GIGI日記~映画とか本とか~

映画、本、料理、植物、ときどきファッション

MENU

その他「カルロス・ゴーンさんおめでとう!」

皆さまそろそろお正月休みも残り少なくなってきましたね、悲しい限りです。

さて、カルロス・ゴーンさんですが、保釈中に華々しい逃亡劇を飾りましたね。僕は心からおめでとうと伝えたいです。しかし、これだけあっぱれな逃亡劇となると、最初に逮捕された頃から、最悪の事態に備え、このような逃亡のシナリオを綿密に練っていたのかもしれません。しかし、被告人が保釈中に海外に逃亡してしまうなんて、もはや日本初の出来事ではないでしょうか。よく取調中の被疑者(検察による起訴前)が交番なんかから逃げたりすることは報道されますが、だって今度は海外ですよ。恐らく数年以内にハリウッドで映画化されるんではないでしょうか。

で、僕はなぜゴーンさんを祝福しているのかというと、このことが日本の前近代的人質司法システムの改善のための橋頭堡となることを期待しているからです。恐らくゴーンさんはレバノン当局に日本の中世魔女狩り的司法システムについて事細かに説明するでしょうし、レバノン当局だってその逃亡に一部手を貸していた以上、今後は政府の正当性を世界に向けて発信せざるを得ません。そしてそのことが世界的な圧力となって日本の司法システムに打撃を与えないかと・・。まあ期待薄ですし、何年も先の話でしょうが・・・。

簡単におさらいすると、日本の司法システムは結論ありきでことが進みます。そのためのプロセスとして逮捕、起訴、そして身柄を長期間拘束し、最終的には自白を強要することになるわけですが、そりゃそうですよ。何日も身柄を拘束され、自分の家族への面会も許されずに、狭い独房に閉じ込められ自由を奪われ、しかも周りで何が起きているかも一切情報が与えられないって、一体だれが耐えられますか。こんなのがんばってもせいぜい3日間が関の山で、それを1年以上も耐え続けた元外務相佐藤優さんの精神力は半端じゃありませんよ。ちなみにその当時の佐藤優さんの大勢の知り合いや友人や関係者も取り調べを受けたわけですが、このやり方で3日以内にことごとく折れ、最終的には佐藤優さんに不利な証言を半ば強要されたわけです。だって、その証言をしさえすれば家に帰れる訳ですから。ちなみにその辺の詳細はマンガの「憂国のラスプーチン」に描かれていますが、このマンガは涙なしでは読めません。

要するに政治・経済犯にとって、日本の司法システムはがんばったやつが刑務所に行き、がんばらないで謝って他人を売ったり貶めたやつが刑務所に行かずに済むというものすごく歪んだステムなんです。佐藤優さんや鈴木宗男さん、それに最近ではホリエモンさんもこのパターンで捕まっています。ちなみに佐藤優さんの場合はずっとがんばり通したのでなかなか刑が確定せず、500日以上も拘置所で拘留され続けました。しかもその間、語学の勉強をしていたというのですから、もうハンパない精神力!まあ、そういう人なので、外務省時代、ロシアの政治家と強力なパイプを築くことができたんでしょう。しかしそれによりキャリアの嫉妬を買い失脚させられてしまうわけですが、おそらく佐藤優さんがまだ外務省にいれば、北方領土問題はかなり前進していたように思います。あっ、服役中の様子をほぼリアルタイムで本にしてしまったホリエモンさんも別の意味での精神力(ビジネス精神)がハンパないですよね。

さて、ゴーンさんですが、僕はテレビはほとんど見ないし週刊誌なんて一切読まないので詳細はよく知りませんが、このゴーンさんの逮捕時には怒りすら感じたのを覚えてます。あれだけ「カリスマ経営者、日産の救世主」などと持ち上げておいて、いざ大本営の発表(しかし推定無罪の原則は無視)があるや否や全てのマスコミ、テレビ、週刊誌、ワイドショーが手のひらを翻したかのようにバッシングの嵐ですわ。そしてすぐに「元日産社員は語る」とか「激白!日産経営幹部2時間」などといった特集が組まれ、公判前に一般大衆に広く被告人の極悪人というイメージが浸透してしまったわけです。あのね、日産の皆さん、そんなに色々とおかしなことがあったのなら、今じゃなくそのときに言えよ!と言っておきますね、今更ですが。そもそも政府の監視機能を担うはずのマスコミが、政府の批判もせず、どの局も全く同じような報道しかせず、そのチェック機能を果たせないのなら、何局もある必要性があるんでしょうか。

そしてもう一つ、ゴーンさんのしたことって本当に犯罪なんでしょうか。ここはホリエモンさんが非常に分かりやすくYouTubeで解説していますので、興味のある方はそちらを見るといいと思います。要はゴーンさん逮捕の理由である「①金融商品取引法違反」って言っても、有価証券報告書に記載していなかっただけのことですし、しかもその理由は逮捕後にきちんと説明されていて、結果的に一度保釈されてもいます。また「②業務上横領」という線に関しても、極めてグレーかつその立証のハードルは非常に高いと言われていたわけです。つまりは①で立件しようとしても難しかったので、拘留を強引に延ばすために②を持ってきてダラダラ引っぱり、再び①の線で追求しようとしていたわけです(堀江さんYouTubeより)。どうですか、やることが陰険ですよね。要するにゴーンさんもまたインサイダー取引とかわかりやすい犯罪ですらなく、堀江さんが捕まった際の「偽計及び風説の流布」と同じぐらいのショボさ。しかもこれはその当時、司法制度改革によって新たに導入された司法取引制度の宣伝的な意味合いもあったというのですから恐ろしい限りです。まあ、チンケな①のラインで立証しようとしていた矢先にこの逃亡劇なわけで、ゴーンさん見事!というほかないですね。

しかしゴーンさんだって世界に名だたる実業家なわけですから、僕は今回の件は日本の司法システムが世界の先進国レベルまで成熟したものであれば決して起きなかったと思います。つまりは、あのゴーンさんを逃亡劇にまで駆り立ててしまうほどにこの国の司法システムはひどかったということですし、この件によって我が国の司法システムが先進国では類を見ないほどに幼稚であったことが世界に露呈してしまったとも言えるでしょう。

さて、レバノンで無事奥様とも再会でき、自由を満喫しているゴーンさんに心からおめでとうと言いたいです。もう絶対に日本には来れませんが、僕が日産を代表して申し上げます。ありがとう、そして、末永くお幸せに・・・・。そしてハリウッドは早速「カルロス・エスケープ・フロム・ジャパン」とかって映画化に向けて動き出すでしょうね。現代版の「ミッドナイト・エクスプレス」として後世に残る映画になってほしいものです。

しかし日本の映画界はマンガの映画化やアイドルの起用に忙しくて、本当にダメダメ映画ばかりを量産していますが、狭いマーケットで満足してもはや志は皆無なんでしょう。でなきゃとっくに佐藤優さんやホリエモンさんを題材にした映画が作られてるはずですよ。

憂国のラスプーチン 全6巻完結セット (ビッグ コミックス)

憂国のラスプーチン 全6巻完結セット (ビッグ コミックス)

  • 作者:佐藤 優
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2012/12/27
  • メディア: コミック
 
刑務所なう。 完全版 (文春文庫)

刑務所なう。 完全版 (文春文庫)

 
刑務所わず。 塀の中では言えないホントの話

刑務所わず。 塀の中では言えないホントの話

 
ミッドナイト・エクスプレス [DVD]

ミッドナイト・エクスプレス [DVD]

  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
  • 発売日: 2015/09/02
  • メディア: DVD