GIGI日記~映画とか本とか~

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天才、村上龍さん

唐突ですが、村上龍さんの本も大好きで、ほぼすべて読んでます。世の中は村上春樹さん派が多いけど、僕は断然、村上龍さん派ですね。

初期の「限りなく透明に近いブルー」「海の向こうで戦争が始まる」「コインロッカーベイビーズ」「愛と幻想のファシズム」から、大好きな矢崎シリーズの「69(シックスティーナイン)」「長崎オランダ村」「村上龍映画小説集」の3作品。イシハラシリーズの「昭和歌謡大全集」と「半島を出よ」などなど。

風俗やスポーツ、社会・時事問題、SFから冒険ものまで、幅広い題材をテーマに小説を書ける人間はおそらく村上龍さんしかいないと思います。特にすごいのは、それらのテーマに読者側が一切興味がなくても、きちんと龍さんテイストに仕上がっているので、読んでも十分楽しめてしまうところですね。「快楽のテニス講座」はまだ読んでませんが・・・。

特に「村上龍映画小説集」はマイ・ベストに入る一作で、ここに出ていた映画は大体見た記憶があります。ケネス・アンガー監督の「スコピオ・ライジング」とか、デビット・リンチ監督の「ブルーベルベット」とかね。その他、ピーター・フォンダの「ワイルド・エンジェル」は微妙だけど、「ロング・グッドバイ」とか「レイジング・ブル」は大好きです。おそらく映画をモチーフに自伝的小説を書くといった手法は村上龍さんにしかできない芸当だと思います。本当にすごいねえ。

エッセイも上手で、新聞や雑誌なんかですごくおもしろい記事があって、黙々読んでると実は村上龍さんの文章だったなんてことがよくあります。サントリー角瓶の文章とか。あと消耗品シリーズやフィジカル・インテンシティなんかのサッカーものや、村上龍さんが若かりし頃、村上春樹さんと対談した「ウォーク・ドント・ラン」なんて今となっては奇跡のような対談集。

最近のエッセイでは「無趣味のすすめ」とか「おしゃれと無縁に生きる」などなど。大体言ってることは毎回同じで、「日本は近代化を遂げ、みんな次にどうすればいいかわからない」とか「国として衰退しているのに誰もが気づかないふりをしている」とか「飲み屋で若者がバカでかい声で笑っているが、その理由がわからない」とか、とにかくさらっと読めて結構深くて、そして笑えます。

小説では「オールド・テロリスト」「心はあなたのもとに」 「55歳からのハローワーク」はすべて泣けました。龍さんはやっぱり天才。

(ちなみに村上春樹さんも当然天才。「1973年のピンボール」なんて何回読んだことか。春樹さんはまた別の機会に書きたいと思います。)

村上龍映画小説集 (講談社文庫)

村上龍映画小説集 (講談社文庫)

 
愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫)

愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫)

 
ウォーク・ドント・ラン―村上龍vs村上春樹

ウォーク・ドント・ラン―村上龍vs村上春樹

 
オールド・テロリスト (文春文庫)

オールド・テロリスト (文春文庫)