GIGI日記~映画とか本とか~

映画、本、料理、植物、ときどきファッション

MENU

映画「ムーンライト」

評価:★★★☆☆

さて、この映画は色んな雑誌や本で絶賛されていますが、ごめんなさい、僕はあまり楽しめませんでした、残念無念。いや、確かにおもしろいし、確かに好きか嫌いかと問われれば当然嫌いではないのですが、そこまでは心に響かなかったというか。

ところでこのブログですが、好きな映画ばかりを紹介していると、冒頭の評価が全て五つ星になってしまって、もはや何の意味もなさないというパラドックスに最近気づきましたので、まあ、普通評価の映画についても言及することにしました。

そもそもこの映画は、主人公であるシャロン君の①少年期、②青年期、③壮年期の三つのパートで構成されているのが最大の特徴なんですが、①→②は自然の流れですばらしいんですが、僕がどうしても納得できないのが②→③なんですね。②→③って、どう考えてもあり得ないというか、人間って、よっぽど衝撃的な事件とか事故とかトラブルとか、人生を根底から覆されるような劇的なインパクトに出会わない限り、②→③のように激変することはあり得ないと思うのは僕だけでしょうか。

どういう事かというと、シャロン君①は、まだあどけない少年時代のシャロン君で、まあ子供特有の可愛さがあって、見ててとてもほほえましいんです。で、シャロン君②もまた、まあそうだよね、っていうような内気でちょっとゲイっぽくて女みたいな歩き方のナイーブでシャイな青年時代のシャロン君で、それがまたすばらしいんですハイ。で、問題はシャロン君③なんですけど、って、これって見た人に聞きたいんですが、これほどの激変ぶりははたして現実にあり得るんでしょうかね。だっていきなりのバリバリのギャングスタっすよ。ズンズン重低音の響く愛車に乗って、ネックレスにピアスのバリバリの50セントばりのちょ~怖い関わりたくないファッキンなストリートギャングなんですよ信じられませ~ん。もはや50セント成り上がり映画「ゲット・リッチ・オア・ダイ・トライン」かと思いました。

僕はどうしてもこの、②→③が受け入れられませんでした。って、見た人達はすんなりほほえましくこの映画を見届けたんでしょうかね、だとするとそのモノわかりのよさに驚愕ですが・・・。いや、確かにこのシャロン君③もすばらしいんですよ演技は、その点に異論はありません。けれど、このシャロン君③って、そんなに人生が根底から覆されるようなインパクトに遭遇したんでしょうかね。要は同級生にいじめられて、逆にやり返しただけじゃないですかつまりは。この同級生たちがまたホントに頭に来る奴らなんです、しかも何の処分もされなかったみたいだし。なので僕はとにかくこいつらを地獄にたたき落としてほしかったんですよ。

で、そういう無理やりな部分を「黒人は月の下では青色に見える」とかって、どうでもいいことを詩的に語ることで、さも意味があるようにかつオシャレに見せるという小賢しいテクニックで回避したりとか、あと、シャロン君が同性愛者なのかもしれないという設定って本当に必要だったんでしょうか。なんかいちいち小賢しいテクニックにばかり走って、大事なことはほったらかしというのが残念でなりません。なんか、みょ~におしゃれに仕上がっているので「泣けた」とか「シャロン君③の目が優しかった」とかいう批評が巷にあふれてるけど、僕的にはそうじゃないじゃん!オシャレさはどうでもよくて、なんであのいじめっ子達は裁かれないの?あいつらが全ての元凶だし学校というシステムの欠陥だし一番の社会問題でしょ!と叫びたくなるんですよね。まあ、映画なので当然、自分の思い通りになんていかないのは百も承知ですが・・・。

なので、この映画を見て感動したという人は、是非本物のギャングスタ映画、つまり少し前に紹介した「ボーイズン・ザ・フッド」を見て、その神髄を知ってもらいたいですね。ただ、まあそれはそれとして、楽しめることは間違いありませんが。

ムーンライト スタンダード・エディション [DVD]

ムーンライト スタンダード・エディション [DVD]

 
ゲット・リッチ・オア・ダイ・トライン スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

ゲット・リッチ・オア・ダイ・トライン スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]