GIGI日記~映画とか本とか~

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本「FEAR 恐怖の男 トランプ政権の真実」

皆さま大晦日はいかがお過ごしでしょうか。今年最後のUPになりますね。僕は掃除に料理に散歩にと忙しい日々を過ごしております。さて、このブログですが、今年の一月に書き始め、1記事2,000字の年間100記事を目指していたのですが、やはり無理でした~ごめんなさい。けれど、自分の見た映画や読んだ本を紹介がてら2,000字で強引にとりまとめてねじ伏せるという行為は、ものすごく自分のためになった様に感じます・・・、というかそう信じたいですね。

さてさて昨日ようやく読み終わりましたボブ・ウッドワードの「トランプ政権の真実」なんですが、実はあまり楽しめなかったんです。この本ってアメリカではベストセラーになったようですが、それって単に作者が伝説のジャーナリスト=ボブ・ウッドワードだからかもしれません。ボブ・ウッドワードは1970年初頭、ワシントン・ポスト紙で働いていて、同僚のカール・バーンスタインとともにウォーターゲート事件の特ダネをものにした伝説的なジャーナリストなわけで、その辺のところはロバート・レッドフォードボブ・ウッドワードを演じた「大統領の陰謀」やリーアム・ニーソンが当時のFBI副長官を演じた「ザ・シークレットマン」に詳しいかと。あとオリバー・ストーン監督の「ニクソン」も外せません。ちなみにそれら3本はめちゃめちゃ面白いので今からまた見ようかな。

さて「トランプ政権の真実」ですが、最初にトランプが大統領選に出馬する前の2010年あたりの状況に軽く触れたあと、2016年の大統領選挙の様子を追い、それ以降はホワイトハウスに場を移し、当選後のトランプ政権の始動(2017年1月)から2018年3月頃までの様子が書かれています。要するに大統領になって1年程度のトランプ政権の内幕が描かれているわけですが、それ以降すでに2年近く経っているので、トランプ政権の業績と解釈はまたこの本とは違ったものになるはずです。むしろその辺を追った直近の本が読みたいですよね。

僕がこの本で一番面白かったのはトランプが大統領になるまでのサクセス・ストーリー部分で、本全体の3分の1くらいまででしょうか。それ以降のホワイトハウスでの惨状はもうダラダラしててひじょ~につまらなかったです。

ちなみにアメリカの大統領選というのは、ある意味1年掛かりで開催されるお祭りのようなもので、予備選(前半1~6月:各政党内での候補者選び)と党大会(7~8月:各政党の候補者の決定)、そして本選(後半9~11月:政党間での争い)という具合に、もう全国的に大統領選一色の1年になるようですね。

さて、トランプ大統領ですが、彼は元々は政治色の皆無な実業家で、たしかに金持ちのボンボンではあるんですが、ある意味親には頼らずに、自力で不動産開発やカジノやホテルなんかの経営で財をなしたやり手でもあるんです。まあ、そういう所が上から目線のエスタブリッシュメント=ヒラリーとは違って大衆受けしたわけで、それが大統領になれた最大の要因なんでしょう。

また公約も非常にわかりやすく、①メキシコとの間に壁を作る、②NAFTA北米自由貿易協定)やKORUS(米韓自由貿易協定)などの貿易協定を見直し、鉄鋼業を主体とした製造業や重工業の雇用をアメリカに取り戻す、③アフガニスタンへの派兵・駐留を取りやめ、完全撤退する、④先進国へ駐屯している軍事基地の費用やその対価を支払わせる、などなど、社会経済情勢をな~んにも知らない一庶民には非常に心強く響いたわけです。

ただ、トランプさんは色んな場所や建物やリゾートに自分の名前である「トランプ」を付けるほど自己顕示欲が強くて態度もデカいし下品なので、それが軍人将校や高級官僚たちとは全くかみ合わないわけです。って、あたりまえですよ。でもとりあえず、がんばって公約を果たそうと奮闘するんですが、実態を知るうちに身動きがほとんど取れなくなっていくんですね。その理由は非常に長くなるのでまた次回に書くことにしますが。

ってなことで、当初トランプの思い描いていた公約は、ことごとくホワイトハウスのスタッフ、閣僚、インテリジェンス・コミュニティの面々とは意見が食い違い、反発を食らい、結果的には一つずつ丁寧に潰されていくわけです。さらに娘のイバンカや夫のクシュナーはどちらかというと民主党員に近くて、「パパ、パリ協定は離脱しないでっ!」とか「パパ、不法移民の子ども達(ドリーマーズ)を国外追放しないでっ!」とかって横やりを入れるもんだから、トランプも困って右往左往して、なんにも決められなっちゃうんですね。

そして同時に、トランプ政権を担うとんでもなくIQの高い輝かしい経歴をもったおっさん達も、トランプのあまりの無知蒙昧で幼稚な性格に付き合いきれず、どんどんトランプとの仲が悪化してしまって、結局は捨てセリフを吐いて辞めていくんです。「あいつはとんでもなく知能が低い!」とか「何の経験もない捕食者ばかりの政権だ!(主にトランプ、イバンカ夫妻を指す)」とか、「彼はバカだ、説得しようとしても無駄だ!」とか、みんな苦虫をかみつぶしたような顔をして巻頭カラーページの写真に収まってるので笑えます。

とまあ、そんなやんちゃでおちゃめなトランプ大統領なんですが、僕はこの本を読んで少し彼が好きになりましたね。その理由の一つ目は、2016年にイエメンで行われた特殊作戦で、SEAL隊員の一人が死亡してしまって、トランプがその家族を電話で見舞うエピソード。トランプは事前に戦死した兵士の身上調書をじっくりと真剣に読みこんでいて、家族との会話の中で「ここに記録があります。彼がとても好かれていたことを物語る報告書があります。彼は偉大なリーダーだったんですね。」と語りかけ、家族を慰めるわけですよ。で、そのあとでホワイトハウスのスタッフがその調書を読んでみると、トランプが家族に伝えたようなことは一切書かれてなくて、実はトランプのとっさの作り話だったということがわかるんです・・・。どうですか?すこしジーンと来ませんか?

で、もう一つは、すでにトランプ政権の要人が次々に辞任していることは書いたんですが、そのときのエピソード。トランプはどれほど意見が衝突しても対立しても、その人が辞める段になるとトランプはなぜか必ず電話かあるいは面と向かって「ありがとう。君がやってくれたことすべてに、感謝している。」と丁寧に粛々と感謝を表するのだそうです・・・。どうですか?少ししんみり来ませんか?

ましてや若者の職場のバックレとか、退職の際の代行業なんかが流行っている今の時代に、トランプさんのこのスタンスってものすごく貴重で男らしいじゃないですか。来年の大統領選の行く末は全くわかりませんが、少しドナルド・トランプを応援したくなっちゃいました。

ちなみに僕がトランプ政権の中で一番好きなのは、大統領主席戦略官だったスティーブ・バノンさんですね。彼はトランプを当選させた立役者で、元々は右派のオンライン・ニュース「ブライトバード・ニュース・ネットワーク」の会長なんだけど、格好とかも軍用のフィールドジャケットを羽織ったりとかラフでノーネクタイで全く政治家っぽくないんですよね。で、大統領の執務室に自由に出入りするイバンカに向かって「おまえはスタッフなんだ!自分が指揮しているかのような振る舞いはやめろ!とんだ思い違いだ!単なるスタッフなんだ!」と怒鳴りつけたりとか、シブいっす。バノンさん、またトランプ政権に戻ってこないかな。

それと元ゴールドマン・サックスの社長兼COOのゲーリー・コーンがトランプに「大統領、大統領の夢見ているアメリカは、ノーマン・ロックウェル風のアメリカ観です(1940~50年代の庶民の生活を描いたイラストレーター)。もはやそんな風景はどこにも残っていません」といさめるシーンも好きですね。

さて、僕は先ほどお手製の年越しそばを食べました。スープも鶏ガラと鰹だしでとったのでもう最高においしかったです。それと一週間前に漬けたキムチもうまく漬かったようでうれしい限りです。それでは皆さま、よいお年を!

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恒例の年越しそばです。

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これも毎年恒例のキムチです