GIGI日記~映画とか本とか~

映画、本、料理、植物、ときどきファッション

映画「フォードvsフェラーリ」

評価:★★★★☆

さてさてようやくずっと見たかった「フォードvsフェラーリを見ることができました。この映画って、去年「スカイウォーカーの夜明け」を見に行ったときに冒頭のCMで流れて、それ以来ずっと見たかったんですが、いやいや久しぶりに当たりでしたね。

しかし、何ヵ月ぶりかでゲオにレンタルに行ったんですが、客もほとんどいないし、洋画コーナーも縮小の一途をたどり、アマプラとかネトフリとかのサブスク系に押され、いよいよ「DVDレンタル」という業態がもはやオワコン化しつつあるのでしょう。少し寂しい気持ちになりました。

で、「フォードvsフェラーリですが、この映画は1960年代の自動車産業黎明期に、業績が不振のフォードが、大衆に人気のスポーツカーを全面的に売り出すために、モータースポーツの最高峰であるル・マン24時間耐久レースに挑む物語なんです。そして当時というか1960年代初頭、ル・マンの王者はイタリアのフェラーリだったわけで、それにフォードが対抗するという図式を持って「フォードvsフェラーリという題名につながってます。

が、そういうめんどくさい設定はともかくとして、この物語はなにより、元々はレーシングドライバーであったキャロル・シェルビーと、40代中盤に差し掛かってもレーサーであることにこだわり続け、その実力もピカイチのケン・マイルズの二人の男の生き様を描いた映画意外の何者でもありません。

そして、キャロル・シェルビー役を、冷静沈着で知的な男が抜群に上手なレインメーカージェイソン・ボーンシリーズのマット・デイモンと、ケン・マイルズ役を、ホワイト・トラッシュやルーザー役が似合いすぎる男、ファーナス/訣別の朝「ファイター」クリスチャン・ベイルが演じてま~す。

で、色んな記事を読むと、フォード社の副社長の描き方がどうとか、なによりマシンの開発に携わったエンジニアの苦労が描かれていないとか、物語の重要な部分がつながらないとか、でるわでるわ批判的な見解が。

ですが、ボクはそういうディティールは別にでもよくて、単純に本物の男同士の友情バディームービーとしてこの映画を鑑賞したわけですね。なぜなら、先のブログにも書きましたが、もう友達(トモダチ)とか友情(ユージョー)とかの誤った概念が世にはびこりすぎてますので・・・。

誤った概念とはつまり、
①困っている友達は放っておけない。いつも仲良く一緒に集団でいるべき。
②価値観は一緒でなければならない。なので仲間同士で批判は許されない。
③みんなの嫌いな人は、自分も敵と見なす必要がある。
④みんなと一緒にいれば、ゴミのポイ捨ても地べたに座るのもへっちゃら。
⑤みんなで飲み屋とか公園で騒いで飲んで自己主張。
⑥集団でいれば何も怖くないし、むしろアウトロー感満載でかっこいい。
⑦いつも家族ぐるみの付き合いが必要で、仲間が困ってたら助けるのが鉄則。

という、ゴミみたいな考え方や理論なんですが、こういう①~⑦の概念をドブの底にたたき落とす映画、それが「フォードvsフェラーリです。

世の中にはこういう奴らが大量増殖中です。それは誤った正義の最高峰である「ワンピース」なんかの悪影響なんでしょうが、実はそいつらがいい大人だったりするのが手に負えませ~ん。

一方で、この映画のシェルビーとマイルズは全く違うんですね。二人ともほとんどつるんでないし、考え方や生き方も違うし、口論になってスパナを投げつけたり、時に殴り合いになったりもするわけですが、実は二人ともお互いをともに認め合っているんですね、同じ方向を向いているというか。

そのお互いが認め合ってるところを、この映画は日本の映画とかドラマみたいに、男同士が抱き合って健闘や友情を称え合ったり、「オマエは実はすごい奴なんだ!信じてるからな!」などという軽いセリフで説明したりはしませんので、それが日本の批評家に受け入れられなかった最大の理由だと思います。

しかしこの二人は違うんです。距離を置きながらもお互いに認め合っていて、打倒ル・マンのためにお互いがやるべき事をやるんです。そしてそのことを「ワンピース」みたいに恩着せがましく相手に事細かに伝えたりもしないんですね。

彼らを見ていると、今の時代のように、自分たちの楽しさをツイッターやインスタに投稿し、四六時中スマホを確認して友達同士で繋がって、その輪の中に入れないと友達じゃないみたいなアホな価値観とは対極にいることがよくわかります。

さてさて、この映画は映像自体も最高にかっこいいです。60年代を意識した少し粗めの映像になっていて、これって雰囲気的にはディカプリオとブラッド・ピットが共演した「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」とか、ベン・アフレック「アルゴ」に近いように感じました。

しかし、アメリカの映画産業は高齢化が進んでいるとか言われてますが、この映画のマット・デイモンクリスチャン・ベイルのほか、マシュー・マコノヒーとかベン・アフレックとかイーサン・ホークとか素晴らしい中堅どころがたくさんいて、今後も名作が量産されると思うと楽しみでなりません。あっ、あとジョシュ・ブローリンもか。

ただ、確かにこの映画って不要なシーンも結構多くて、色々と話や視点が拡散してしまうのが難点で、もう少しメリハリをつけた方が一つのシーンの重みが増したのは間違いありません。

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