GIGI日記~映画とか本とか~

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映画「キングダム/見えざる敵」

評価:★★★★★

最近、クソつま映画が続きましたので、口直しに大好きな映画「キングダム」の紹介です。アメリカのテロ戦争とか中東ものが好きな人で、もしもこの映画を見てない人がいれば、自信を持っておすすめできます。こちらも紛れもなくマイベストの一本。

ところで、キングダムって言っても、マンガのキングダムじゃないですよ、まあそちらも大好きですが。

キングダム=サウジアラビア王国のことで、サウジってサウード家を国王とした絶対君主制国家なんですが、王族だけで何千人もいたり、石油産油量や埋蔵量がハンパなかったり、まあ、そこら辺はオープニング・ロールでアニメーション付きで簡単に説明されているので見てて楽しいです。

で、このサウジアラビアの首都リヤドで起きたテロ事件に、FBI捜査官のフランが巻き込まれ、その捜査に期限付きでジョイミー・フォックス演じるフルーリーのFBIチームが派遣される、というあらすじなんです。けど、現実にFBIって連邦捜査局なので、海外で活動することってあるんでしょうかね、むしろCIAの領域というか。

まあ、それはさておき、この映画はフルーリー役のジェイミー・フォックスがかっこよすぎるんですよね。テロ事件後、フルーリーのチームはサウジアラビアに降り立つんですが、そのサファリハットとサングラス姿がとにかくかっこいい。僕はマネしてどっちも買いましたが、似合わねえ~。しかも、そのスタイルがフルーリースタイルであることに誰も気づかないという・・・。

で、大好きなシーンが、聞き込み捜査中に泣きながら訴える被害者の家族に対し、ジェイミー・フォックスがやおらサングラスをさっと外し、じっと慰めるようにおじさんの目を見つめるシーンですわ。この演技って、日本の役者には絶対無理というか。

で、脇を固める俳優陣もいぶし銀のクリス・クーパーとか、ヘタレ役のジェイソン・ベイトマン(知らない)とか、そして、なによりもサウジの受け入れ役のアル・ガージー大佐がすばらしいんです。初盤はフルーリーらFBI捜査官たちにダメ出しばっかりで反目し合ってるんですが、彼も部下の一人を殺されていて、想いや憤りはフルーリー達と同じなんですよね。しかしながら、アメリカの客人を絶対に危険な目に遭わせるわけにもいかず、その狭間で葛藤するわけですが、次第に彼もフルーリー達を信頼して共に戦うことを決意するわけです。彼が恥ずかしそうにファーストネームを名乗るシーンはもう最高です。

あと、アメリカの外交官役のジェレミー・ピヴェンがもう最高。明らかにフルーリー達を煙たがっていて早くアメリカに送り返したくてしょうがないんですよ彼は。で、捜査にも乗り気じゃないし、理解もゼロで「もう帰りの飛行機のチケットはとってある!」とかって、ちょ~上から目線の保身のかたまりみたいなやなやつなんです。が、この人が演じると何となく笑えて憎めないんですよね~。この人が出てるだけで映画に深みが出るので不思議です。日本のアイドルの皆さん、彼みたいのが本物の役者ですからね。

さてさて、あとは紅一点のジェニファー・ガーナーさんですが、彼女がとにかくすばらしい。初盤は彼女も女性らしく大人しいんですが、車で高速で移動中にテロ組織から攻撃を受けるやいなや「ファッキン・キルッ!ファッキン・キルッ!(ぶっ殺す!ぶっ殺す!)」とかって連発してすさまじいんです。アサルトライフルの構え方とかも様になっていて、あ~もう一発でファンになっちゃいました。

この映画って、一歩間違うと単なるアメリカ万歳正義は勝つ的勧善懲悪映画に陥りそうではあるんですが、ギリギリのところで踏ん張っていて、信心深く慎ましい生活をしているサウジ人の姿や、テロに頼らざるを得ない宿命を背負った原理主義者とか、双方の心の内を描いているのがすばらしいんです。

テロ組織の親玉として悪名高きアブ・ハムザというジジイが出てくるんですが、こいつも眼光の鋭いちょい悪オヤジで、カリスマ性があってなかなかシブいんですよ。終盤、ライフルを懐からおもむろに持ち上げるシーンとか、もうぶっ飛びました。

結局、アメリカもテロリストも考える事は一緒なんですよ、「安心していい、仲間が奴らを皆殺しにしてくれる・・・」っていうね。けど、それって山嵐のジレンマみたいで哀しすぎますよね。どうして世界はこんな事になってしまったんでしょう。全てはオイルマネーとか利権の副産物だとすれば、解決することは不可能なのかもしれません。1%の金持ちがいなくなればいいのかな。まあ、そういう風に色々と考えさせられる映画なんです。

物語の中盤で、フルーリー達を遠景で捉えるシーンから、アル・ガージが家族と過ごすシーンまでにかぶせて流れる音楽がすばらしいので聞き逃しなく。

しかし、「スリープレス・ナイト」の前例があるので、ジェイミー・フォックスのかっこいいジャケットには要注意ですね。

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映画「2019年度明けに見た映画②」

さてさて先週に引き続き連チャンで映画を見まくってますが、はっきり言って不作揃いという悲劇。まあいくつかよい作品もありましたが、そこまではずば抜けてませんでしたね。

ところで、最近、レンタルDVDの最初に入っている予告編の出来が逸品で、毎回見事に騙されるですよね。それぐらい作りが巧妙なんです。この際だから、むしろ予告編を作った奴が監督すればいいのに・・・。

特に最近の予告編といえば、「魂を揺るがす」とか「魂を揺さぶる」とか「こころ震える」とか「心をかき乱す」とかってフレーズの多いこと多いこと!流行ってるんでしょうか?

で、結果的には全く魂は揺さぶられず、心も震えませんでしたハイ。以下、10本のラインナップと評価です。

モリーズ・ゲーム(評価:★★★☆☆)
②スパイ・ミッション(評価:☆☆☆☆☆)ゼロ
③ミッシング・レポート(評価:☆☆☆☆☆)ゼロ
女は二度決断する(評価:★★★☆☆)
⑤アンロック 陰謀のコード(評価:★★★☆☆)
クリミナル・タウン(評価:★☆☆☆☆)
ゲティ家の身代金(評価:☆☆☆☆☆)ゼロ
ロンドン、人生はじめます(評価:★★★★☆)
ボヘミアン・ラプソディ(評価:★★★☆☆)
ホース・ソルジャー(評価:★★★★☆)

 以下、それぞれの感想を単文で。

まず「①モリーズゲーム」ですが、ジェシカ・チャスティンはホントに多彩ですねえ。「女神の見えざる手」や「ゼロ・ダーク・サーティ」でも光ってたし、できる女性をやらせたら、彼女の右に出るものはいないのでは。売れっ子ですし、この映画も悪くはないんですが、なにせ実録ものですので、そこまで衝撃的な展開にはできなかったというか。ちょっと盛り上がりに欠けました。

次に「②スパイ・ミッション」なんですが、ちょつまでした。「ベルベット・ゴールドマイン」のジョナサン・リース・マイヤーズ主演で、内戦の続くシリアを舞台としたスパイものなので少しだけ期待してたんですが、ホントにくそつまでした。これってテレビ映画だったのかもしれませんが、ジョナサンももはやこういう仕事しかこないのでしょうか。

はい「③ミッシング・レポート」ですが、断言します、クソつま映画の最高峰!最近見た「スリープレス・ナイト」と同レベルですかね。「LAコンフィデンシャル」や「メメント」のガイ・ピアース主演でこちらも期待大だったんですが、もう何が何だか全くもって意味不明。散々誘ってきた女の子が突然嫌がり出したり、ガイ・ピアースがイケメンオヤジでとにかくかっこいいんですが、モテるのかモテないのかさっぱりわからないという。僕の洞察力が低いせいか、何一つ理解できませんでした。

苦行映画「④女は二度決断する」ですが、これは心底哀しい物語なんですね。ダイアン・クルーガーが怒れる母親役をほぼノーメイクで演じてますが、なんともはや、哀しみしか生まない映画でした。サウジアラビアで発生したテロ事件とそれを捜査するFBI捜査官らを描いた「キングダム」の激しくないバージョンといったら言い過ぎかな。なんかこれも実録モノだったような・・・。

さて「⑤アンロック 陰謀のコード」です。この映画はデンマーク版「ドラゴン・タトゥーの女」のノオミ・ラパス主演で最初はものすごく面白いんですが、徐々にパワーダウンしてきて、最後はもうハチャメチャという・・・マイケル・ダグラスとか。ただ、すばらしいのが悪役のオーランド・ブルームで、彼はいい奴よりもむしろ悪役の方がよく似合う!ということを決定づけた一作です。「ケープタウン」でもそうでしたし。しかし、ノオミ・ラパスって決して美人ではないけど華がありますよね。やっぱり役者ってモデルとは違うという証明でしょうか。

ティーンの青春サスペンス映画「⑥クリミナル・タウン」なんですが、売れっ子ティーン?のクロエ・グレース・モレッツが出てますが、もう石原さとみさんにそっくりです。かわいくて演技力もあるし表情もコロコロ変わるので女優向きですが、この映画は僕には微妙でした。一応はある殺人事件の謎を追う若いカップルの話なんですが、話をどっちか(事件と恋愛)に絞ってほしかった。

さて、思わせぶり大作「⑦ゲティ家の身代金」なんですが、これも実録モノ。大好きなリドリー・スコット監督作なので結構期待してましたが、全くの期待はずれ。もう最悪でした。どうでもいいの一言に尽きます。

次に、アマゾンのレビューでゴミ扱いの「⑧ロンドン、人生はじめます」ですが、これ、ものすご~くよかったです。一言でいうと年寄りの恋愛モノなんですが、ダイアン・キートンがもうびっくりするくらいコミカルでオシャレ!こんなオシャレな70代っていないでしょ!それほどに衝撃的でした。舞台となる森の中の小屋とかアウトドア要素満載で、ガーデニングとかが好きな方にもおすすめです。

さてさて、大変な話題作の「⑨ボヘミアン・ラプソディ」です。この映画って友人も2回見に行ったって騒いでたし、職場の人もすごくよかったと言ってましたが、僕的には、まあ、いたって普通でした。というか、クィーンファンには最高だったと思いますが、ちょっと掘り下げ方が今ひとつというか雑というか。なんか人物描写とかイザコザとかがきれいすぎるんですよね。もっと揉めに揉めて大げんかになって落ちぶれて、でまた復活して、というような「ブギーナイツ」とか「レイジング・ブル」的ハチャメチャ要素がほしかったです。

で、最後に「⑩ホース・ソルジャー」なんですが、これまた実録モノで、なかなかよかったです。ある意味、単なるアメリカ賛美のデマゴーグ映画なんですが、2001年の9.11同時多発テロの直後、アフガニスタンに潜むタリバン政権を打倒するため、密かに送り込まれたアメリカ陸軍特殊部隊ODA595の戦いを描いた作品です。なかなかよかったので、早速小説の方も読みたいと思ってます。が、別にずっと馬に乗って戦ってるわけではないので、「ホース・ソルジャー」という邦題はやめてほしい。

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映画「アイ、トーニャ」

評価:★★★★☆

「アイ・トーニャ」ようやく見ました。年度明けに見た映画の中ではダントツのベスト1です!すばらしい映画でした。もう最高です!これだから映画はやめられません。昨日見た「スリープレス・ナイト」への失望や憂鬱さがこの映画できれいさっぱり洗い流されました~よかった。

時は90年代、フィギュア・スケートでアメリカ史上初のトリプルアクセルを成功させたトーニャ・ハーディング選手が、ライバルであるナンシー・ケリガン選手を襲撃してケガさせた事件って、僕の年代だと当時誰もが耳にした一大スキャンダルで、当時の報道とかものすごかったのを今でも覚えてます。ナンシー・ケリガン選手が白い衣装のまま泣きながら悔しがってるシーンが何度も何度も報道されました。

その後、ちらほらトーニャ・ハーディング選手がプロレスに転向したとか、自撮り映像が流出したとか、くだらない報道が続きましたが、その後はほとんどみんな忘れ去っていたはずです、まあ、マスコミや大衆はいつもそのパターンですが。

しかし、ここに来て、このトーニャ・ハーディングさんの自伝的映画が作られるなんて、やはりアメリカってすばらしい。日本も早くホリエモンライブドア事件の顛末を描いた映画とか誰か作ればいいのに。

で、映画では、このトーニャ・ハーディングの幼少期からリレハンメル・オリンピックまでの彼女の成功と挫折というか、刑を受けるまでをじっくりと丹念に追っていきます。まず何がすごいって、全編通してその映像がとにかくかっこいい。80~90年代の雰囲気がギラギラ出ていて、まるで「バッファロー66」みたいな若干くぐもったボヤけた映像がものすごくクールなんです。この映像手法ってなんていうのかなあ。使ってるカメラとかが違うんでしょうか。

トーニャ・ハーディングさんって、白人貧困層の家庭に生まれ、母親も鬼としか思えないほど厳しい人で、娘を勝たせるために平気で罵詈雑言を浴びせ、あの子は「叩かれるほど力を発揮する」とか言って平気で娘を罵るし、人を雇って公衆の面前で罵倒させたり、もうとんでもない母親です。さらに、トーニャの結婚したジェフって男もダメ人間の典型で、しょっちゅうトーニャ・ハーディングを殴りつけるだけの単なるDV野郎なんですが、トーニャも負けずに殴り返したり、モノを投げつけたりは日常茶飯事という。

こんな最低最悪の家庭環境の中、ウエイトレスとかホームセンターで働きながら必死にフィギュアの練習を続け、お金がないので衣装を自分で作ったりとか、一体トーニャってどんだけすごい人なんでしょうか。それなのに母親に「オマエはメンタルが弱い!」とか「甘えすぎだ!」とかって扱き下ろされて、それでもめげないトーニャはすばらしい。

今の時代、大学の先生が学生を少し強い口調で叱った程度で、すぐに叱られた学生は来なくなったり、学校に親が文句を言いに来たりとか、まるで大学が中学校みたいな現状になっているようですが、そういう学生とか親は是非この映画を見るべきですね。

きっとトーニャはもう少しまともな男と結婚して、スケートに真摯に専念することができれば、オリンピックで優勝することもできたのかもしれないけど、そもそもトーニャ自身も負けん気が強く、練習の合間にタバコをプカプカ吸ったり、他の選手に「邪魔だからどけよ!」とかキレたり、審判団に「私の方が技術が上なのに何でだよ!ファック!」とかって食ってかかったりして、結構ハードで激しい女性なんですわ。

エンドロールで、トーニャ・ハーディングが実際に1991年の全米選手権でトリプルアクセルを成功させた映像が流れるんだけど、もうここは涙なしでは見られませんでした。こういうダメダメな人たちが、類い希なる努力を重ね、大舞台でストイックにその演技やプレーを爆発させることで、そこに何十分の一かの確率で奇跡が起きて、だからこそ人々は感動するわけで。

しかし、トーニャ・ハーディングさんも今では幸せな一児のママさんということで、そこに少し救われましたね。しかし、マスコミはこの映画を皮切りに再度トーニャ・ハーディングをバッシングしたりとか、もういい加減にしてくださいね。

映画「スリープレス・ナイト」

評価:☆☆☆☆☆(ゼロ)

いやあ、見てしまいましたね、久々のくそつま映画。残念でなりません。先、見終わったばかりで、軽い脱力感と徒労感に苛まれつつ、このブログを書いてます。もう、書かずにはいられないというひどさ。すこぶるかっこいいジェイミー・フォックスのジャケットにだまされ、おもむろにレンタルしたんですが、事前にアマゾンのレビューを軽く見ておくべきだった!っと後悔しましたね。が、先見たら、そんなに評価悪くないんですよ・・・って、なんでなんで?。

この映画は一体何を狙ったのかが理解できません。劇中、ほとんど舞台はカジノのビルの中なので、ある意味「ダイ・ハード」を意識したんでしょうが、これも「ヒート」を意識した「ザ・アウトロー」と同じく、見事に撃沈。

物語はある意味定番で、カジノを舞台に、ラスベガス市警の刑事たちが、麻薬密売組織と通じている汚職刑事を突きとめるまでの顛末を、刑事(といっても二組)、カジノ側、麻薬組織の三つ(四つ)巴を軸に描いたものなんですが、そこにさらに家族愛とかジェイミー・フォックス扮する刑事の息子や奥さんまで持ち込んだものだから、もう収集がつかなくなってわけがわからなってしまって、という。いやあ~ものすごくつまらなかったですハイ。

まず刑事役のジェイミー・フォックスが冒頭でいきなり脇腹を刺され、血を流しながらもその状態で5人以上の敵と格闘しますが、それってどう考えてもありえないし、刺される設定っているの?という疑問が一つ。

そして三つ巴の一つであるカジノ側といっても、ある意味かわいそうな経営者のオッサン1人だけ(ダーモット・マロニー)という疑問が二つ目。この人が実は一番かわいそうなんです。ピシッとスーツで決めてて、最初から最後までずっとネチネチいびられ続けるんですが、内心ビビりつつも賢明に余裕さを醸し出すその表情とか、この演技はただ者ではないです、さすが、ダーモット・マロニー。

さらに麻薬密売組織もたった3人で、こいつらも当然ですが人間のクズみたいなとんでもなくいや~なやつらで、美学も何にもないし、カジノの駐車場で催涙弾をバスバス撃って、その結果、敵(ジェイミー・フォックス)を見失ったりとか、もう意味わかんないです。しかもそんなに麻薬取引してるなら、たかだか1回の取引にここまで執着するか?という疑問が三つ目。

ただ唯一の救いは、もう一組の刑事を演じたミシェル・モナハンで、彼女は刑事役がさまになってましたね。睨んだり怒鳴り散らしたりジェイミー・フォックス相手に乱闘したり、彼女の暴れっぷりがすばらしく、いい味出してましたね。

しかし、その相棒役の刑事であるフランケンみたいなデヴィッド・ハーバーという役者さんは最近「イコライザー」でも見かけましたが、役柄としていい奴だったためしがないという。

まあ、この映画も「ダイ・ハード」のすばらしさを再確認するという意味では前座的には意味があるのかもしれませんので、2本続けて見るバイタリティのある方にはおすすめです。

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映画「ザ・アウトロー」

評価:★★☆☆☆

僕はこの映画、微妙にダメでしたが、別につまらなかったわけではなく、その「ヒート」+「ユージュアル・サスペクツ」÷2みたいな挑戦的な作りにはむしろ敬意を表したいぐらいなんですが・・・。

この映画は一口で言うと綿密な計画に沿って銀行強盗をやらかすメリーメン率いるプロの強盗団と、それを阻止するジェラルド・バトラー率いるLASD(ロサンゼルス保安局)チームとの攻防を描いた映画なんですが、保安局というのがミソで、これがLAPD(ロサンゼルス市警)だったらまんま「ヒート」と同じ設定になってしまうわけです。

しかし、この設定からして監督は明らかに「ヒート」を意識していて、キャッチコピーも「映画史に残る銃撃戦!!!」とかって煽る煽る。僕もまんまとこのコピーにやられ、すごすごレンタルしてしまった口ですが、もはや「ヒート」の足元にも及ばないというか。

まず、ジェラルド・バトラーさんがいわゆる型破りな保安官(SHERIFF)という設定なんだけど、もう胸元にタトウー入ってるし、容疑者への暴力も当たり前で、とんでもなくやな奴なんです。当然、奥さんにも愛想を尽かされ離婚を迫られるんですが、一丁前にちょっと男泣きしたりするんです、が、そのシーンを見ても1ミリも同情しないんですよね、むしろ、ざまーみろ!としか思えないんです。要は大体の人がここまで見てこのキャラ嫌いになってるというか。

ヒートのアル・パチーノ演じるビンセント・ハナ刑事の場合は、一般市民に暴力なんてふるってなかったし、随所で荒々しくはあっても、頭もよくてカリスマ的な頼れるイメージがありました。が、ジェラルド・バトラーの場合、単なるバカの酔っぱらいにしか見えないんです。しかもちょ~やな奴という。僕は見ててさっさと射殺されればいいと思ってましたね。この頃にはむしろ強盗団を応援してました。

そしてそれは強盗団のリーダーのメリーメンにもいえることで、カリスマ性皆無という致命傷を負ってます。このひと有名な役者なんでしょうか。パブロ・シュレイバーという人ががんばって演じてるんですが、知りません。最近の売れっ子なんでしょうか。残念ながら、デニーロみたいなリーダー的なカリスマ性や冷静さは皆無。今後、もう少しまともな映画に出て経験を積んでほしいですね。ポストいけてるハゲの「ジェイソン・ステイサム」を目指してほしいです。

しかも、せっかくラッパーの50セントが出てるのに、もうほぼゴミ扱いという暴挙。唯一の救いは、大好きなアイス・キューブの息子「オシェア・ジャクソン・Jr」が出ていることなんですが、こちらも単なるヘタレ扱いですわ。そして、このオシェア・ジャクソン・Jrが、車のドライビングテクニックを買われて窃盗団に入る、という設定も、まんま「ヒート」なんですよね。ちょっとやり過ぎではないですか。

しかしこの映画って、はっきり言ってダメダメではあるんですが、僕はそこそこには楽しめました。最後は「え~マジでっっ?」といった衝撃も少なからず受けましたが、すぐに「けど、まあ、どうでもいいけど・・・」と思い直したり、寝る前にストーリーを少し振り返ったりして「よくよく考えると、あのオチ、ちょっと無理があるよな~」とか思ったりして。あの~、別にこの映画が好きなわけじゃないですよ。

この映画の立ち位置としては、強いて言えばむしろ「ヒート」のものすごさを再確認できるという点でしょうか。この映画を見た後に連続して「ヒート」を見れば、本物がいかにすばらしいかがよくわかります。そういった意味で2本連続で見るエネルギーのある方にはおすすめですね。

しかし、レンタル屋でトム・クルーズの「アウトロー」と並べて置いてあるのには笑いました。店員さんも見てないんですね~おそらくは。あの~、全く関係ないですから。

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映画「2019年度明けに見た映画①」

年度末を終え、見たかった映画を大量に見ました。って、まだ見てない映画も10本以上ありますが。とりあえず6本分を紹介します。

イコライザー(評価:★★★★☆)
イコライザー2(評価:★★★☆☆)
③ザ・アウトロー(評価:★★☆☆☆)
リミット・オブ・アサシン(評価:★★★☆☆)
⑤華氏119(評価:★★★☆☆)
⑥ボーダーライン・ソルジャーズ・デイ(評価:★★★★☆)
⑦パリ、憎しみという名の罠(評価:★☆☆☆☆)

以下、それぞれの感想を単文で。

まずは「①イコライザー」ですが、これは2を見る前にすでに全く覚えてない1をもう一度見なおしたわけです。大好きなデンゼル・ワシントンですが、最近、普通のオヤジ(ジジイ)が実は元CIAとか特殊部隊の隊員というネタ流行ってますねえ~。

リーアム・ニーソンの「96時間」しかり、ショーン・ペンの「ザ・ガンマン」しかり、モーガン・フリーマンの「RED」しかり。もはやネタがないんでしょうか。けれど、シリーズ化してくるとどんどんつまらなくなっていくという共通点がありますね。「②イコライザー2」もその法則に漏れず、ちょっと残念。

「③ザ・アウトロー」は、トム・クルーズの「アウトロー」とは何の関係もありません。この映画はちょっと一言ありますので単独で記事にする予定です。

「④リミット・オブ・アサシン」も元CIAネタなんですが、イーサン・ホークが主演で、ヒロインも中国人(シュイ・チン)でちょっと斬新で面白かったですはい。何より敵役のポール・アンダーソンがかっこいい。しかし、シュイ・チン、50才ってほんとかよ。しかしこの映画、アマゾンの評価低っ!ほんとに最後まで見たんでしょうか?僕も最初の15分はダメだったんですが、それ以降はぐいぐい引き込まれました。僕は好きですね。

「⑤華氏119」ですが、結局話が拡散しすぎてちょっと微妙~。トランプのことを言いたいのか、それともヒラリーか、いやいやミシガン州知事のスナイダーのことなのか、それともパークランドの銃乱射事件のことなのか、いまいち的が絞れてない印象でしたが、まあ楽しめました。

「⑥ボーダーライン・ソルジャーズ・デイ 」は、年末年始に映画館に見に行きたかった映画で、大好きな映画「ボーダーライン」の続編です。ジョシュ・ブローリン、やはり最高ですわ。けれど、「オンリー・ザ・ブレイブ」という悲惨な映画を見てしまっているので、その時のイメージが重なってしまい、何となく違和感が。それとジョシュ・ブローリン演じるマットのド勝手さがちょっと軽減されてて残念。それにベネチオ・デル・トロの件も少し無理があって・・・。けど、相変わらず、襲撃を受けておもむろにアサルトライフルを構えて「シュタタタタタ!!!」という銃撃シーンは最高でした。はやくパート3作られないかな。

で、実は最も期待していたフレンチ・ノワールで、大好きなオリヴィエ・マルシャル 監督の「⑦パリ、憎しみという名の罠」なんですけど、あ~残念無念、ちょつまでした、はい。フランスのショーン・ペンことブノワ・マジメル主演で期待大だったんですが。特に「裏切りの闇で眠れ」なんて最高だったのになぜ・・・。開いた口がふさがりません。

けど映画って、ほんとに最高なのはまちがいありません。久しぶりにたくさん見て心底そう感じました。

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その他「年度末中の報道について」

年度末中、かなり頭に来たのは大嫌いなマスメディアの報道でした。ゴーンさん、薬物事件、ゴマキさんなど、相も変わらずくだらない報道が続きましたが、もはやここまで来たかというひどさで痛烈に怒りすら感じました。

一体いつからマスコミは正義の味方になったのでしょうか。オマエらは神かといいたいです。平気で人を追い込んでおいて、もしも自殺したら一体だれが責任をとるのでしょうか。

まずゴーンさん。まるですでに犯罪者と決めつけんばかりの報道姿勢!この国のマスコミは推定無罪の原則を理解しているのでしょうか?長年、日産の救世主として散々に祭り上げ、批判的な記事なんて皆無だったのに、いざ体制がそういうマイナスの方向に向かうと、まるで鬼の首を取ったかのようなバッシングの嵐、嵐、嵐!

じゃあなんで、当時批判的な記事は皆無だったのでしょう。こういう状況になってはじめて、出るわ出るわ「日産社員怒りの告発!」とか「私はこうしてゴーンと戦った!」とかいう記事のオンパレード。だったらどうしてこの人達はその当時に戦わなかったのでしょう。なぜ批判しなかったのでしょう?それが仕事じゃないっすか。

基本的に日本人は、大本営の発表はすぐに盲信して服従する一方で、そういうお墨付きがないと人の批判すらできないという、あまりにも幼稚な国民性で、こういう構造ってホリエモンさんの時と全く一緒というか。

次に薬物事件。僕は薬物をOKとはいいませんが、かのローリング・ストーンズビートルズのジョンだって完全に薬物に手を出していた(いる)わけですし、別にそれはそれでいんじゃね?というスタンスです。まあ、見つかってしまったので罪には問われますが、ジャック・ニコルソンやスティーブン・ドーフとかもよくインタビューで「まあオレは薬物には手を出さないよ、ただ、大麻は薬物だと思ってないけど」とか「マリファナは吸わなかった日はないよね」とかって答えてるし。そして、そういうダメな奴らがステージで爆発するから人々は感動するわけで。

前にも書きましたが、こういう人達は作品とかパフォーマンスだけにストイックでいればいいし、そこで勝負すればいいわけで、つまりは私生活なんてどうでもいいというか。いつまでもマスコミは報道してんじゃねえ!と言いたいです(そろそろしてないかな)。最近のタバコの嫌煙運動ももはや差別の領域に入ってますし。

で、ゴマキさん。これもどうでもいいの一言。マスコミでの報道は避けられないとしても、ただ「不倫」だけではダメなんでしょうか?ホテルで何回とか、ラインの内容とか、事細かにその詳細をマスコミで大々的に報道すること自体が異常と思うのは僕だけでしょうか。最近の殺人事件なんかでも、その殺され方を詳細に報道したりとか、遺族の気持ちを100%無視してる分際でふざけんな!と言いたいです。

ともかく、芸能人だって人間です。で、人間である異常不完全です。なので当然外れてしまうこともありますよ人間だもの。それをまるで世の中(マスコミ)は完璧な人間であふれているかのようなスタンスで断罪的に報道するというのはどうなんでしょう。

本当にこういう報道を我々は求めてるのでしょうか?少なくとも僕にはこんな報道は不要です。なので、ほぼ全て目も通してませんでしたが、お昼にお弁当を食べながら読む新聞とか、ネットを開いてもトップページがこういう報道一色で、ここまでくると洗脳としか思えませんでした。

あのねえ、こういう報道姿勢そのものがいじめがなくならない最大の原因であることを肝に銘じてください。それとくだらない事件や、悲惨な事件の詳細や顛末は知りたくありませんので、一言で報道してください。まちがってもクリップボードなんかにまとめて時系列的にわかりやすく報道するな!と言いたいです。

だったら、最近の最も悲惨で悲劇的なニュージーランドクライストチャーチのテロ事件をきちんと取材して被害者の話を聞いて大々的に報道しろ!と言いたいです。ゴマキの不倫なんかよりも遙かに重要ですよ。