GIGI日記~映画とか本とか~

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映画「ブラックホーク・ダウン」

評価:★★★★★

僕は戦争映画も大好きなんですが、この映画はその最高峰と自負してます。これもマイ・ベストの一本(一体、マイベストが何本あるのか・・・)。好きすぎて「ブラックホーク・ダウン コレクターズ・ボックス」まで買っちゃいましたし、それに飽きたらずに原作本も買って読みました。

当時は映画館に見に行ったんですが、あまりにリアルな映像と一部残酷な描写に耐えきれず、途中で映画館を出た記憶があります。で、数年後、なんとなく続きが気になり、レンタルして恐る恐る見たんですが、そのおもしろさにもう仰天。それ以降、完全に虜になり、こちらも年一回は必ず見てます。

この映画は、クリントン政権下に、ソマリアの内戦に秘密裏に介入したアメリカ特殊部隊の秘密作戦を描いた映画なんですが、戦闘シーンのリアルさはもちろん、なんか細かいところがいちいち好きなんですよね。

例えば、作戦自体が一般兵には直前まで全く知らされなかったり、直前の作戦会議の内容も結構いいかげんで大ざっぱなことしか決まってなくて「こうやってビルの四隅にデルタ(フォース)を配置して、その間、ビルの正面にレンジャーがハンヴィーで待機して、あとは人質を乗せたら退却しろ!ただし、対象のビルはまだわからない!」とかって、じゃあ一体どうしろっての?っと突っ込みたくなるほどアバウトな作戦会議で笑えます。しかも、上官に質問するのは何となくタブーみたいな空気が流れていて、その会議に出ている将校とか軍曹たちも何も言わないんです。

今の時代すぐに「説明責任!」とか「上はちゃんと説明すべき!」とか当たり前に言いますが、この映画だと相当にアバウトな作戦会議なのに、誰も文句一ついえず、不安要素ばかりのまま作戦に参加せざるを得ない、という不条理の固まりみたいな映画です。

好きなシーンはたくさんあって、序盤に車両部隊を率いるマクナイト中佐(トム・サイズモア)が、現場で哨戒機から作戦を取り仕切るハレル中佐に「白昼に車両部隊だけで攻撃機もない。daylightだぜ!命取りだぜ!」とかって不満をぶちまけるんだけど、ハレル中佐はどこ吹く風で「人生は完全じゃないさ。」とやり返すのが好きですね。

あと、中盤にマシューズ中佐がリズミカルに「ブラックホーク・ダウンッ!ブラックホーク・ダウンッ!」や「プリティ・バッド!」とかって逐次戦況を伝えるシーンです。本来、とんでもない事態なので叫んだり感情をあらわにしがちですが、一切感情を排し、冷静かつ客観的に事実だけを伝えるといった落ち着いたスタンス。これが、地上部隊率いるマクナイト中佐と対照的でおもしろいです。マクナイト中佐は始終「味方は十字砲火を浴びてる!もっと早く指示を出せ!さっさと現場に誘導しやがれ~!」とかって怒鳴ってるんだけど、マシューズ中佐は「哨戒機から本部経由なので伝達が遅れる。だからスピードを落とせ。」とか、ひじょ~にリアルかつ冷酷に無理難題を伝えます。マクナイト中佐は「集中砲火を浴びてるのに落とせるわけね~だろ!」と絶叫!かつてここまで、作戦本部、哨戒機(現場本部)、地上部隊、航空部隊のやりとりを正確に捉えた戦争映画があったでしょうか。

そして終盤、ガリソン中将が右腕のクリッブス中佐に「パキスタンの山岳師団に応援を要請しろ。」と指示を出すと、クリッブス中佐がきっぱり「秘密作戦です!」と断るシーンが好きですね。劇中それまで上官に逆らう兵士はいなかったので、この中佐がどんな立ち位置なのか少し興味が出ました。まあ、その後すぐに従うのですが・・・。

といったように、見所満載の戦争映画で、アメリカ特殊部隊とかに興味ある人には楽しめると思います。あとは理不尽な組織に勤めてる人なんかは、この映画を見るとここまですさまじい理不尽さに度肝を抜かれるはずで、少しだけ楽になるかも。それに始終流れるお祈りみたいなソマリア民族音楽?もすばらしいです。

ブラックホーク・ダウン コレクターズ・ボックス [DVD]

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ブラックホーク・ダウン〈上〉―アメリカ最強特殊部隊の戦闘記録 (ハヤカワ文庫NF)

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ブラックホーク・ダウン〈下〉―アメリカ最強特殊部隊の戦闘記録 (ハヤカワ文庫NF)

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