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映画「アイダよ、何処へ?」

評価:★★★★★

全く期待していなかったアルバトロス提供の映画ですが、この映画もすご~くおもしろかったです。おもしろかったと言っても、これは1995年に起きたボスニア・ヘルツェゴビナ紛争におけるスレブレニツァの虐殺を描いた映画で、紛れもない苦行映画(娯楽映画の反対語で、ボクの造語)の最高峰!ですね。

近い映画で言えば、古くはコンスタンチン・コスタ=ガブラス監督「ミッシング」戒厳令アンジェイ・ワイダ監督カティンの森、そして「炎628」などなど、もう見るのが辛くて悲惨きわまりない映画群、それが苦行映画なわけですが、その系譜にもう一本、本作が加わることになりました。

物語は1995年のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争時に、通訳として国連で働くボスニアボシュニャク)人のアイダとその家族を軸として、セルビア武装勢力との顛末が描かれています。国連のオランダ軍が紛争地域のスレブレニツァに安全地帯を設けているわけですが、そこにセルビア人の武装した兵士から逃げるため、多くの現地のボスニアボシュニャク)人が逃げてくるわけです。数にして2~3万人でしょうか。

なお、このセルビア人勢力は、ムラディッチ大将率いるスルプスカ共和国軍部隊セルビア人勢力)というようで、物語の骨子はこれらのユーゴ解体の令嗣を理解していないと、はっきり言ってこのボスニア人とセルビア人の紛争の理由すらよくわかりません。

そもそもこれらの地域は、元々はユーゴスラビア社会主義連邦の構成国であり、それがソ連邦の崩壊とともに、クロアチアマケドニアボスニア・ヘルテツェゴビナに解体されるわけですが、その独立の過程で起きたのが、このボスニア・ヘルツェゴビナ紛争なわけです。

元々、ボスニア・ヘルツェゴビナには、クロアチア人(カトリックボスニア人(イスラム教)セルビア人(正教徒)らが住んでいて、どうも一言で言ってしまえば、ユーゴからの独立を支持したクロアチア人やボスニアボシュニャク)人と、独立に反対したセルビア人の争いということになります。

しかしここで思い出してください。以前読んだ馬渕大使(馬渕睦夫氏)の本にも書いてありましたが、これもユダヤ金融資本家のグローバリストアメリカのネオコンなどの勢力が「大国は分割して統治せよ!」の戦略のもと、どちらかの勢力に政治的に介入し、軍事支援を行っていたようです。どちらの勢力にだったかは忘れてしまったので、またその本を探して読み返す必要がありますね。

ともかく、こういう革命や独立運動や人権弾圧などは、圧倒的な軍事力と資金がなくては絶対にできませんので、おそらくはアメリカを主体とするグローバリストやネオコンの勢力がどちらかに介入して資金援助していたのだと思います。

そのことが今回のウクライナ紛争を見ればよく分かりますね。かれらのやり口は毎回同じで、他国に介入し、民主化を図り、その後に国営企業を民営化し、グローバル市場に開放し、その資源や利権を根こそぎ(金融資本家が)奪い取る、というハゲタカのような奴らです。

今回のウクライナ紛争も、馬渕大使が2014年に発刊した「世界を操る支配者の正体」で書かれているとおり、ロシアをグローバル市場に開放するための戦略にすぎないことがよく分かります。しかし馬渕大使は今から8年も前に、現在のウクライナとロシアの紛争を的確に予言しており、この本を読むとその通りの筋書で現在の情勢が進んでいて、馬渕大使の洞察力や歴史を予見する能力に驚愕します。すごい方ですね、こういう方が日本人の中にいること自体が唯一の救いだと思いました。

しかし、このユーゴスラビアの解体やボスニア・ヘルチェゴビナ紛争はそもそもあまり文献もなく、情報が非常に少ないので、関連書籍を買ってもう少し色々勉強してみたいと思います。

なお、劇中、自分の家族を守るため、必死に右往左往しながら駆け回るアイダの姿に魂が揺さぶられます。彼らが求めているのは平和、そして家族が安全に普通に暮らすこと、ただそれだけです。

そしてそれは現在、ウクライナのドンバス地方の人々が、日々ウクライナ側から発射される(ロシア側からではないところがミソ)クラスターミサイルに怯えながら、口々に「ただ平和がほしいだけ!」と訴えているのと全く同じです。

前線では大勢が負傷したり死んでしまったりしているのが現実で、軍隊という組織の中では人殺しが正当化され、大量の民間人が殺されてしまったりすることが極めて普通に起こりえます。これは、それを仕組んだ奴ら、つまり、自分たちは極めて安全な場所にいて、大量の資金を使って他国に介入し、他国とその国民を持て遊ぶ勢力、つまり、ヒラリーやジョージ・ソロスオバマ、それにビル・ゲイツザッカーバーグ、その他テドロス事務局長や製薬会社の面々などなど、要するに大金持ちの国際金融資本家たちが、自分たちの利権のため、ただそれだけのために、こういう市井の人々の幸せを奪っているわけですね。

一方で、この映画を見ると、国連という組織が全く何の役にも立たない無能で無意味な組織であることがよく分かります。警備に当たっていたオランダ軍も、結局は上の命令なしには動くことが一切できず、そしてその上というのは現場を知らない利権と保身にしか興味のない政治屋ばかりですので、そんな構造の組織が何かを解決できるはずもありません。

劇中、ボスニア人やセルビア人の表情を入念にアップで追った映像が随所に差し込まれ、そこでは一切の台詞がないのに、なんとも形容できない悲しみや人間の郷の深さが心に突き刺さってきて、見ていて痛いほどです。これってものすごい演出ですよ!必見です。
(日本映画みたいに全てセリフで説明して音楽でごまかす幼稚な映画とはもはや次元が違いますね。)

それと、アイダ役を演じたセルビア人のヤスナ・ジュリチッチさんの鬼気迫る演技がとにかく素晴らしい。それに監督・脚本を担当したサラエボ生まれのヤスミラ・ジュバニッチさんも要チェックで、他の映画も見てみたいですね。

しかし、平和で安全に暮らすことがどれだけ幸せなことなのか、この映画をみるとよく分かります。そのうえで愛する人たちと一緒に暮らし、ともに時間を過ごせるのであれば、もう言うことはないというか、そういうことに気づかされる映画です。

ともすると、そういう当たり前のことが、今後この日本でもどんどん難しくなってしまうかもしれません。なぜなら現状は、政権が売国奴親中派やグローリストに乗っ取られているからです。

このままで日本人は本当にいいのでしょうか。今度の参院選が一つの分水嶺になるでしょう。もしかすると最初で最後のチャンスかもしれません。

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