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映画「ネイビーシールズ:チーム6」

評価:★★★★★

いやいや、ようやく見れました!まず結論から、この映画メチャメチャ面白いです!久々の当たりでした。まず邦題からして、なんだかネイビーシールズシリーズのアメリカ賛美戦意高揚アメリカ最高万歳映画のように誤解されてしまいますが、原題は全然違くて「コードネーム:ジェロニモになります。つまり、2011年にパキスタンのアボッターバードで実行されたオサマ・ビン・ラディンの強襲殺害作戦のコードネームで、そのことの顛末が、アメリカ側(CIAや国務省)ばかりでなく、現地でCIAに協力したパキスタン人の協力者の視点からも描かれた映画なんですね。

あっ、余談ですが、ボクがこれを購入して届いたのがなんと「ネイビー犯罪捜査班シーズン6」でした(泣)。もちろん取り替えてもらいましたが・・。拝啓ギャガ様、お願いだから邦題付けなおしてくませんか。

ところで、このビン・ラディンもので最も有名なのが、ジェシカ・チャステイン主演の「ぜロ・ダーク・サーティ」ですが、このネイビー・シールズ:チーム6」を併せて見れば、より理解が深まるとともに、この作戦の不都合な真実が色々と明らかになりました。

ボクがこの映画で一番衝撃を受けたのが、たくさん出てくるCIAのエージェントやシールズのアメリカ隊員ではなくて、現地でCIAに協力したパキスタン人のワセムとマリクの二人組です。とにかくもう彼らの現地での活躍がかっこいい!

彼らはまず、現地でオンラインで撮影しつつ、車で移動したり歩いて徒歩で標的に近づいたりして、ビン・ラディンの連絡係であるアブ・アフメドを発見、追尾します。それ以降も、車で尾行したり、ビン・ラディンの隠れ家とされている豪邸の近くにアパートを借りたりして、実は2011年の初頭からずっと監視し、その情報をバージニア州ラングレーにあるCIAの本部にリアルタイムで送っていたわけですね。

なのでつまり、このビン・ラディンの発見から強襲作戦までの成功は、なにもゼロ・ダーク・サーティマヤのようなエージェント一人の功績によってではなく、こういう現地で命がけで協力したパキスタン人がいたからなんですね。

なお、この二人のパキスタン人がCIAの外部スタッフなのか、現地で雇って訓練された人たちなのか、あるいはパキスタンアメリカ人(これはまずないでしょう)であるのかは全く分かりません。が、車のドライビングテクニックや、監視に必要な機材の取り扱い、それに腰に挿した銃とか、その身のこなしはどう見てもベテランのエージェントで、彼らは元軍人なんでしょうか。

とにかくこのワセムとマリクの二人のたたずまいはとにかくかっこいいし、この映画のキモはこの二人にスポットを当てた部分であって、決してCIAとかシールズの面々ではありません。そもそもこの二人が、CIA傘下の現地スタッフであることは誰も知りませんので、時にその怪しい行動により、パキスタン警察やパキスタンの情報機関であるISI(三軍統合情報局)に尋問されたり捕まりそうになるわけです。その際に彼らが言葉巧みに必死に逃れようとするシーンがすばらしい。しかも時には腰にさした銃に手を当ててですよ・・・驚愕!今度はこの二人を主役にした映画を作ってほしいくらいです。

彼らの活躍の前では、CIAとかシールズとかの俳優陣って、結局は見終わってしまうとほとんど印象に残っていないんですよね。

ところで、アメリカの汚名返上でもあったこの強襲作戦は、当時の大統領であったオバマによってその勝利宣言が全世界に向けて宣言されました。しかし現実には、このワセムとマリクや、ビン・ラディンの豪邸にワクチン接種という名目でDNAを採取しようとしたパキスタン人の医者も、この作戦の後、パキスタン当局に国家反逆罪ということで逮捕されてしまっています。現在、この医師は服役中ですが、セムとマリクの二人がどうなったかはわかりません。なんとか無事だといいのですが・・・。

なお、これらの逮捕劇や、アボタバードがパキスタン陸軍の拠点であったことからも、パキスタン政府がビン・ラディンを非公式に保護していたのは自明のことですね。パキスタン情報局のISIも当然把握していて、監視していたことは間違いないはずです。

まあこういう不都合な事実があったので、大ヒットした?アメリカ万歳映画の方の「ゼロ・ダーク・サーティ」には、この二人のパキスタン人が全く出てこないわけですね。

ここまで書いていて、重大なことに気づきました。こういう風に、現地の協力者を見殺しにする政権って、時のオバマ政権しかり、あるいは現在のバイデン政権しかり、つまりは民主党政権なんですよね。かれら民主党政権は、平気で現地の協力要員を見殺しにするのが特徴で、当時のリビアでのカダフィ大佐の殺害を担ったアフガン人部隊も、時の国務長官であったヒラリー・クリントンによって、飛行機の着陸時に意図的に爆撃されて全員死亡しています。まあそれが、ベンガジ事件の要因となったわけですが。

つまり、民主党政権というのは平気で人を殺したり、協力者を簡単に見捨ててしまう政権なんですね。それは何も今はじまった話ではなくて、ヒラリーも、オバマも、そしてバイデンも、平気でそういうことをやってきたわけです。今のアフガニスタンの状況は、まさに彼らのそういう政治姿勢を如実に示しているに過ぎません。

さて現地に取り残されたアメリカ人や日本人、そしてアメリカやイギリスや日本に好意的だったアフガン人は今後どうなってしまうのでしょうか。本当に心配ですが、メディアはアフガンに取り残された邦人のことなんて、もうほとんどほったらかしの模様。メディアが真実を報道しなくなるとき、我々国民は最も注意深く警戒すべきなんですが・・・。

ちなみに、ビン・ラディンの殺害作戦に先立ち、2009年にアルカイダの2重スパイ(厳密には3重スパイ)であったフマム・ハリル・アブムラル・バラウィによってアフガニスタンホースト基地(チャップマン基地)で起きた自爆テロ事件を描いた「三重スパイ」という本も、上記2本の映画と併せて是非読んでおきたいところです。この事件でCIAは局員7名を一度に失うという大失態をやらかしました。その辺はゼロ・ダーク・サーティでも描かれていますが、簡単に言ってしまうと、「マジメなオタッキーを追い込むと大変なことになる」という教訓のようなお話です。

▼間違えて送られてきたDVD(二つしかあってない)