GIGI日記~映画とか本とか~

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本「この2ヵ月で色々と読みました」

僕は本が大好きで、しょっちゅうブックオフオンラインとかアマゾンのマケプレ、あとはメルカリなんかで買ってます。しかし、僕の読む本はベストセラーとはほど遠いので、そもそも取り扱いが少ないし、結構高いのが泣き所なんです。さて、この2ヵ月で読んだ本のラインナップは以下の通り。

イスラム国はよみがえる(ロレッタ・ナポリオーニ)
②超・格差社会アメリカの真実(小林由美)
③中東の絶望、そのリアル(リチャード・エンゲル)
④西洋の自死(ダグラス・マレー)
⑤移民 難民 ヨーロッパの現実 2011-2019(川口マーン恵美)

あれ、10冊いってないじゃん。まあ、現在同時並行で読んでるのが以下のラインナップなので、そのぐらい読んだと錯覚してしまったようで。しかも、ほかにも同時並行が5冊ほど休止状態という。

⑥FEAR恐怖の男~トランプ政権の真実~(ボブ・ウッドワード
⑦11の国のアメリカ史~分断と相克の400年~(コリン・ウッダード)
⑧階級「断絶」社会アメリカ:新上流と新下流の出現(チャールズ・マレー)
アメリカ死にかけ物語(リン・ディン)
アメリカンドリームの終わり あるいは、富と権力を集中させる10の原理(ノーム・チョムスキー

とまあ、なんだか読み終わってないの多いですね。
特に先に挙げた①~⑤のうち、洋書の翻訳版の①と③はものすごく読みやすい本で、これは内容の飛び抜けたおもしろさはもちろんのこと、翻訳が非常に優れているからなんだと思います。さてさて、さらっとレビューしていきましょうか。

①「イスラム国はよみがえる」ですが、これは「イスラム国 テロリストが国家をつくる時」の文庫版で、何章か加筆されたためにこのようなタイトルになっています。翻訳がすばらしくて読みやすく、イスラム国の成り立ちや目指すべきところが非常によく理解できます。しかしながら、最近最高指導者でカリフを自称したアブ・バクル・アル・バクダディが殺害されましたね。だからといってテロの脅威が無くなったわけでは全くありません。

そもそも中東が問題なのはイスラム国だけではなく、原理主義者の組織が群雄割拠(ぐんゆうかっきょ)しつつ跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)しているからなんです。最近の中東の混乱と悲劇は何もブッシュ大統領ら(あるいはチェイニーやラムズフェルド)だけのせいではもちろんありませんが、彼らネオコンパンドラの箱を開けてしまったのは間違いありません。それと重なるように起こったアラブの春とその後のチュニジアやエジプトやリビアの混乱と、シリアのアサド政権の徹底した弾圧などが複雑に重なりあった結果、今のような惨状と化してしまったわけです。

またそれ以降、欧州各国で頻発したテロ事件も、それらの影響で大量に欧州に流入してしまった難民の影響であることも間違いありません。そしてこの難民問題の本質を、ドイツ在住の日本人である川口マーン恵美さんが⑤「移民 難民 ヨーロッパの現実」で赤裸々に説明しています。この人の本は当初全く期待していなかったんですが、とにかく文章がものすごく上手で一気に読んでしまいました。早速中古でこの人の本を買いあさることにしましたよ。詳しくはまた後日ブログで説明します。

②「超・格差社会アメリカの真実」もまた文章がすばらしい。小林由美さん、知りませんでしたが、すごい人です。アメリカの特権階級の実情や最下層の現状ばかりでなく、アメリカという国の成り立ちから行きすぎた資本主義のなれの果てまで、ものすごく勉強になりました。が、小林さんごめんなさい、もうほとんど内容を忘れてしまったので、また読み直して勉強します・・・。

③「中東の絶望、そのリアル」はあの村上龍さんが大絶賛した本です。作者はリチャード・エンゲルさんというイケメンの海外特派員で、この人は先のイラク戦争におけるアメリカ軍の侵攻を、なんとその中心地となったバクダッドからリアルタイムで中継した唯一のアメリカ人記者として有名になりました。それ以降、この人はベイルートイスラエルレバノン、エジプト、リビア、シリアと次々にヤバい地域に飛び、その現状を伝え続けているものすごいジャーナリストなんです。この本はそれらの地域での現状がものすごく丁寧に記されていて、臨場感抜群のすばらしい本です。

④「西洋の自死」については、先に少し紹介した川口マーンさんの⑤「移民 難民~」とセットで読むことをおすすめします。2015年以降、ドイツではメルケル首相の難民受け入れのEUでの決意表明とゴーサインとともに、それを熱烈に支持した数多くのドイツ人たちが、自分たちはヨーロッパで一番の人道主義ヒューマニズム)国家!といった自己陶酔に酔いしれたわけです。しかしながら、それ以降現在に至るまで、シリアばかりかアフリカ大陸からも大量の難民がドイツに押し寄せ、地中海は多くの難民船であふれ、はたまた難民を高額な報酬で送り出す犯罪組織も台頭する始末。しかもなんとその2015年には、1年間で100万人を超す難民がドイツに入国した挙げ句、現在では本来は難民ではないただの貧しい人々でさえもこぞってドイツを目指すようになっている有様です。

そもそも純然たる事実として、そういう難民たちというのは、一度その国に定住すると、自身の国の内戦が終わっても決して自国には帰らないのが通例で、むしろ自国に残った親戚やら家族やらを呼び寄せることすらあるわけです。別にそういう人々が悪いといった話ではなくて、そりぁ当たり前ですよ。国自体が裕福で、社会保障もしっかりしていて、住む場所があって、食うに困らず、何より殺される危険が絶対的に低いわけですからね。

確かに戦争難民なんかは当然人道的に手を差し伸べていくことは大切ですが、それは当然、無尽蔵というわけにはいきませんし、然るべきルールが不可欠で、そもそも全く生活習慣や文化の異なる人々を少数ではなく大量に受け入れるということ自体(100万人って!)、ヒューマニズムよりも前にまずメリットとデメリットがあることを知って然るべきです。だって、自由の国アメリカを見てください。未だに人種間の争いが絶えません。そしてドイツでも、当然のことながら受け入れた難民の犯罪が圧倒的に増えているという恐ろしい事実、そしてそれをひた隠しにする政府やマスコミ。人間の性ですが、そのかわいそうな難民の中にも当然、犯罪者や人格破綻者、はてはテロリストすらいるわけで、むしろ「難民は全て善である」とする論調こそ間違いであって。

今後ですが、おそらくEUという共同体は間違いなく弱体化し瓦解していくと感じましたね。そしてこの川口さんの本「移民 難民 ヨーロッパの現実」は、そのことを遙か以前から見越した優れた名著として語り継がれるに違いありません。

 

「イスラム国」はよみがえる (文春文庫)

「イスラム国」はよみがえる (文春文庫)

 
超・格差社会アメリカの真実

超・格差社会アメリカの真実

  • 作者:小林 由美
  • 出版社/メーカー: 日経BP
  • 発売日: 2006/09/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 
戦場記者が、現地に暮らした20年――中東の絶望、そのリアル

戦場記者が、現地に暮らした20年――中東の絶望、そのリアル

 
西洋の自死: 移民・アイデンティティ・イスラム

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移民 難民 ドイツ・ヨーロッパの現実2011-2019 世界一安全で親切な国日本がEUの轍を踏まないために

移民 難民 ドイツ・ヨーロッパの現実2011-2019 世界一安全で親切な国日本がEUの轍を踏まないために

  • 作者:川口 マーン 惠美
  • 出版社/メーカー: グッドブックス
  • 発売日: 2019/11/02
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)