GIGI日記~映画とか本とか~

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映画「ゴールデン・リバー」

評価:★☆☆☆☆

いやぁ~、とんでもなく期待はずれの一作でした。見終わった後、このホモやろうっ!!と叫んでましたですハイ。

だって、主演がジョン・C・ライリーホアキン・フェニックスジェイク・ギレンホール+「ローグ・ワン」のパイロット役(名前は知らない)などの濃いめの演技派が勢揃いしているにもかかわらず、一体どうしたらここまでクソな映画が作れるのかもう意味不明~。関係者の皆さんごめんなさい。

時は1850年代の南北戦争前夜、舞台のオレゴン州はまだ「準州」扱いで、ある意味合衆国憲法にほぼ左右されない自治領的意味合いが強いため、まだまだ無法者(アウトロー)たちが幅を効かせ、一攫千金(ゴールド)を夢見てもう荒くれ者がウジャウジャとラッシュしてるんです。

で、あらすじはというと、巷では結構有名な殺し屋のシスターズというジョン・C・ライリーホアキンの兄弟が、金脈の情報を持ったローグワン(のパイロット)を追ってるんですが、先にローグワンに接触していた仲間のジェイク・ギレンホールがローグワンと勝手に意気投合してつるんで逃亡してしまうんです。で、それをジョンとホアキンがダラダラと追いかけるだけの話なんですが、途中でママギャング団に襲われたり、ジョン・Cが病気になったり、まあいくつかのエピソードが差し込まれてるんです。

だからといってじゃあ面白いかというと、面白くないんです~、心から楽しめないんですね~、なんででしょ。で、色々と考えたんですが、たぶんそれはこの前見た「荒野にて」と同様に、いや~なエピソードがいくつも無駄に挿入されているからでしょうか。しかし、こういう後味の悪いイヤ~なグロテスクなエピソードを差し込むのって最近の流行(はやり)なのでしょうか。「人生はままならない、しかし、それでも、生きていくっ」とか「生きていくのは大変だ、だけど、それでも、世界は美しいっ」とかって、もううるせぇ~!いい加減にしろっ!!!と叫びたいですハイ。

だってそんなの当たり前じゃないですか。そんな当たり前のことをさもオレはわかってる的なニュアンスでしたり顔でわざわざ映画にすんなよ。えっと、誰だ?監督?えっ、ジャック・オーディアール?知らねぇ~って、あっ「ディーパンの闘い」を撮った人か。あの映画はよかったんだけどなあ~。

あのぅ~、お聞きしたいのですが、どうして金脈採掘の話と雇い主である「提督」と呼ばれてるボスとの話に焦点を絞らなかったのでしょうか。それ以外のエピソード、マジいらねぇ~。きっと監督はフランス人なので、アメリカ人の気質やゴールドラッシュに沸くカリフォルニアとか、きっと本質的には理解できなかったんでしょう。で、そこに強引に「家族愛」を導入したもんだから、もうお話があっち行ったりこっち行ったり拡散してランセルノプト放射光しちゃって何もかもが中途半端な始末。

ただ、ジョン・Cとホアキンが馬に乗って荒野を走り抜けるシーンとか、たき火を囲んで野外で過ごしたりするアウトドア描写、大雨の中を簡易テントみたいな布の下でじっとやり過ごすシーンとか、結構「ブロークバック・マウンテン」してて、いいシーンはふんだんにあるんです!実にいいんです。なので、そこに★1なんです。

特にジョン・C・ライリーは、ポール・トーマス・アンダーソン(PTA)監督の最高傑作「ハード・エイト」「ブギーナイツ」「マグノリア」の3部作に総出演していて、僕の大好きな役者の一人。この子豚みたいなルックスがもう最高なんです。あっそういえば、ホアキンもPTAの「ザ・マスター」と「インヒアレント・ヴァイス」に出てるし、ジェイクも「ブロークバック・マウンテン」に出てるし、何となく関連性が・・・。なので、どうせなら、もっとまともな映画にしてほしかったです、このメンツならね。

しかし、このちょうど100年後ぐらいを舞台にして、PTA監督が石油採掘に沸くアメリカを描いた映画「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」を撮るわけですが、やはり出来が全然違いますよね。たしかに「ゼア・ウィル」の方は「オレのミルクセーキっ!」とかってわけがわからないけど、なんとなく中毒性があって、たまにむしょ~に見たくなるんですよ。その理由は今でもよくわからないんだけど、やはりPTA監督の映画は究極の人間賛歌であって、最後まできちんと逃げずに人間を追っているからでしょうか。

一方で、この映画と「荒野にて」の場合は、映画のクライマックスで「生きるのは大変だ。けれど、それでも、人生は続くっ!そして、世界は美しいっ!」みたいな感じで、それまでずっと追ってきた「人間」からいきなり対象を「世界」まで飛躍させ、一個人が影響を与えようのない「世界」という事象で強引に中和してチャラにしてしまおうという意図が見え見えだからでしょうか。

とにかく、この映画を見てしまうと、いかに「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」や「ブロークバック・マウンテン」が本物なのかよくわかりますね。邦題も最低ですし。なにが「黄金の川」だよ。ちなみにPTAの「インヒアレント・ヴァイス」はクソなので要注意です。

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