GIGI日記~映画とか本とか~

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天才「川口マーン恵美さん」

川口マーン恵美さんって、去年まで全く知らない作家さんでした。そもそも名前からして、なんか外国人と結婚して売名行為よろしく細々と本出してる人なのかな~などと、かなり上から目線でタカをくくっておりましたが、この人、はっきり言って文章の天才です、恵美さんごめんなさい(おでこを床に擦りつけて土下座してますので)。

なにより、ものすご~く文章が上手なんです。下手な経済評論家とかそこいらのゴーストライターが書いたような掃いて捨てるほどあるくだらないビジネス書なんか足下にも及ばないすばらしさ。

昨年の12月頃に「移民 難民 ドイツ・ヨーロッパの現実2011-2019」を雨林(amazon)で買って以来、すっかりファンになりました。そしてブックオフ・オンラインで怒濤の大人買いをして、これまでに夜寝る前とかのゴールデンタイムを利用しつつも、以下の書籍を読みました。

「そしてドイツは理想を見失った」
「ヨーロッパから民主主義が消える」
「世界一豊かなスイスとそっくりな国ニッポン」
「住んでみたヨーロッパ 9勝1敗で日本の勝ち」
「ドイツ流、日本流」
「住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち」

はっきり言ってもう全て名著です。面白いです。勢い余って「フセイン独裁下のイラクで暮らして」まで買っちゃいましたが、この本は1990年に出たものなので、さすがに古いよなあ~フセインもういないし。

そもそも論として、まずドイツ人やドイツという国を中心に、EUとかヨーロッパの現状をここまで丁寧に評価・分析してしかもわかりやすく紹介している本は恐らく皆無かと。わかりやすいと評判の池上彰さんよりよっぽど恵美さんの方が分かりやすいしすごいですわ。これらの本はヨーロッパ研究の必読の書ですね。さてさて、ここいらでそのすごさの一部を少し紹介しますね。

①ドイツ人の優先順位は住→衣→食
ドイツ人にとっては衣食住のうち、優先順位は住→衣→食の順番で、住む家や家具にはとんでもなくお金をかけるくせに、旅行先でのお土産とか、お店での食事なんかにはほとんどお金をかけないみたいなんです。なので、日本人ほどグルメでないし、食べ物にもさほど興味がなく、夜は火を使っての調理もほとんどしないで、簡単にチーズとかパンとかサラダなんかで軽く済ましてしまうことが多いようなんです。思考回路的には、ずっと残るモノにはお金を使い、残らないモノ(食事とか旅行)にはほとんどお金はかけないというね。なので休暇中は、観光地に行くとかそういうノリではなく、むしろ「自然に回帰する」つまりは、ハイキングとかトレッキングとかひたすら歩いて登って、といった行動に精を出すのが極上の贅沢なんだそうです。

②ドイツ人はサービス精神ゼロ
ドイツ人にサービス精神を求めてはいけなくて、日本と同じようなサービスを期待すると鬱病になりかねないのだそうです。これはタクシーや鉄道なんかの交通機関も郵便局や市役所なんかの公共機関も小売業もすべからくそうで、電車が止まったときの説明は一切無く、その後もずっとなんの説明もないまま電車を下ろされたり、宅配に再配達を頼むと「一度行ったしもう別の場所にいるから明日じゃないと無理!」とか露骨にいやがられたり、買った商品に不備があっても、ただ一言「運が悪かったですね」と軽くあしらわれたり、日本なら鬼クレームに発展してもおかしくないことが日常で多発するようなんですね。

③ドイツ人は理想主義者(熱しやすく冷めやすい)
しかしドイツ人は、ヒトラーという負の遺産を背負っているため、理想主義的な政策にはすぐに共感が集まりやすく、メルケル首相の二転三転した「脱原発宣言」とか、ダブリン協定(難民申請は、難民が最初に入った国で申請をしなくてはならない協定)を無視した勝手な難民の無条件受け入れ宣言とか、そういうわかりやすい理想主義や人道的な取り組みには我を忘れて熱狂的に支持してしまうという気質なんだそうです。

以降は僕の勝手な解釈です。
僕はこれを読んで、なぜ第一次世界大戦後にキチガイじみたヒトラーが台頭してしまったのか、その理由がようやくわかったような気がしました。おそらく多分にこの理想主義に傾倒しやすく、熱しやすく冷めやすいといった気質が関係しているのではないでしょうかね。なぜなら今ドイツでは、このメルケルの完璧なスタンドプレーの「難民無条件受け入れ宣言」は事実上停止し、難民受け入れの上限値を設定するなど、国境は固く閉ざしている有様で、これまたシェンゲン協定(ヨーロッパの国家間において国境検査なしで国境を越えることを許可する協定)を無視する政策がとられつつあります。

しかし(メルケルの受け入れ宣言)当時は、この政策に異を唱えること自体、それこそ「差別主義者!」とか「人道にもとる発言!」などと徹底的に叩かれる有様で、要するに政治家ばかりか国民も決してノー!とは言えない空気に満ちていたようなんですね。

とはいえ、難民を無条件で受け入れ続けた結果、その数が年間で100万人を超えたところで、その異常事態に気づきはじめたようなんです。なぜなら、その100万人分の住衣食(ドイツ風)を確保するための財源が地方の自治体の財政を大きく逼迫するまでに膨らんだり、受け入れた難民がドイツ女性(白人)への集団暴行事件を起こすなど、様々な問題が多発するようになってしまったためなんです。しかし、この難民たちの一部が事件を起こしたという事実を政府やマスコミは必死に隠し続けたようです。

どうですか、これこそがヒトラーが台頭した理由だと僕は思いました。政治家が、理性的な判断のもと、正しくないと思っても決してノーと言えない国。また、それを許さない熱狂的な理想主義者の国民性。さらに、問題が起こってもそれを徹底的にひた隠しにする政府とマスコミ。整理すると以下のようになります。

①政治家が(自身の保身やバッシングを恐れて)理性的な意見を言えない。
②国民が理想主義に熱狂すると、それに反対できない同調圧力がすさまじい。
③理想主義に水を差す事件や事実は決して公にされず、ひた隠しにされる。

まさに、ヒトラーが台頭した理由そのものではないでしょうか。

そしてこのことは、今の日本でも起きてることではないですか?その最たるものがコロナ騒ぎです。コロナ上等!ではなんでだめなんですか?
この前新聞を見てびっくりしたんですが、「コロナに感染して90代2人死亡」と書いてありました・・・。マスコミよ、ふざけんな!と言いたいです。あのう~90代ですよ90代、もうコロナだろうがインフルだろうが、それは単なる寿命だったんではないですか?

で、こう書いていると予想通り政府が出しましたね「イベント自粛解除宣言」。やっぱり予想通りでした。そもそもこのコロナウィルスは若い人にとってはインフルや風邪に近い極めて軽微なモノです。なので、あまり大騒ぎしない方がよくて、むしろ経済活動を萎縮してしまう方が、日本という国全体にとってはマイナスであるはずです。であるなら、感染後はどういう点に注意すればよいか、どの程度で回復するのか、そういうことを報道すべきなんです。間違っても感染の有無だけに特化して報道するのではなくて、少し咳や熱がある程度で検査のために病院に人々が殺到することこそ警戒・警告すべきなんです。だって病院はコロナばかりでなく様々なウィルスの温床だし、かつコロナ用の検査機器も不十分で、かつ特効薬も開発されていない状況なわけですから。で、このままだとパンクしますよ病院が、医者の皆さんが。で、本当に必要な別の医療が受けられなくなりますよ。で、このままだときっと学校とかで増えますよ「コロナいじめ」とか、クソくだらないことが。なので「ダブリン上等!」ならぬコロナ上等!でいいんです。

とにかく、マスコミの皆さん、本来マスコミとは政府の監視機関であるべき事をもう一度小学校で学び直してきたらいかがでしょうか。あっ、話がそれてしまいましたが、川口マーン恵美さん、最高におすすめの作家さんです。

そしてドイツは理想を見失った (角川新書)

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  • 発売日: 2005/08/26
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