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映画「ボーダーライン(SICARIO)」

評価:★★★★☆

とにかく大好きな映画です。メキシコの麻薬カルテルとその壊滅をもくろむアメリカ政府の特殊作戦を描いた映画で、マイベストに入る一本。

そもそもアメリカには、FBIとかDEA、ATFとかいろいろな機関があるんだけど、この映画では、カルテルに打撃を与えるための特殊作戦を行うマット(ジョシュ・ブローリン)率いるCIAの活動を中心に添え、それに随行せざるを得なくなったFBI捜査官(誘拐捜査班)であるケイト(エミリー・ブラント)の視点から、この特殊作戦の全容を描いたものです。

何がすごいって、メキシコのフアレスからの帰りの国境付近での銃撃戦!見ていて震えましたね。カルテルのメンバーは主に国境付近で銃撃戦を仕掛けてくると聞きビビりまくっているケイトをよそに、マットほかCIA職員はヘラヘラ笑いながら食い物とかの世間話をしていて余裕たっぷりで笑えます。とはいえ、それっぽい車両を見つけるとおもむろにアサルトライフルを構えて速攻で臨戦態勢、ボルテージが一気に上がります。ここから銃撃戦がはじまるまでいや~な間があるんですが、その緊張感がすさまじいです。今思い出すだけでも少し震えますね。カルテルメンバーがもう本物っ?ていうくらい極悪揃いで、実際に目の前にいたら腰抜かしそうです。この人達は役者なんですかね、本物にしか見えません。

とにかくこのシーンが僕にとってのこの映画のクライマックスで、それ以降はあまり覚えてません。スピルバーグの「プライベート・ライアン」の冒頭20分や、マイケル・マンの「ヒート」の中盤12分に匹敵する映画史に残る名シーンだと思います。

おもしろいのは、マットなんかのCIA職員は軍人ではないので軍服は着てなくて、チノパンとシャツとかのラフな格好にタクティカルベストを付けた軽武装で、いわゆる民間軍事会社の傭兵みたいなスタイルをしているところです。作戦にはデルタフォースなんかの特殊部隊も参加していて、そういったイラク帰りの歴戦の猛者達と可憐で華奢なケイトとの対比も笑えます。

もう一つ好きなシーンは、マットがFBIから募るメンバーを検討している場面です。ケイトの上司がマットに、ケイトの同僚のレジーを「イラク帰りで、今は法律の学位を取得し、非常に有能です」と紹介するんだけど、マットはだるそうに「めんどくさそうだからそいつはいいや」と断るシーンですね。これはちょっと現実にもわかる話で、個人的にはニンマリしてしまいましたね。

ともかく、マット役のジョシュ・ブローリンがすばらしい。ベネチオ・デル・トロも悪くないですが、ジョシュ・ブローリンの前にはその存在感もちょっと霞んでしまいました。下積みは長いようですが、その分非常に味のある役者で、この人がいるだけで映画にコクが出るというか。大好きなポール・トーマス・アンダーソン監督のフィリップ・シーモア・ホフマンみたいな。彼はとんでもなくいい役者だったのに、なんとドラッグのオーバードースで亡くなってしまいました、大好きだったんですが。

しかし、ジョシュ・ブローリンの出てる映画に外れなし!「ノーカントリー」「ブッシュ」「アメリカン・ギャングスター」「ミルク」とかみんないい映画です。まあ、最近の「オンリー・ザ・ブレイブ」は、かわいそすぎてあまり好きではないですが。

ちなみにこの「ボーダーライン」は評判も上々だったようで、昨年続編が公開されてました。見たかったなあ~。しかし、この邦題はやめてほしい。

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