけという。特にじじいのスノークなんて、ハスブロ社の3.75インチフィギュアまで買ってしまったほどのいちファンな訳でして。

で、出かけましたよよりによってこの極寒の土曜日に期待に胸をふくらませ、遠足に行くときのような新鮮でワクワクな気持ちで40過ぎのおっさんがシアターに。しかも、SW9は140分とのことなので、上映中、絶対にトイレに行きたくなること必死なので、あわよくば老人用おむつを購入し、装着していくことすら検討した次第です。が、そこは、誰にも迷惑のかからない出入り口に近い席を確保することで乗り切ることにしました・・。そして、冒頭の帰宅後の文章に繋がるわけです。

はい、結論ですが、もう最高におもしろいので是非これまでのSWシリーズを視聴してきた皆様には自信を持ってお勧めしますのですぐにMOVIX等のサイトでレイトショーまたは明日の公開分のチケットを「ゲット・リッチ・オア・ダイ・トライン」してダウンジャケット片手に出かけやがれ!としか言いようがないです。何がすごいって、とてもここでは伝えきれませんが、必死にいくつか挙げてみましょうかね。

①まずは全ての伏線が回収されてますハイ。エヴァンゲリオンバックドラフト2のように広げすぎた風呂敷を畳めなくなるといった醜態は晒してません。
②特に「SW7/フォースの覚醒」や「SW8/最後のジェダイ」で消化不良だった点やはてなブログだった部分が神がかり的なまでにストンと腑に落ちてしまいます。さすがはJ.J.エイブラムス監督!兄貴と呼ばせてください。
③結構オールスターです。懐かしキャラの出演で度肝を抜かれ、なおかつ思い出深い場所や惑星も出てきてファンにはヨダレもののシーンのオンパレード。たぶん懐かしすぎて泣いた人もいるかと。
④そしてレイちゃんがとにかくかっこいい!今シリーズの最大の功績はレイことデイジー・リドリーちゃんという類い希なる女優を発掘できたことではないでしょうか。上映前の予告でスカーレット・ヨハンソンちゃん主演のマーベル映画「ブラック・ウィドウ」のCMが流れましたが、もうヨハンソン姉御は古いというか。比べるものではありませんし、ヨハンソンちゃんも結構好きですが、もう時代は(ジェダイは)デイジー・リドリーちゃんで決まり!というね。
⑤そもそも僕の場合、冒頭のオープニングロールからぶったまげて衝撃を受け若干パンチドランカー状態で相当のダメージを負いましたね。なので絶対に皆さん予習していかないように。
⑥なにより、この「スカイウォーカーの夜明け」というサブタイトルがいいんです。もう泣きましたですハイ。

とまあ、まだ帰ってきて3時間も経っていないのですが、まだ少し心臓がドキドキ脈打ってますし、映画館には結構年配のご夫妻とかもいましたので、僕のミディ=クロリアンレベルでもこの衝撃ですから、ヘタするとこの衝撃と感動で死ぬじじいとか出るかも・・という。

ともあれ、ご報告までにですが、結局途中で一回だけトイレに行っちゃいました、もうじじいですね。それと、見終わった後のタバコのうまかったこと!まさに、こんな時代に生まれたことへの感謝、そして、デイジー・リドリーちゃんへの感謝と期待ですかね。もはや、あらたなレガシーの誕生と言っていいでしょう。どうでもいいけど役人とか政治家とかが「レガシー」という言葉を使うと一気に嘘くさくなるのでやめてくださいね。さて、今からもう一度SW7と8を見直そっと。

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スター・ウォーズ9「スカイウォーカーの夜明け」

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最高指導者スノークとカイロ・レン

映画「ロッキー」から「クリード」まで

すっかり忘れてましたが、この10~12月の間にロッキーPart1~6とクリード1、2の計8本を2日で見るという快挙を成し遂げたことをご報告いたします。厳密にはクリード2本をみて、急に懐かしくなってロッキーを見直したわけですが、しばらくロッキーのテーマが頭を離れませんでしたハイ。ぼくの評価は以下の通りです。少しスター・ウォーズチックな勝手な副題を付けてみましたです。

①ロッキー1(評価:★★★★★)「ロッキーの覚醒」
②ロッキー2(評価:★★★☆☆)「アポロの逆襲」 
③ロッキー3(評価:★★★★★)「クラバー・メナス」or「ロッキーの復讐」
④ロッキー4/炎の友情(評価:★★☆☆☆)「最後のアポロ」
⑤ロッキー5/最後のドラマ(評価:★★☆☆☆)「トミーの攻撃」
⑥ロッキー6/ロッキー・ザ・ファイナル(評価:★★☆☆☆)「ロッキーの帰還」
クリード1/チャンプを継ぐ男(評価:★★★☆☆)「新たなる希望」
クリード2/炎の宿敵(評価:★★★☆☆)「ドラゴの逆襲」

しかし、この映画ってスター・ウォーズと並ぶ一大叙情詩だと思うのは僕だけでしょうか。「ロッキー・バルボア家の夜明け」といいますか。まあ細かな内容は本編を見ていただくかウィキペディアなんかで読んでもらうとして。

あらすじは、これまでボクシングに真剣に向き合ってこなかった中年の三流ボクサーロッキーは、借金の取り立てなんかの副業をしながら毎日ダラダラ過ごしていて、トレーナーのミッキーからも見放されているんです。ロッキーの唯一の楽しみは、近くのペットショップに勤める無口で地味なエイドリアンという女の子と一時の会話を交わすこと。ちょうどその頃、へビー級チャンピオンのアポロ・クリードは、対戦相手が負傷したことから代役捜しに奔走するも難航し、そこで本来は挑戦権のない無名の選手から、アメリカンドリームよろしく対戦相手を選ぶことを思いつくわけです。で、目にとまったのは「イタリアの種馬」という変わった異名をもつロッキーことシルベスタ・スタローン君だったんですわ。

以降は、Part1でロッキーが覚醒し、Part2でアポロが猛反撃、Part3で特攻野郎Aチーム のモヒカン扮するクラバーにロッキーがボコられ、Part4でロシアのサイボーグ=ドルフ・ラングレンことドラゴにアポロがボコボコにボコられ、Part5で元パダワンのトミーの攻撃を受け、Part6でロッキーが無事帰還を果たす、という物語なんです。・・・しかし、ここまで短いロッキーの解説って恐らく史上初かと。

特に注目は、アポロやクラバーのテレビカメラの前で痛烈に泡沫を飛ばしながらロッキーをディスりまくるシーンは必見です!亀田兄弟もかわいく見えるほどのdis はもうコミカルにすら感じます。「ロッキーのドアホやろう!マヌケやろう!腰抜け!出てこい!俺が殴り殺してやる!絶対にやってやる!アメリカから葬ってやる!怖いのか!生まれたことを後悔させてやる!」・・・・ぽか~ん。今なら絶対に問題になるでしょうね。

それとやはりトレーナーのミッキー役の役者さんがすばらしい。この人、バージェス・メレディスさんという方で、数多くの映画に出演したり監督したりもうとんでもない名優じゃないですか、知りませんでした。このしゃがれた声や、小さい体ながらアル・パチーノばりのドでかい声で泡沫を飛ばしながらロッキーのことを完膚無きまでにディスってディスってディスりまくるんだけど、そんな中でもやはり愛があるんですよね。それがミッキーの全身から伝わってくるんです。日本の映画なんかだとすぐにそれを台詞で説明しちゃうんだけど、この映画の場合は違うんです、ちゃんと演技で伝えてくるんですよね。いやぁ~熱いです、もうPart3は涙なくしてみれません。それと震えるほどのでかい声、いいですねぇ~。これだけでかい声を出せる役者って、日本にはいないよなぁ~。

さて、全てを連続して観賞した結果、僕が一番好きなのはやはりPart1と3ですね。僕の大好きな70~80年代のアメリカのフィラデルフィアという都市の雰囲気がもろに伝わってきて、映像がむちゃくちゃかっこいいです。ちなみに、ロッキー自身はPart4ぐらいまでには何度も防衛して超有名人の大金持ちになってて、ブランドのスーツなんか着たりグラサンかけたり、要はカッコつけてるんですが、それが全く似合ってないし、むしろダサいんですよね。そもそも80年代ってアメリカの最もダサいファッションが流行った時期ですし。で、そんな幸せな日々も束の間、Part5でロッキーは会計士にだまされて無一文になって落ちぶれ、挙げ句にPart6では愛するエイドリアンも亡くなっていて、さらには息子にもほとんど相手にされなかったり、もう踏んだり蹴ったりなんですわ。ただなぜか、ファッションだけはその落ちぶれたロッキーの方がかっこいいという矛盾。

けれどその後もロッキーは、そういう色んな哀しみを背負いつつ、レストランを必死に切り盛りしたりして、夢想転生を極めたケンシロウのごとく、優しいまなざしで日々を賢明に生きているんです。

あっ、ちなみにその後の続編「クリード」を忘れてましたが、クリードっていうのはなんとアポロ・クリードの息子、アドニスクリードの物語なんですね。偉大な父をもったクリードの苦悩と葛藤、そしてそれを見守る父親の親友ロッキー。この、年取ってジジイになって丸くなったロッキーの立ち振る舞いがまたいいんですハイ。

人生に若干躓いている方、ロッキーサーガ、自信を持っておすすめですね。ロッキーオヤジの勇士を見て元気を出しましょうよ。それとスター・ウォーズ9がそろそろ公開されるので、見に行く前にPart1~8の連続視聴に挑戦しようかな。

 

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その他「散歩という自由」

さてさて、自分のブログを読み返していて痛烈に感じました。というのは、最近の僕のブログの記事には「あまり内容を覚えていない」とか「ほとんど忘れてしまった」などという逃げの姿勢ないし適当さが非常に目立っていることに。

たしかに最近、というか先の休みから怒濤のUPを繰り返しましたので、それは致し方ないのかもしれませんし、また「覚えていない」ということ自体もまた立派な感想の一表現なのかも、と一瞬思いましたが、やはり逃げ腰、及び腰であったことは確か。まるであとがきだけを読んで読書感想文を書くかのごとく。

深く反省しましたので、そのような紹介をした部分は後日改めて詳細を個別にアップしていこうと思います。なにより、僕は映画や本の内容を思い出したいときに、この自分のブログの記事を見返したりする場合も多いので(というより、その意味もあってブログをはじめた経緯があります)「覚えてない」「記憶にない」などというどこかの政治家みたいなふざけた台詞を繰り返してしまうと、もうほとんど役に立たないというね。

◎さて本題です。僕はもともと外出があまり好きではない究極の自宅大好き引きこもりホームシック人間なのですが、ここ何年かは積極的に散歩に出るようにしています。まあ、仕事上の理由もありますが、せっかく近くにすばらしい公園(セントラルパークと呼んでます)があるのだし、僕の敬愛する勢古浩爾(せここうじ)さんの本(定年後シリーズなど)にも散歩の描写がよく出てくるし、真似して散歩するようになりました。

で、あらためて気づいたんですが「やはり・世界は・すばらしい!!」んですよ。

なんだか水野敬也さんの「それでも僕は夢を見る」みたいなノリになってきましたが、つまりはそれを実感できるのが散歩なんです。普通は人が外に出かける時って、基本的には目的があるわけです。それが何かを買いに行くためだったり、人に会うためだったり、お店に行くためだったり、あるいはある特定の場所に行く(観光)ためだったり、そういう諸々の事情から外に、つまりは世界に出て行くわけです。ちなみに僕は最近、なぜか外に行くときに「世界に行ってくるよ」と言ってます。って、なにがセカイだよ。

つまりは、A地点からB地点へ移動するという前提があって、その枠組みの中で人、物、場所、というファクターが付随しているだけで、そのファクターに囚われすぎているのがいわば現代人というわけでして。しかし、しかぁ~しです。実は「散歩」はそこから唯一逃れるすべのひとつ、つまりは「自由」なんですよね。・・・・ってほんとかよ。

尾崎豊が「15の夜」という唄で「自由になれた気がした~15の夜~♪」と歌ってましたが、これは何もバイクを盗んだからではなくて、目的もなく、人、物、場所、といったファクターから一次的に解放されて走り出したからなんですよね。

まあ確かに散歩の場合も、あそこ行って、ここ寄って、あそこでタバコ吸って、あっこまで行ったら戻って・・・・などという目的や目標とする場所は確かにあるにはあるんですが、ほぼノープランですし、その場その場で適当にルートも柔軟に変えますしね。

長々とくだらないことを書きましたが、つまりは「もっと皆さん散歩しましょうよ!」っていうことなんですよ。例えば村上春樹さんの「ノルウェイの森」の中で、ボクことワタナベ君と直子はただひたすらに街中を歩き回るだけの描写があるじゃないですか。僕はこの描写を読む度に無性に散歩に行きたくなるんですよね。ただ、街中は信号があったり車とか自転車が多いので勘弁~。

なので、公園の散歩、これが最高なんです。ただ公園といってもくそ狭い街区公園レベルではなくて、もっとでかい公園です。で、あまり意識してなかったので調べてみましたよ「都市公園」ってやつを。

そもそも都市公園というのは、①住区基幹公園、②都市基幹公園、③大規模公園、④国営公園、⑤緩衝緑地等の5つに区分されるようで、僕の街の場合、④と⑤はほぼ無関係なので無視して。で、さらにそれが以下のように細分化されています。めんどくさ。

①住区基幹公園・・ア)街区公園(50×50m)
       ・・イ)近隣公園(140×140m)
       ・・ウ)地区公園(200×200m)
②都市基幹公園・・ア)総合公園(10~50ha/東京ドーム2~10個)
       ・・イ)運動公園(15~70ha/東京ドーム3~15個)
③大規模公園・・・ア)広域公園、イ)レクリエーション都市(←もう無視します)

なんとな~く広さのイメージがつかめましたでしょうか。そして僕の街のセントラルパークは16haぐらいなので、上記区分からすると総合公園に該当するわけで、東京ドームにして実に3個分程度の広さ、ということが判明しました。あ~どうでもいい。つまり何が言いたいのかというと、散歩に必要な最低限の公園としては、②都市基幹公園レベルのものが望ましい、ということなんですね。

ちなみに僕が生まれ育った場所は近くに「①住区基幹公園」しかない最低の地方都市で、しかもその公園すら橋を渡った向こうにあり、挙げ句にそこに行くまでの道がちょ~狭くて車にぶつかりそうになること受け合いの最悪の街でした。もはやこの街の都市計画者があえて散歩者を極力出さないようにするために設計したとしか思えないほどのひどさ。あるいはナチの強制収容所の設計を下書きにしたかのような。

僕は常々思うんですが、引きこもりとか寝たきりのお年寄りが多い要因として、ある意味その町の設計とか町並みにも原因があるんじゃないのかと。だって、家のすぐ近くにみどり豊かな公園があれば、人は自ずとそこに出かけたくなるに決まってるじゃないですか。

さてさて、今後の30年間でわが国の人口は9,500万人を割り込む(40年後は9,000万人を切る)と予測されていますが、それだけ人口が減ってくると街中の至る所に空き家や空き地が増え、未利用・未管理のオープンスペースがあちこちに出現していくと考えられます。今でこそそういうスペースはすぐにタイムズなんかの駐車場になるのが関の山ですが、もはやそれだけ人口が減ってくると「いらね~よもう駐車場なんて!」という事になっていくはずです。その時に備え、それらのオープンスペースや社会資本としての公園などの緑地をどのように活用していくのか、そろそろ日本も本腰を入れて考えていくべき時期にきているように感じますね。まあ、個人的には公園やみどりを増やしてほしいだけなんですが。

なんだか話がみょ~な方向に行ってしまいましたが、わがセントラルパークのラクウショウの紅葉は実に見事で、その樹冠のトンネルの中から撮った写真が下ですハイ。そして、思いましたね、いや~、やはり世界はすばらしい!

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ラクウショウの樹冠の下から
定年後のリアル

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文庫 さらなる定年後のリアル (草思社文庫)

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それでも僕は夢を見る

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  • 作者:水野 敬也
  • 出版社/メーカー: 文響社
  • 発売日: 2014/03/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 
ノルウェイの森 (講談社文庫)

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本「この2ヵ月で色々と読みました」

僕は本が大好きで、しょっちゅうブックオフオンラインとかアマゾンのマケプレ、あとはメルカリなんかで買ってます。しかし、僕の読む本はベストセラーとはほど遠いので、そもそも取り扱いが少ないし、結構高いのが泣き所なんです。さて、この2ヵ月で読んだ本のラインナップは以下の通り。

イスラム国はよみがえる(ロレッタ・ナポリオーニ)
②超・格差社会アメリカの真実(小林由美)
③中東の絶望、そのリアル(リチャード・エンゲル)
④西洋の自死(ダグラス・マレー)
⑤移民 難民 ヨーロッパの現実 2011-2019(川口マーン恵美)

あれ、10冊いってないじゃん。まあ、現在同時並行で読んでるのが以下のラインナップなので、そのぐらい読んだと錯覚してしまったようで。しかも、ほかにも同時並行が5冊ほど休止状態という。

⑥FEAR恐怖の男~トランプ政権の真実~(ボブ・ウッドワード
⑦11の国のアメリカ史~分断と相克の400年~(コリン・ウッダード)
⑧階級「断絶」社会アメリカ:新上流と新下流の出現(チャールズ・マレー)
アメリカ死にかけ物語(リン・ディン)
アメリカンドリームの終わり あるいは、富と権力を集中させる10の原理(ノーム・チョムスキー

とまあ、なんだか読み終わってないの多いですね。
特に先に挙げた①~⑤のうち、洋書の翻訳版の①と③はものすごく読みやすい本で、これは内容の飛び抜けたおもしろさはもちろんのこと、翻訳が非常に優れているからなんだと思います。さてさて、さらっとレビューしていきましょうか。

①「イスラム国はよみがえる」ですが、これは「イスラム国 テロリストが国家をつくる時」の文庫版で、何章か加筆されたためにこのようなタイトルになっています。翻訳がすばらしくて読みやすく、イスラム国の成り立ちや目指すべきところが非常によく理解できます。しかしながら、最近最高指導者でカリフを自称したアブ・バクル・アル・バクダディが殺害されましたね。だからといってテロの脅威が無くなったわけでは全くありません。

そもそも中東が問題なのはイスラム国だけではなく、原理主義者の組織が群雄割拠(ぐんゆうかっきょ)しつつ跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)しているからなんです。最近の中東の混乱と悲劇は何もブッシュ大統領ら(あるいはチェイニーやラムズフェルド)だけのせいではもちろんありませんが、彼らネオコンパンドラの箱を開けてしまったのは間違いありません。それと重なるように起こったアラブの春とその後のチュニジアやエジプトやリビアの混乱と、シリアのアサド政権の徹底した弾圧などが複雑に重なりあった結果、今のような惨状と化してしまったわけです。

またそれ以降、欧州各国で頻発したテロ事件も、それらの影響で大量に欧州に流入してしまった難民の影響であることも間違いありません。そしてこの難民問題の本質を、ドイツ在住の日本人である川口マーン恵美さんが⑤「移民 難民 ヨーロッパの現実」で赤裸々に説明しています。この人の本は当初全く期待していなかったんですが、とにかく文章がものすごく上手で一気に読んでしまいました。早速中古でこの人の本を買いあさることにしましたよ。詳しくはまた後日ブログで説明します。

②「超・格差社会アメリカの真実」もまた文章がすばらしい。小林由美さん、知りませんでしたが、すごい人です。アメリカの特権階級の実情や最下層の現状ばかりでなく、アメリカという国の成り立ちから行きすぎた資本主義のなれの果てまで、ものすごく勉強になりました。が、小林さんごめんなさい、もうほとんど内容を忘れてしまったので、また読み直して勉強します・・・。

③「中東の絶望、そのリアル」はあの村上龍さんが大絶賛した本です。作者はリチャード・エンゲルさんというイケメンの海外特派員で、この人は先のイラク戦争におけるアメリカ軍の侵攻を、なんとその中心地となったバクダッドからリアルタイムで中継した唯一のアメリカ人記者として有名になりました。それ以降、この人はベイルートイスラエルレバノン、エジプト、リビア、シリアと次々にヤバい地域に飛び、その現状を伝え続けているものすごいジャーナリストなんです。この本はそれらの地域での現状がものすごく丁寧に記されていて、臨場感抜群のすばらしい本です。

④「西洋の自死」については、先に少し紹介した川口マーンさんの⑤「移民 難民~」とセットで読むことをおすすめします。2015年以降、ドイツではメルケル首相の難民受け入れのEUでの決意表明とゴーサインとともに、それを熱烈に支持した数多くのドイツ人たちが、自分たちはヨーロッパで一番の人道主義ヒューマニズム)国家!といった自己陶酔に酔いしれたわけです。しかしながら、それ以降現在に至るまで、シリアばかりかアフリカ大陸からも大量の難民がドイツに押し寄せ、地中海は多くの難民船であふれ、はたまた難民を高額な報酬で送り出す犯罪組織も台頭する始末。しかもなんとその2015年には、1年間で100万人を超す難民がドイツに入国した挙げ句、現在では本来は難民ではないただの貧しい人々でさえもこぞってドイツを目指すようになっている有様です。

そもそも純然たる事実として、そういう難民たちというのは、一度その国に定住すると、自身の国の内戦が終わっても決して自国には帰らないのが通例で、むしろ自国に残った親戚やら家族やらを呼び寄せることすらあるわけです。別にそういう人々が悪いといった話ではなくて、そりぁ当たり前ですよ。国自体が裕福で、社会保障もしっかりしていて、住む場所があって、食うに困らず、何より殺される危険が絶対的に低いわけですからね。

確かに戦争難民なんかは当然人道的に手を差し伸べていくことは大切ですが、それは当然、無尽蔵というわけにはいきませんし、然るべきルールが不可欠で、そもそも全く生活習慣や文化の異なる人々を少数ではなく大量に受け入れるということ自体(100万人って!)、ヒューマニズムよりも前にまずメリットとデメリットがあることを知って然るべきです。だって、自由の国アメリカを見てください。未だに人種間の争いが絶えません。そしてドイツでも、当然のことながら受け入れた難民の犯罪が圧倒的に増えているという恐ろしい事実、そしてそれをひた隠しにする政府やマスコミ。人間の性ですが、そのかわいそうな難民の中にも当然、犯罪者や人格破綻者、はてはテロリストすらいるわけで、むしろ「難民は全て善である」とする論調こそ間違いであって。

今後ですが、おそらくEUという共同体は間違いなく弱体化し瓦解していくと感じましたね。そしてこの川口さんの本「移民 難民 ヨーロッパの現実」は、そのことを遙か以前から見越した優れた名著として語り継がれるに違いありません。

 

「イスラム国」はよみがえる (文春文庫)

「イスラム国」はよみがえる (文春文庫)

 
超・格差社会アメリカの真実

超・格差社会アメリカの真実

  • 作者:小林 由美
  • 出版社/メーカー: 日経BP
  • 発売日: 2006/09/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 
戦場記者が、現地に暮らした20年――中東の絶望、そのリアル

戦場記者が、現地に暮らした20年――中東の絶望、そのリアル

 
西洋の自死: 移民・アイデンティティ・イスラム

西洋の自死: 移民・アイデンティティ・イスラム

 
移民 難民 ドイツ・ヨーロッパの現実2011-2019 世界一安全で親切な国日本がEUの轍を踏まないために

移民 難民 ドイツ・ヨーロッパの現実2011-2019 世界一安全で親切な国日本がEUの轍を踏まないために

  • 作者:川口 マーン 惠美
  • 出版社/メーカー: グッドブックス
  • 発売日: 2019/11/02
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

その他「はてなブログの行間の件ほか」

昨日の夜ですか、自分のヘタっぴな文章のチェックも含め、寝る前に自分のブログをKINDLE端末で寝ながら読み直してたんですが、このブログの行間の幅が広いために、必死にスペースで送って改行していた部分(最も苦労する部分)が、端末とかGoogle Cromeでみるとグチャグチャのメチャメチャにずれていることにやっと気づいて驚愕!ぐわっ!クソ見にくいじゃん!なんだこれ!と失意のどん底に落ち込みました。僕のブログを読んでくれている数少ない皆様、お詫び申し上げます。

先ほど、休みの日の恒例イベント=公園散歩から戻り、心機一転、ようやく過去の記事も含め、修正作業に着手する事を決意しました!

ちなみに僕の住む町は付近にU字型の公園が整備されていて、2キロほど車を気にしないでひたすら歩き続けることができ、周囲には広場や野球場、それに池や流れまでがあって見所が多く、とにかく快適で気持ちいいんです!

ジョギングする若者や、散歩しているじじい(お年寄り)とか、犬を連れたおばさんたち(奥様方)とか、大声で鬼ごっこしてるガキども(お子さんたち)、さらにはポカポカ陽気の時は家族がシートを広げてピクニックをしたりと、皆さん思い思いにこの公園を利活用してるんです。僕はこの公園を「~~地域のセントラルパーク」と呼んでますが、本来、公園ってこういうものですよね。

なのに、最近の公園はやれ~~禁止!それ~~禁止!これ~~禁止!のオンパレード。ふざけんな!と言いたいです。確かにマナー違反者が多いことが最大の理由ではありますが「何かトラブルがあるくらいならむしろ全て禁止にしてしまえ!」というその安易な発想ってある意味「思考停止」ではないのでしょうか?例えばボール遊び禁止、かけっこ禁止、スポーツ禁止、声出し禁止、ラジコンも当然禁止、飲食禁止、バーベキューや花火なんてもってのほか・・・って、じゃあいったいここでなにをしろと?

もう一つ特徴的なのは、そういう公園に生い茂る美しい樹木たちを、もはや最大限に切り切りに切り詰めてしまうという強度の剪定管理。あのう~そこまで切るともはや電柱と変わりないんですが・・・。確かに公園の管理費が年々縮小されているのはわかりますが、本来樹木は切り詰めるものではありません。街路樹ならともかく、公園という緑地内の樹木を切り詰めるというのは、百害あって一理もないことを国も国民もしっかりと知るべきですよ。美しい樹冠があってこその樹木なわけですから。ちなみに余談ですが、切り詰めれば詰めるほど樹木というのはそこから腐朽菌(樹木を腐らせる菌)が侵入して枝が折れやすく倒れやすくなります。

やれ、落ち葉が困る、日が当たらないという声が聞こえてきますが、落ち葉なんて土の上に飛ばないようにストックしておけばいいんです。いずれ土に返りますよ。バカみたいに埃まみれで毎日掃いて、徹底してゴミにまとめる必要って本当にありますか?清掃してる皆様には本当に頭が下がりますが、周辺は砂埃が舞うし、シャカシャカほうきと地面がすれる音が結構ノイジーですよ。

えっ?日が当たらない?まあ確かにそれは少しイヤですが、欧米では居間とかリビングには家具が傷むのでむしろ日があたらない方が好まれるんです。それと、欧米ではそういうみどり豊かなロケーションに近いマンションの方が資産価値が高いんです。

しかしながら、わがセントラルパークは、最近はそういう強度の剪定が入っていないので、樹木ののびのびと健やかに伸びて見晴らしやみどり景観が格段にすばらしいですね。先ほどもラクウショウの林の中を歩いてきましたが、ラクウショウはわが国には数少ない落葉性の針葉樹なので、ちょうど落葉期を迎え、樹冠が所々赤やオレンジ色に染まって、ちょっと幻想的でひたすらに美しかったですハイ。管理者の皆さん、今後も剪定は枯れ枝程度にとどめてくださいね。

話がかなり脱線しましたが、はてなブログの行間の問題は、SHIFTキーを押しながらENTERキーを押したり、あるいはデザインのCSSにコードを追加することで解決できるようですね。よしっ!早速やってみよっと。

 

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左がラクウショウ、右がイチョウ

映画「10~12月の隙間時間で見た映画⑤」

やっとあとニ本の紹介まできましたよ。結局一日かかってしまいました。

⑩マイ・サンシャイン(評価:★★☆☆☆)
バックドラフト2(評価:★★★☆☆)

まず「⑩マイ・サンシャイン」ですが、これはアメリカのロサンゼルスで、黒人の多く住むサウスセントラル地区で1992年に起きたロス暴動を題材にした映画なんです。たしか黒人の暴動映画ってなんか最近も見たような気が。あっ、あれはジョン・ボイエガ主演の「デトロイト」だった。ちなみにデトロイト暴動は1967年ですし、この「デトロイト」はクソで映画ですので気をつけましょう。しかし、最近多いですよね、黒人人種差別モノ。

この映画も最初はいい感じで話が進んでいくんですが、もう途中から物語のポイントがどんどん拡散して収拾がつかなくなっていくという悲しさ。色々入れ込みすぎ感が否めません。最後はどうなったのかあまり覚えてませんが、終盤にとある悲劇が起きるんだけど、これは暴動そのものとは全く関係なくて、単なる仲間同士の嫉妬とかやっかみが原因だったりとか、ハル・ベリー家の隣人のダニエル・クレイグの役回りがよくわからなかったりとか、盛り込みすぎてパンクした典型でしょうかね。これを見るなら「フルートベール駅で 」の方が何倍もすばらしい。少し期待はずれでした。

最近の映画の典型ですが、そもそも劇中、何か事件って必要なんでしょうかね。「荒野にて」もそうですし、この「マイ・サンシャイン」もそうですが、父親が死んでしまったりとか、ロドニー・キング事件で警察が全員無罪になったりとか、もうすでに悲劇的な事件は起きてるわけだから、それに上塗りするような事件はもう必要ないですよ。そうやって詰め込めば詰め込むほど一つ一つが薄まってしまうのでむしろ逆効果というか。

さて、やっと最後の「⑪バックドラフト2」ですね。言わずもがな、前作、消防士映画の走りであり金字塔の「バックドラフト」のほぼ30年ぶりの続編!そもそも僕はこの続編が公開されたことすら知らず、レンタル屋で見つけた瞬間はそれはもう、心が震えましたね。

続編が作られたばかりか、あの時のへっぽこブライアン役のウィリアム・ボールドウィンや放火魔のドナルド・サザーランドも元気にきちんと出演しているというじゃないですか。そもそも僕は、数年前に防火管理者の講習を受けに行く前、前作の「バックドラフト」をちゃんと見てから行ったほどのファンなわけで。

で、映画はなんとあのブライアンの兄貴役のカート・ラッセル(スティーブン・ "ブル"・マカフレイ役)の息子ショーンが主人公で、しかも役柄は消防士ではなく火災調査官という役どころ。この役って前作でデニーロがやってた職務に近いのかな~と期待大、もう懐かしさと感動の嵐・・・なはずだったんですが、・・・一体何をどうしたらこういう展開に・・・というはてなマーク?ばかりが頭の中を点滅し続け・・・で、ジ・エンドっというね。

なんじゃこりゃ~!!!!!!!!!と疑問と怒りと悲しみとやるせなさが錯綜し、なんともはや、まるでブラット・ピット主演で、テレンス・マリック監督の「ツリー・オブ・ライフ」を死ぬほど期待して見た後のような悪夢の再来というか。

とはいえ「ツリー・オブ・ライフ」ほど意味不明でストーリー性が皆無で全くおもしろくないというわけでは決してありませんし、当然ですが映画の内容や作り自体も全く別物です。もちろん、ストーリーは楽しめますし、言わんとするところもわかります(厳密にはわかりません)。さらに言えば、主演のショーン役のイギリス俳優ジョー・アンダーソンがかっこよくて、まるで今は亡きポール・ウォーカーを彷彿とさせます。なのになぜ、こういう悲劇が起きてしまったのでしょうか。いくつか要因を考えてみると、まず、細かなところで説明不足で、色んな伏線をしっかりと回収していないのが最大の原因でしょうか。

あのドナルド・サザーランドじじいの合計10分ほどの思わせぶりなセリフの数々は結局どこに繋がるの?とか、犯人の仕掛けたトラップってどういう原理で?とか、そもそもなぜショーンは助かったの?とか、そもそも犯人って誰?とか、いなくなったハンター夫婦はどこに行ったの?とか、相棒役のマギー・レニングって過去に何があったの?とか、なんでウィリアム・ボールドウィンの奥さんが前作のジェニファー・ジェーソン・リーじゃないの?とか、もう疑問だらけのまま物語は終局に至ります。

まるでエヴァンゲリオンのテレビシリーズのような有様で、見終わってカタルシスを得られた人ってほとんどいないのではないでしょうか。つまりは消防士映画を下手な国家的陰謀アクション大作方向に持って行くこと自体、かなりの無理があるわけで。ミサイルとかマジどうでもいいし。

すごく悲しかったです。けれど、そういうダメダメ部分が多いとはいえ、結構いい部分もあって、例えばショーンの住んでいるロフトがかっこよかったりとか、いつも食べてる羊肉のエスニック料理とか、なぜか敵対してばかりいる元同僚?とか、犬の名前は?と聞かれる度に、どう見ても飼ってるくせに「付けたら飼わなくちゃだめだ」と答えたりとか、結構印象に残る部分が多いんですよね~。しかもワンコは前作でカート・ラッセルが買ってた犬とそっくりだし・・・。それだけに残念感が否めません。

しかし、僕がこの映画に★を三つ付けたのは、実は痛烈に今後のさらなる続編を期待しているからなんですよ。最後の方でショーンが消防を辞めるとかって言ってたけど、ショーンの唯一の取り柄は火を読めることなんだから、まずそれはあり得ないし、またロン・ハワード監督が撮ってくれることを痛烈に期待してます。

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映画「10~12月の隙間時間で見た映画④」

まだあと4本も紹介しなければなりません。しかし最近全くブログってなかったので、結構書きたいことってあるものですね。今年始めたブログですが、やはり年間100本程度は記事を載せたいですハイ。

⑧おとなの恋はまわり道(評価:★☆☆☆☆)
⑨ボーダーライン・ソマリア・ウォー(評価:★★★☆☆)

8本目ですが「⑧おとなの恋はまわり道」です。これは元々見たかったというより、万引き事件以降落ち目で久しぶりにめでたく復活したウィノナ・ライダーを見たかっただけだったんです。で、まあ元気そうで安心はしたんですが、やはりというか、さすがにというか、ウィノナも年をとりましたね。かつての美少女もさすがにもう50才近いわけですし、そりゃ、ジュリー・デルピーも「ビフォア・ミッドナイト」でずいぶん年を取ってましたけど、ジュリー・デルピーの方は何となく健全な年の取り方なんですが、ウィノナの方は少し屈折してるという印象が否めませんでした。劇中、ウィノナお得意の白目をむくシーンなんか、若いときならともかく、もはや少し怖かった次第です。

そもそもこの映画って究極の自己満映画で、劇中ずっとへっぽこ役者のキアヌ・リーブズとウィノナ・ライダーの掛け合いが延々と続くだけなんです。周りには色々な方々が出演していますが、もうそんな人達には一切関わることなく、ずっと二人の世界だけが延々と続くんです。もはやこの二人以外、この世には存在しないと言わんがばかりの勢いで。つまりは他者を徹底的に排除してそぎ落としたというね。もはやこの二人以外空気扱いですわ。けれど、現実の世界でも、人って案外そういうものかもしれません。自分たち以外には一切興味なしで、他人なんてどうでもいいといったように。そういう意味からすると、むしろ本質を捉えた映画なのかもしれませんが、なにぶん、僕の集中力がなかったからなのか、記憶力が低下しているのか、この二人の掛け合いのほとんどが記憶にないんですよ。

例えば、イーサン・ホークジュリー・デルピーのビフォア三部作(「①ビフォア・サンライズ」「②ビフォア・サンセット」「③ビフォア・ミッドナイト」)なんかは、今でも二人の会話のいくつかは思い出せるし、たま~に無性に見直したくなるんだけど、この「おとなの恋は~」の場合はもう一回でいいですごめんなさい、という感じなんですよね。まあ、キアヌとウィノナにはイーサン・ホークジュリー・デルピーの真似は当然できませんし、ちょっとハードルが高すぎたように感じます。

次に「⑨ボーダーライン・ソマリア・ウォー」なんですが、この邦題、さすがに勘弁してください。ソマリア・ウォーでいいじゃないですか。なんで頭に「ボーダーライン」を付けるのかと。ジョシュ・ブローリンとベネチオ・デルトロの傑作「ボーダーライン」を意識したんでしょうが、決定した人、あまり国民をナメないように。

で、この映画もまた実話物で、ソマリア湾沖で暗躍する海賊らの実態を世界ではじめて伝えたジャーナリストであるジェイ・バハダーさんの伝記映画なんです。しかも、この人の書いた「ソマリアの海賊(The Pirates of Somalia: Inside Their Hidden World)」という本は、アメリカでベストセラーになったようですが、なんと日本では全く相手にされず、日本語訳版は未だに発刊されていません。そもそも、世界情勢なんて、ほとんどの日本人にとって関心がないし、この国際社会への関心の低さって、世界的にも日本人は突出してるんでしょうか。僕の場合は、中東情勢とかアメリカやヨーロッパ諸国の動向に関心が強いので、その国の人が書いた本を読んだり映画を見たりしているわけですが、まあ、そういうやつは周りにもほとんど皆無ですしね。

ただ「ソマリアの海賊」がアメリカでベストセラーになったのは、2009年のソマリ海賊による「マースク・アラバマ号」乗っ取り事件で、船長のリチャード・フィリップス船長が拘束されたからでしょうかね。「キャプテン・フィリップス」という映画にもなりましたし(これはまだ見てません。船長役がトム・ハンクスなのがちょっと・・・)。

ちなみに映画自体はなかなかよくできていて、意外にも見応えがあります。ただ当然のことながら映画「ボーダーライン」とは全く関係がなく、単にジャーナリストを追っただけの映画なので、当然派手なドンパチは一切ありません。ベテラン・ジャーナリスト役のアル・パチーノが、ジャーナリストになるためにハーバードで再度学びなおそうとするジェイ・ハバター君に「ファッキン、ハーバードなんてやめろ!真のジャーナリストになりたければ手っ取り早い方法を教えてやる。いいかよく聞け、それは誰も行かないところへ行くことだ!」というシーンは説得力があります。あの~う日本のジャーナリスト気取りのマスコミ関係者のみなさま、この台詞、よく肝に銘じてくださいね。今すぐ、修正ペンで名刺から「ジャーナリスト」という言葉消してくださいね。

あっ、またたった2本で2,000字超えた。

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