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海外ドラマ「TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ/シーズン1」

評価:★★★★★

この休み中にアマプラ特典で全8話(1話1時間なので8時間)を見ましたが、もう数年ぶりの衝撃、打撃!攻撃的おもしろさ。とにかくものすごいドラマで、まだ見ていない人で、お盆休みが取れる方は、是非アマプラ30日間無料サービスに登録すべし!そして観るべし!としか言いようがないおもしろさ。

そもそも僕はアメリカの海外ドラマシリーズがあまり好きでなくて、これまで観たのは「Xファイル(UFOネタとかスモーキングマンのみ抽出して)」と、「ブレーキング・バッド」ぐらいのもので、それすらもイマイチ感が否めなかったわけです。

が、なんですかこの「トゥルー・ディテクティブ」などという読みにくく発音しにくいドラマシリーズは。何かいい邦題はなかったのでしょうか?が、これ、とんでもないドラマです。というか、100%映画でしょ?しかも売れっ子俳優マシュー・マコノヒーと、キレたら何をするかわからないガイキチオヤジのウディ・ハレルソンですよ!もうドラマではあり得ないキャスティング。

かと勝手に思ってたんですがなんですか、最近ではハリウッドのトップスターでもこぞってドラマに出たがるようじゃないですか?なんでも、24(トゥエンティー・フォー)の大ヒットや、アマプラやネトフリの普及で、ハリウッド俳優はドラマも絶好のビジネスチャンスの場と見なしているようなんですわ、全く知りませんでしたハイ。

僕はもういいオッサンなので、アメリカの海外ドラマは落ち目の俳優が行き着く先かと勝手に思ってました。ちなみに日本ってまるっきり正反対で、売れっ子はテレビ、落ち目は映画や舞台とか演劇に行っているようですが、日本ではその流れは今どうなんでしょうかね。まあ、全く興味がないのでどうでもいいですが。

さてさて、この「トゥルー・ディテクティブ」ですが、マシュー・マコノヒー演じるラスト・コールと、ウディ・ハレルソン演じるマーティン・ハートの二人の刑事が管轄するルイジアナ州で17年前に起きた猟奇的殺人事件を捜査する顛末を、現代から振り返りながら描いたものなんです。

で、なにせその事件って17年前の話なので、現在は警察を引退し、適当な暮らしをしていてアル中みたいなラストと、探偵業を開業したマーティンを、現在の州警察がなぜか事情聴取するといった展開でだらだら進んでいきます。

何がすごいって、物語は聴取中にしょっちゅう17年前のラストとハートの話が織り込まれているわけですが、二人とも本当に若いというか、若く見えるんですね。マコノヒー(ラスト役)もイケメンで生意気そうな刑事という印象だし、ハレルソン(マーティン)も髪がフサフサの茶髪で、気が優しくて力持ち的な印象で、17年前って言われても、マジでそういう風に見えるんですね。そのメイクとか髪型がものすごく凝っていて、もうホンモノなんですわ。

普通、日本とかだと、その若いときの役柄を別の役者がやったりするんですが、このドラマでは、本当に実際の二人が演じているのがすばらしいんです。まずそこが一つ。

そして、あとは誰もがレビューで指摘しているように、マシュー・マコノヒーの演技がハンパない、といった一言に尽きます。聴取を受けているときの仕草とか動作がもうホンモノにしか見えません。しょっちゅう、哲学的で難解なたわごとを言ったりタバコ吸ったりしてるんですが、そんな難しいセリフの最中も、ビールのアルミ缶をナイフで切り取って灰皿をつくったり(2015年なので聴取する部屋には灰皿がない)、人型の人形を作ってみたりするんですよ。セリフだけでもこ難しいのに、こういう作業もずっと役柄としてやるっていうのは、とんでもなくハードルが高いと思うんですが、マコノヒー兄貴はいともたやすくやってのけます。はい、日本の役者の皆さん、一体何人がこの演技できますか?今こそこのドラマを見て、役者引退を考えていただければ幸いです。

で、あとは大好きなガイキチオヤジのウディ・ハレルソンさんなんですが、やはりここでも始終キレまくった暴力オヤジを披露するかと思いきや、いやいや、結構いいオヤジ役を演じてるんですね。結構優しくて仲間思いでなんかな~と、ちょっと物足りなさを感じていると、出ました中盤でハレルソン得意の大暴れキチガイ超~恐いギャングスタークソオヤジぶりを余すことなく発揮!!!

ただ、ウディ・ハレルソンがぶち切れるのは全8話を通して2回ほどでしょうかね。しかもあの顔と体のくせに結構繊細でナイーブな役柄で、奥さんもミシェル・モナハンなので美人だし、若い女にも結構モテるという何気に結構うらやましい役柄で、だからこそハレルソンは出演を決めたのかな~なんて思ってしまったり。

まあ、最初はちょっと物語の構造が複雑なので面食らいますが、ポイントは①17年前の猟奇的殺人事件、②背景にあったのがブードゥ教などの悪魔崇拝、③ラストとマーティンの2人が当時の事件を担当していたこと、④そして現在、ラストとマーティンは警察辞めていて、なぜか刑事2人がまた過去の事件を調べている、⑤そしてなぜか、この二人の刑事は、当時の事件に主眼をおいているというより、当時のラストとマーティンの行動や出来事に興味を持っている。以上の5点でしょうか。

大体、上記の内容を把握しておけば、混乱なくこのドラマを楽しめること間違いなしです。ちなみに、タイトルの「ディテクティブ」って「探偵」っていう意味なんですが、これも物語の一部を暗示してますので覚えておきましょう。

ところで、これってもうドラマではなく僕的には「8時間の映画」という解釈です。それほどに完成度が高くお金もかかってて役者のレベルも高いです。今後こういうドラマが増えて来るとなると、海外ドラマも見逃せなくなってくるわけで、なんだかサポート範囲が劇的に広がったというか・・・。

しかし、マシュー・マコノヒーって僕的には「ニュートン・ボーイズ」あたりで出てきて「ダラス・バイヤーズ・クラブ」で脚光を浴びた俳優程度の認識でしたが、そのレベルでもあの演技!すさまじいですねハリウッド映画界の層の厚さは。物語終盤、マコノヒー演じるラストが「インタビュー・ウィズ・バンパイア」のトム・クルーズにそっくりなので笑えます。メイクチームが同じだったんでしょうかね。

さて、僕にとってこのドラマは究極に面白くてモロにドツボでしたので早速中古でコンプリートBOXをゲットしました。しかしそういうことって結構久しぶりかも。ちなみにシーズン2と3では全く話も俳優も変わります。シリーズ完結型の映画なんですね。これも斬新ですわ。とにかく刑事物が好きでお盆休みをもてあまし気味のオッサン達には自信を持っておすすめですね。なお、ちょっとエッチなシーンもあるので奥様とは一緒に観ないことを忠告しておきます。

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