GIGI日記~映画とか本とか~

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映画「試験明けに見た映画②」

さて試験明けに見た映画の続きです。以降で残りの5本を紹介します。いやいや、久々に出ましたね、五つ星が!!!

⑥ロスト・マネー偽りの報酬(評価:★★☆☆☆)
⑦ゴッズ・オウン・カントリー(評価:★★★☆☆)
ラッカは静かに虐殺されているAmaプラ)(評価:★★★☆☆)
⑨地獄への道:モスルの戦い (Amaプラ)(評価:★★☆☆☆)
バトル・オブ・ザ・セクシーズ(評価:★★★★★)

えっと、もはや説明するのも面倒な「⑥ロスト・マネー」なんですけど、これって僕は最初はリーアム・ニーソン主演の「96時間」みたいな元凄腕のCIAモノを勝手に期待していたんですが、それはとんでもない勘違いで。

まず、はじまって2分でリーアム・ニーソンが死んで退場します、はい、そして、以降はその奥さんである黒人のおばさんが主演を張るというどんでん返し、見事に期待を裏切られました。で、それ以降、楽しめるのかというと非常にビミョ~で、ダラダラゆる~く話は進んでいきます。で、なにせ主演が小太りのおばさんなので、あまり見るべきところもなく、しかも面白くないので、あきらめかけていた矢先、話は急展開!という。かろうじて★1つは免れました、いや奇跡ですよ。

最近、先に紹介した「バハールの涙」もそうですが、女性陣ががんばる映画が増えているような気がします。それ自体はすばらしいんですが、なんか展開とか描写がモッサリしていて、「オーシャンズ8」のようにもっとスタイリッシュにはいかないんでしょうか。あと、おばさんが主演なのはジーナ・ローランズの「グロリア」とかパム・グリアーの「ジャッキー・ブラウン」みたいに、よほどプロットに厚みがないと厳しいですよね。

で、次に「⑦ゴッズ・オウン・カントリー」なんですが、これってもろに「ブロークバック・マウンテン」のイギリス版という。しかも、監督がフランシス・リーという人で、ブロークバックのアン・リーと同じ「リー」だし。パクリ中のパクリです。要は、イギリスの牧場で働く青年ジョン君が、臨時で雇った季節労働者であるルーマニア移民の男性ゲオルグ君と恋に落ちるという物語なんです。

驚いたのが、この映画の主演のジョシュ・オコナーって、先に紹介した「暁に祈れ」の主演を務めた役者さんなんですよ。(と、勝手に断言してましたが、実は別人でした。「暁に祈れ」の方はジョー・コールさんという役者で、微妙に名前も似てるんですわ。参りましたね。)

このジョシュ・オコナー君みたいな大してルックスのよくない青年が主演として抜擢されるのが、日本と世界の映画界の最大の違いですね。ジャニーズ主演とかマジ勘弁。

で、じゃあサイクブーなジョシュ・オコナー君の演技はどうなのよ?というと、意外にも、ものすご~くいいんです。リアリティとか存在感がハンパじゃないんですよね。映画自体も決して悪くないですし、意外に僕は好きでもあるんですが、他のレビューとかの感想によくあるような、「すごく美しい映画だった」とか「まさに神の宿る場所」・・・などとは僕はみじんも思いませんでした。

そもそも、牧場でいきなり牛が糞をしたり、羊が他の獣に襲われてしまったり、糞尿にまみれた牛舎を掃除したり、汚いワラ葺きの小屋で雑魚寝したりとか、もう美しいどころか不潔で不衛生で不快きわまりないんです。それに舞台であるイギリスの風景もいつも曇っててはっきりしない天気で景観的美しさは皆無でしかなく。

とはいえ、牧場での仕事は結構細かく描写されていて、カウボーイの生活を知る意味では非常にためになりました。けど、こういう過酷で厳しい環境で生きる人々を描いた映画にすぐ「神(GOD)」とかを付けることで、なんとなく純文学的な崇高さを出そうという趣向、もうやめませんかね。ブラジルを舞台にした「シティ・オブ・ゴッド」もそうでしたが。なぜ、悲惨きわまりない場所とかハンパなく汚い場所に「神」とか「夢の島」とか、正反対の名前を付けるのでしょうか。

ちなみに、ジョシュ・オコナー君がものすごくいいと言いましたが、ゲロ吐いたり、酔っぱらったり、いつもだるそうにしてる姿は、ある意味「暁に祈れ」(のジョー・コール君)と全く同じで、むしろそういう演技しかできないのかと心配になりましたね。もしかすると元々そういう奴なのかも・・。いや~しかしシブい役者ですわ。

さて次にアマプラでずっと見たかった「⑧ラッカは静かに虐殺されている」と「⑨地獄への道:モスルの戦い」ですが、まず、ラッカはシリアの都市で、モスルはイラクの都市で、どちらもISに占領された地域なんですね。日本にはほとんど情報が入ってきませんが・・・。

で、「⑧ラッカは静かに~」の方は、ISの暴挙や愚行を世界に訴えるために結成された市民ジャーナリスト集団である「RBSS(Raqqa is Being Slaughtered Silently)」を追ったドキュメンタリー映画なんです。シリアに残った国内組と、トルコやドイツに逃れた国外組が、巧みにSNSやネット環境を駆使して写真や映像のやりとりをし、ニュース映像として世界に配信を続けていて、彼らは銃ではなくそういう映像や情報でISに立ち向かっているわけです。が、当然ISからも敵対視され、一部のメンバーのみならず、家族や親類まで殺され、それでも闘うことを止めていないのがすごいんです。

彼らって、シリアでは中産階級の家庭で育っていて、彼らの望むモノって実は我々と何も変わらないんですよ。仕事して、友達と騒いで、結婚して、家族と過ごして、子育てをしてっていう、日本では当たり前にできることが、シリアではできないんですね。そういう国がたくさんあることを本当は我々は知らなければならないんですが、マスコミは吉本の報道なんかにかかりっきりのようですし、もう日本のマスコミは終わってますね、この国のお笑いや役者、アナウンサー、コメンテーター全て光の中に消え去ってほしいです(ドラクエニフラムを唱えたい)。で、このドキュメンタリー、見てると悲惨すぎで泣けてきます。RBSSのメンバーの人達は今でも生きているのかが心配でなりません。

で、もう一つの「⑨地獄への道」ですが、これは日本語字幕がひどすぎました。これってgoogle翻訳じゃね?的なレベルで、字幕が必ず2行で表示されていて、文字化けとか直訳的な翻訳で、ものすごく読みづらい英語でうんざりしてきます。「このことに私が気づかされたのは事実だ」とか「この悲劇は多くの中の一つだ」とか、もう勘弁して。

で、ドキュメンタリー自体もイギリス人っぽい記者が危険地帯に出向き、モスルの惨状を伝えるわけですが、先の「⑧ラッカは静かに~」と比較すると、こちらは大勢の北部同盟なんかの軍に記者が守られているので、そこまで緊張感がないし、しかも46分くらいのドキュメンタリーなのですぐに見終わってしまって。はっきり言ってよく覚えてませんし、いまいちでしたね。

さて、最後に「⑩バトル・オブ・ザ・セクシーズ」ですが、久々に出ました5つ星です!堂々、僕のマイベストに入りました~(祝)。これって「アイ・トーニャ」と同じかそれ以上に面白いです。

この映画も実話モノで、アメリカで1970年代から80年代に掛けて活躍した女性のテニスプレイヤーであるビリー・ジーン・キングさんを描いた映画なんです。彼女はアメリカでは伝説的なテニスプレイヤーで、彼女が立ち上がるまで、女性テニス界の賞金はなんと男性の8分の1だったそうです。で、この映画は、彼女が女性のテニス界の権利を勝ち取るまでの一部を描いた映画なんですが、なんと演じているのが「ラ・ラ・ランド」のエマ・ストーンさんなんですよ(ハリー・ポッターシリーズのエマ・ワトソンではありませんので注意!)、もう衝撃的!。

はっきり言って、エマ・ストーンさん、もう最高ですわ。 彼女は笑顔がとにかくすばらしい。というか、とにかく表情が豊かでコミカルで、彼女が出ているだけで映画が成立しているというか、この事実に「ラ・ラ・ランド」で気づき、本作で確信しましたですハイ。能面みたいにいつもテレビ写りのいい顔しかしない日本の大量の大根役者達とは大違いです、はい、みなさん、これが本当の女優ですからね。

しかも、この映画もファッションとか映像が70年代の雰囲気がものすごくよく出ていて、とにかくかっこいいんです。それとこのビリー・ジーンさんですが、実はレズビアンだったようで、劇中でもそういうシーンがあるんですが、もうゾッとするぐらいエロいので男性陣は要注意!・・・まあ、実をいうと別に直接的なセクシー描写は全くないんですが、なぜかモロにドキドキしてしまうという。このシーンを演じたエマ・ストーン、それに撮影班、よくわかってますわ。 あと、男性テニスプレイヤーのボビー・リッグス役を演じたとスティーブ・カレルさんがもう最高に笑えます。ほんと、天才ですよね。とにかく、エマ・ストーンの魅力が炸裂の本作、これが映画です、これが女優です、そして特にテニス好きの方にはすこぶるおすすめです。

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