GIGI日記~映画とか本とか~

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映画「ザ・アウトロー」

評価:★★☆☆☆

僕はこの映画、微妙にダメでしたが、別につまらなかったわけではなく、その「ヒート」+「ユージュアル・サスペクツ」÷2みたいな挑戦的な作りにはむしろ敬意を表したいぐらいなんですが・・・。

この映画は一口で言うと綿密な計画に沿って銀行強盗をやらかすメリーメン率いるプロの強盗団と、それを阻止するジェラルド・バトラー率いるLASD(ロサンゼルス保安局)チームとの攻防を描いた映画なんですが、保安局というのがミソで、これがLAPD(ロサンゼルス市警)だったらまんま「ヒート」と同じ設定になってしまうわけです。

しかし、この設定からして監督は明らかに「ヒート」を意識していて、キャッチコピーも「映画史に残る銃撃戦!!!」とかって煽る煽る。僕もまんまとこのコピーにやられ、すごすごレンタルしてしまった口ですが、もはや「ヒート」の足元にも及ばないというか。

まず、ジェラルド・バトラーさんがいわゆる型破りな保安官(SHERIFF)という設定なんだけど、もう胸元にタトウー入ってるし、容疑者への暴力も当たり前で、とんでもなくやな奴なんです。当然、奥さんにも愛想を尽かされ離婚を迫られるんですが、一丁前にちょっと男泣きしたりするんです、が、そのシーンを見ても1ミリも同情しないんですよね、むしろ、ざまーみろ!としか思えないんです。要は大体の人がここまで見てこのキャラ嫌いになってるというか。

ヒートのアル・パチーノ演じるビンセント・ハナ刑事の場合は、一般市民に暴力なんてふるってなかったし、随所で荒々しくはあっても、頭もよくてカリスマ的な頼れるイメージがありました。が、ジェラルド・バトラーの場合、単なるバカの酔っぱらいにしか見えないんです。しかもちょ~やな奴という。僕は見ててさっさと射殺されればいいと思ってましたね。この頃にはむしろ強盗団を応援してました。

そしてそれは強盗団のリーダーのメリーメンにもいえることで、カリスマ性皆無という致命傷を負ってます。このひと有名な役者なんでしょうか。パブロ・シュレイバーという人ががんばって演じてるんですが、知りません。最近の売れっ子なんでしょうか。残念ながら、デニーロみたいなリーダー的なカリスマ性や冷静さは皆無。今後、もう少しまともな映画に出て経験を積んでほしいですね。ポストいけてるハゲの「ジェイソン・ステイサム」を目指してほしいです。

しかも、せっかくラッパーの50セントが出てるのに、もうほぼゴミ扱いという暴挙。唯一の救いは、大好きなアイス・キューブの息子「オシェア・ジャクソン・Jr」が出ていることなんですが、こちらも単なるヘタレ扱いですわ。そして、このオシェア・ジャクソン・Jrが、車のドライビングテクニックを買われて窃盗団に入る、という設定も、まんま「ヒート」なんですよね。ちょっとやり過ぎではないですか。

しかしこの映画って、はっきり言ってダメダメではあるんですが、僕はそこそこには楽しめました。最後は「え~マジでっっ?」といった衝撃も少なからず受けましたが、すぐに「けど、まあ、どうでもいいけど・・・」と思い直したり、寝る前にストーリーを少し振り返ったりして「よくよく考えると、あのオチ、ちょっと無理があるよな~」とか思ったりして。あの~、別にこの映画が好きなわけじゃないですよ。

この映画の立ち位置としては、強いて言えばむしろ「ヒート」のものすごさを再確認できるという点でしょうか。この映画を見た後に連続して「ヒート」を見れば、本物がいかにすばらしいかがよくわかります。そういった意味で2本連続で見るエネルギーのある方にはおすすめですね。

しかし、レンタル屋でトム・クルーズの「アウトロー」と並べて置いてあるのには笑いました。店員さんも見てないんですね~おそらくは。あの~、全く関係ないですから。

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