GIGI日記~映画とか本とか~

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映画「ボルグ/マッケンロー」

評価:★★★★★

この映画、結構地味ながら、ものすご~くよかったです。これだから映画はやめられません!映画もすばらしかったけど、ボルグとマッケンローを演じた各々の役者がとにかくすばらしい!この映画、「アイ、トーニャ」と同じくらい好きですね。

まず、1970年代当時のテニス界の皇帝、「氷の男」ボルグ役を演じたスベリル・グドナソンというスウェーデン出身の役者さんなんですが、ごめんなさい、知りませんでした。このスベリルさん、まさにはまり役で、悩める皇帝オーラ全快でものすごくかっこよかったです。特に好きなのがオフの時のファッションで、サングラスに毛皮のコートとかって、洒落ててゴージャスで大好きですね。

一方、次世代のテニス界のスター、マッケンロー役を演じたシャイア・ラブーフ君なんですが、彼は「ディスタービア」とか「イーグル・アイ」ぐらいしか印象になくてそのまま消えたかと思ってましたが、なかなかいい役者に育ってるじゃありませんか。「悪童」マッケンロー役を見事にこなしています。

物語は、1980年のウィンブルドン選手権を軸に、両者の幼年期や青年期のシーンを織り交ぜ、それぞれの苦悩や軌跡を丁寧に追っていくんですが、この編集テクニックがものすご~くうまくて絶妙なんですよね。

あと、ちょっと70年代の映画っぽい独特の映像は、この前見た「アイ・トーニャ」と同じような手法が使われてて、ギラギラ70~80年代の雰囲気が伝わってきてちょ~かっこいいんです。ぱっと見ると、なんかスコセッシの「ミーン・ストリート」とか「タクシー・ドライバー」を流してるんじゃないの?って勘違いしそうなほどなんです。このカメラとかフィルム加工技術?がすばらしいんですよ。

で、始終ボルグは記者からマシーン(機械)とかアイスマンとか言われて、まるでF1界のシューマッハみたいな扱いなんですが、実は少年時代は全然違うんですよね。そこにこの映画の秘密というかキモがあるんですが・・・。

とにかく最高なのは、キレまくってるマッケンローことシャイア・ラブーフ君で、観客のヤジや罵倒にも一歩もひるまず、審判に楯突き、観客に暴言を浴びせ、挙げ句は対戦相手や他の選手にまで悪態をつきまくるという有様で、ハードでクレイジーですご~く笑えました。

最近のスポーツ界(とか芸能界まで)に蔓延している、やれ紳士たれ、やれ礼儀、やれ精神とか、やれ士道(言わないか)とか、ほんとにくだらない概念や同調圧力を軽~く鼻で笑い飛ばすセリフのオンパレードで、とにかく僕には痛快でしたね。

特に大好きなのが、マッケンローが記者会見時でテニス以外のことをネチネチ聞いてくる記者達に向かって「オマエはちゃんと試合見てたのか?ファック!」とか「いいからテニスのこと聞けよ!」とか「オマエらなんかに俺たちの気持ちは絶対にわからない!」と言い放つシーンで、なにかこう、胸に熱~く響くモノがありましたね。

で、こういう悪童マッケンローが、ラストにウィンブルドンで完全燃焼した姿を見て、観客はもう感動のあまりに最後はスタンディング・オペレーションの嵐、嵐、嵐!・・・って、当たり前の話ですが、その選手のプレーとか技が人を感動させるんであって、紳士、礼儀、精神じゃないんですよ。まあ、日本のマスコミの皆さんも、きちんとこの映画を見て、いい加減くだらない報道や質問やコメントするのはやめましょうね。

最後に、こういう実録映画にはありがちな、エンドロールでそれぞれの選手のその後なんかが語られたりするんですが、この映画もそうで、それがまた感動的ですばらしい逸話なんです。実際の写真なんかも織り交ぜられてて、本物のボルグとマッケンローに演じた役者がくりそつなので二度びっくりするという。

ところで、最近見た同じく実録モノの「ボヘミアン・ラプソディー」って、僕は何とな~くモノ足りなさを感じてたんですが、それはきっと、監督とか役者がどこまで人間の感情を本気で描こうとしたか?ってことなのかもしれません。人間の本当の感情を本気で描こうとすれば、それはそれは決してきれいごとではすまされませんよ、多分ですが。

あ~連休中、こんなすばらしい映画にあと何本巡り会えますかね~。楽しみです。

ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男 [DVD]

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